ひんやりな熱意
皆来書店で、バイト…
確かにお金には困ってはいるんだけども
バカ親父についてったバカな母親が俺の通帳に毎月金を送ってんのは知ってる。
あっちもあっちで金儲ける仕事してんじゃねぇかな。多分夜のヤツな
早く借金返せな
俺が長男だからってちゃんとした手続きをしない限り、俺に借金返済は求められない。そして、そんなに気にしたことない。
俺悪いわけじゃないしな。
んで、なんだっけ、バイトか…
向いてるかどうかはわかんないけど、高2だしクラスの人だってみんなしてんだろうな。
「し、秋は…?」
秋は俺をまっすぐみた。
「僕は、やってみたいかなって、思ってる。どうせいつかは働かなきゃいけない日だってあるわけだし…いい経験だと思うんだ。近いし、こんな親しい人が店長なんだ店長から直々に働いて欲しいなんて、逆にすごくない?」
あー、やる気満々。ですね
「そうだよね…いつかはしなきゃいけないし。っでもでも!」
秋から氷莉亜に目をやる
「氷莉亜は……!?氷莉亜は、どうしたい?」
秋の意見よりも氷莉亜の意見だろ。
氷莉亜が働くなんて想像できないし、なんていうか、クラスでどつかれて以来、俺ら以外の奴らと話しているのは見ていないし、トラウマになってるんじゃないかっていう考えを咲良子や秋と話していた事があった。
人間不信…ではないのかな、でも片瀬さんとは結構うまくいってる感じするけど
「わっ…私は、ダメかも。迷惑かけちゃう気がする…人が怖く見えちゃう…黎人くんとか秋くんとかは全くそういうのないのに」
ああ、震えてる。小さい体が、震えてよ
よっぽど怖かったんだよね
「そっか、氷莉亜ちゃん、ありがとね。おばちゃんに話してくれて。」
片瀬さんはレジから出て氷莉亜に抱きついた
頭を丁寧に撫でていた。
母親みたいだな
「まぁ、実を言うと氷莉亜ちゃんをここの看板娘にしたいっていう汚いこと考えてんだけどね…やーめたっ」
きったねぇ、この人金のことしか考えてねぇよ!?
「氷莉亜ちゃんに聞いたのよ、なぜあんたらと出会ったのかっていう経緯をね。したら、氷莉亜ちゃんめっちゃくちゃ嬉しそうな顔して話してくれたんだ。よっぽどあんたらと出逢えて良かったんだろうなってさ」
氷莉亜を抱きしめたまま嬉しそうに話す片瀬さんを見るとなんか、胸があったかい
「氷莉亜ちゃんを大事にしなよ!?黎人くん?傷つけたらあたしゃ許さないよ?だから、ずっと黎人くんを見張る!働けぃ!」
あ、働くのには変わりないのね?
まあ…いいか。学校から遠いから知ってる人に会うこともないだろうし、第一ここ人来ないし
「わかりました、やります。ここで働かせてください」
頭を下げた
すると頭に大きな手を置かれた
ゆっくり頭を上げると
片瀬さんがにっこり笑っていた
「よろしく、期待してんよ?」
「はっ…はいっ!!!」
片瀬さんの少し重たい言葉を浴び、精一杯声を出す
責任を感じる
っし、人肌脱いでみるか
「おいっ!お前もだからなごら」
秋の肩を組んで言うと
「あれっ?黎くん?僕に興味持ってくれたのなっ?」
なんて言うから
バシッ
肩を勢い良く
殴った