ヒトリ達
『私と一緒に家に住んでくれませんか!』
あの言葉が蘇る
悪い気はしなかった
俺だって、自分を受け入れて欲しいと思っていた。
氷莉亜なら
氷莉亜だったら、俺を認めてくれるんじゃないかと思えたんだ
氷莉亜が俺に身体を密着させた時、俺に優しく触れた。
柔らかい身体を寄せて
隣にいてくれた
それだけで、俺は氷莉亜と一緒にいたいと、思えたんだ
本当に好きなのかな
お前のこと
なっちゃったのかな
『俺は、氷莉亜と一緒にいたいと思ったからだ』
氷莉亜の方を向きソファから立ち上がる
言っちゃった…はっず
顔赤くなるのバレるよ
秋達だって見ているわけだし
でも、俺も氷莉亜と同じくらい嬉しい
『氷莉亜が言ってくれなかったら俺はずっと一人だった。秋や咲良子は家族がある。帰れば声が聞こえる、でも俺は帰って声も音もない。それが氷莉亜への答えかな。』
今俺は誰にも言ったことのないこと言ったんだ
どんな顔してるかな
顔あげれないや。これから楽しみっていう時にいきなり悪かった。
『…っでも!』
氷莉亜だ。
ゆっくり顔を上げる
『氷莉亜…』
『今は、違います!黎人くんはちゃんと私たちがいます!もう独りではありません!』
独り…じゃ……ない。
その言葉を思うだけで胸が締め付けられる。
苦しいよ…でもなんて嬉しいんだろ
こんなこと言われたことないよ
冷たい感覚が
頬を伝う
カッコ悪。
『黎人くん』
氷莉亜がキッチンから出てこちらにゆっくり向かう
氷莉亜は俺の目を見て
『1人って怖いよね、私ね本当に悲しいのは嫌なの』
そっと近づき優しく抱きしめた
また、あの感じ
包まれてるような
幸せってこんなのかな
胸に白銀の柔らかい髪があたる
バニラのような爽やかな香り
背中をさすりながら、大丈夫
と唱えると、俺はその優しい声にうっとりし安心した