強く
『住むって、氷莉亜の家にか…?って、そこしかないか、まっ、マジで?なんで?』
テンパりがハンパないけども、それはそうだよ!?びっくりするよ?
いきなりすぎて頭にも言葉にもハテナだらけ。
『そっ、そうだよね…。いきなりごめんなさい…。私、1人で住んでるの。誰もいないの。』
詰まらせて話す氷莉亜。なんだか俺と似てるな。
氷莉亜の顔が暗くなるのがわかる。
辛かったんだろうな
日も暮れはじめていた。
『歩きながら、いこ。とりあえず、ちゃんとは聞くから』
眉を下げて不安な顔を見せ、小さく頷く
『人を頼れなくなって、自分も信じられなくなって、何もかも無くしてしまった。黎人くんなら、信じれる。だから、自分を変えたくて、お願いしたの』
自己チューだな。自己中心的だけど、それでいいと思うよ。自分を変えたいと思って行動を起こした。俺に隠さず話してくれた。
もうとっくに俺より強いじゃないか
今度は俺もかわんなきゃ。
いつまでも過去に囚われて、過去のせいにして、バカみたい。
『いいぜ、その願い、承りました』
へっ!?
と驚いて肩をビクつかせた
『ほっ…ほんとうに?私、無理なこと言ったのに』
何を今更、わかってんじゃん。無理すぎる願い、俺が叶えるよ
『今更やっぱ無理とか、いわねぇから』
大丈夫だ。氷莉亜と一緒に絶対、この先の未来変えてやる
すると
氷莉亜はよほど嬉しかったのか
大きな目に涙を浮かべた
大粒の涙が頬を伝う
何か氷莉亜の周りを取り囲んでいた、悩みとか不安とか、そういうのが解けたようだ。風と一緒に飛んでった。
『うっ…うぁぁぁーっ…ひっ…ぁぁあああっ…ぁぁ…!』
氷莉亜はその場にしゃがみ込み声をあげて泣き始めた
俺も腰を下ろして背中をさする
『大丈夫、大丈夫、ちゃんといるよ、ちゃんと』
こんなに小さい背中。よく耐えたもんだ。
氷莉亜は頑張ったよ
もう、1人にはさせないから
こんな俺を選んでくれた
強くなる。
君のために
決めたから。
もう、迷わない