君との約束
「というわけで、わたくし、百谷咲良子は9月1日付けで株式会社ShinyProに所属させていただくことになりました!今後は条徳と両立しながらタレント活動をしていくつもりです」
この話を聞いて俺らは嬉しくてたまらなかった。夏休みイチのビックニュースとなっていた。
「夢がどんどん近づいていくね!咲良子ちゃん、おめでとう!」
ギュッと氷莉亜は咲良子を抱きしめる
「わぁ!!美女に抱きしめられちゃったよおおお」
咲良子は興奮気味だ。
「秋、よかったな」
「うん、自分のことよりも嬉しいかも」
本当に秋の顔は俺を冷やかす時や咲良子と話すときとも違うこの上ないニヤけ顏で気持ち悪かった。てのは嘘だが
その夜咲良子は秋の部屋に行き2人で話をしたらしかった
「覚えてる?秋くん。私が、アイドルになったらって」
「もちろんだよ、忘れるわけないだろ」
「だよね、安心した」
咲良子…僕もう自分の伝えたいことが出そうだ。好きだ。辛いんだよ。
早く僕のものにしたい
「ねぇ…咲良子」
「なーに?」
「伝えたいことがあるんだ。今じゃいけない気がしてるんだけど…ダメかな」
「え。いいけど。」
そんな無防備な顔で
何するかわからないよ
「自己満足で終わるかもしれないけど聞いてください」
「はっ…はい」
真面目な雰囲気が感じ取れたのか冷静に返事をする
そしてベットに腰を下ろすと、隣に咲良子を誘導した
「僕は夢をひたむきに追いかける、咲良子をずっと見てきました。約束も守って待ってました。正直辛くて、何度も聞きたいって言おうとしました。でもそれじゃあ裏切ることになるしこのまま一緒にいられなくなると思って苦しかったので言いませんでした。だけど、今咲良子は新たな場所に足を踏み入れます。もっと存在が遠くなるかもしれない。そんな不安はありません。遠くに行くほど、これから言う気持ちが伝われば、ずっといっしょにいられるから。
百谷咲良子さん、僕は小2の時から約10年間あなたが好きです。全部好きです。大好きです。」
僕はただ彼女の綺麗なくりっとした瞳を見ていた。そしたらだんだん赤くなっていって…
彼女の手をとって
「返事はアイドルになってから、という約束に変更しませんか?」
ああ、また泣かせてしまった
今度は大粒の涙が顔を覆った
「あとひとつだけ」
「まだあるの…??」
「その約束が果たせたら、僕と結婚してください」
夢を諦めないでいる咲良子を信じているからできる約束なんだよ。
だからそれぐらい…許してくれるよね
「ずるい…そんなの!!」
やっぱり?
「でも、私絶対約束話せるようにするから…もう少しだけ…まってて」
いつまでも待ってるさ
君のために
僕はこれ以上顔を見られなくて
細い体を抱きしめた
子供の時とあまり変わらなかった
『ねぇ!!秋ちゃん!私と約束!!』
あの言葉、今でも忘れてないって証明になったでしょ?
そしたら
「…ねっ…ねぇ
きき…きき…キス、して?」
その声が聞こえた時
僕はもう獣になりそうだった