2人の夜は
次の日起きた時秋が部屋にいなくて驚いた。
咲良子も起きてこなくて
咲良子の部屋を見てきてくれないかと俺は氷莉亜に頼んだ。
「できるだけ、ゆっくりだぞ」
朝食をとりながら、咲良子起床計画を立てる。
氷莉亜は頷くと音も立てず階段を上がり、咲良子の部屋を覗いた
氷莉亜は微笑んでゆっくりドアを閉め、また階段を降りる
「秋くんも一緒ですよ、仲良く寝てました」
そうか、と言うと
あの2人の秘密ということにしておいた。
昨晩何があったかは大体の予想はついている。
きっと2人にとっていい時間になっただろう。
「さて、今日は皆来書店の新人バイト歓迎会だ。みんなくる。氷莉亜も行くだろ?」
初めて会う太知さんや侑さんと親睦を深められる良い機会だ。
氷莉亜は店長に気に入られているから、連れて行けば機嫌がいいだろう。
「いいの?私も行って」
「ダメなわけないだろ、一緒に行こう」
氷莉亜は嬉しそうに頷く
その顔を見て俺まで嬉しくなる
ふと、思った
俺は氷莉亜にこのことを伝えるべきだろうかと。
恋愛的な意味で
女性として
好きだということを
「黎人くんどうかしました?」
いや、なんでもない
と答え
「季村さんて人、氷莉亜と話合いそうだよ」
なんて言っておく。
女性だから季村さんだって気に入ってくれるだろう。
というようなことを考えながら、
「もう少ししたら、2人を起こしてくれるか」
と俺はまた氷莉亜に頼んだ。