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ピンチ
こっ、こまった…ムリ…もう嫌…だ
だから
"ドン"
「はぁっ…」
彼女の両腕をつかみ、そのまま壁へ腕を固定する
そしてまじまじ濃い化粧の顔を見つめる
「あ…その気になってる??」
先輩は甘くその気にさせる顔をした。そんなわけねぇだろ。
だけど顔には出さず
その顔にどんな感情も抱かず
耳元で囁く
「俺、好きな人がいるんです」
できるだけ余裕たっぷりで
本当はそんな余裕ないけど
演技する
「その人は高2なのに僕より何倍も勉強頑張ってる。まっすぐで自分にできることならなんでもするし、思いやりの心を持ってます、僕はその子が好きなんです」
「だから、高3なのに勉強もしないで他人に世話焼いてる奴のことなんて、好きにならないし」
そう言い残し内側から鍵を開けて足早に外へ出た。
秋が待ってる…