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仕返し
「おはよ」
短くそう言い
秋が起きた
いっつもからかわれたりしてるのはこちら側なのだから
こちらからからかってみたって
いいと思いません?
俺は耳元で囁く
「昨晩の事、じっくり聞かせてもらいますよ」
そしたら秋が耳を真っ赤にして
そっぽを向く
お、案外面白いじゃねぇかよ
「咲良子も同じような反応してたよ」
今日は俺が
ニヤニヤする
いつも秋がする顔だ
どうだ朱間秋!!
昨日のこと思い出したか!!
どんなことしたんだ
顔をニヤニヤしながら覗き込むと
「イイコト、だけど?」
と顔色を変えたように真面目に答える
言ってることが真面目じゃない
言い方も色気のある夜のテンションだった
「今朝だ、頭冷やせ、顔洗ってこい、ばか!!」
なぜ最後に悪口を言ったのかはわからないけど、リア充になってしまったのか、大人の階段を上がったのか
それ以上は聞けなかったし、それ以上聞いたら殴られそうだし心が苦しくなるだけだった
思い浮かぶのは
氷莉亜の顔だけ
「わかってんだろうな?今日は夜歓迎会なんだ」
あいよーと
寝ぼけた返事をし、秋は洗面所へ向かった。