帰る場所
そういえば、秋が握ってくれたおにぎりを口にしていないことに気がついた。
坂を下ろうとしていた時で
まぁ、誰にも会わないかな
と思ってリュックからタッパーを取り出し、おにぎりを掴んで口に含む
ん、うんめぇ
さっすが秋だ。変わりのない普通のおにぎりなのに、美味しい
これ、もう夜飯じゃん?
とか思いつつ
日が落ちるのを眺めながら
一口ずつゆっくりと食べた
家に着くと咲良子と氷莉亜、そして秋の声が聞こえる
でっけー声
夕飯でも作ってたか。
俺はタッパーをしまい
指紋認証をして門が開くのを見て
庭に入っていった
ガチャっと音を立てて
玄関のドアを開ける
「ただいまー」
「お帰りなさい!遅かったんだね」
秋はエプロンをして出迎えた
「うん、ちょっと色々あってな。そだ、今日、夕飯何?」
「今日はね、冷し中華だよ」
お、夏らしい
「いいねぇ、先、風呂入ってきていい?」
「うん、沸いてるから入ってきな」
部屋に戻り着替えを取る
シャワーを浴び
リビングに戻る
「れいくんおっそーあたしお腹空いて空いて死んじゃうとこしたー」
咲良子は腹を押さえぐったりしていた
「ご、ごめんごめん…たべよ?ね?」
やっぱ飯は一緒がいい。
ここへ来てそう思う
人と一緒にいるってこんなにあったかいことなんだよね
まだ、2日目
長い夏になりそうだ