少しずつ
『ひりあるぅー、買い出しいかなくても大丈夫って…どーいうこと?』
咲良子が気を利かせて氷莉亜に尋ねる
てか、なんだそのあだ名。
ひりある?意味わからん
『全部企業に任せてるから、食材は毎日くるの。だから、大丈夫なんです。』
あーそっか、白沢財閥は沢山の会社を経営して成功している。と、雑誌で見たことがある
だよな、お嬢様が買い物行くわけないよな
氷莉亜の言うことに納得した
『私、すぐ用意するから、少し待っていてくださいね』
氷莉亜が小走りでキッチンへ向かう
なんか、悪いなぁ…毎回作るの大変なのに
『なぁ、秋、咲良子』
丸テーブルを囲み作戦会議
『俺たち氷莉亜に甘えっぱなしだよ、これじゃ氷莉亜だけに負担を与えてしまわないか?』
秋が腕を組み、頷く
『僕もそう思う、だから、当番制にしたらどうかな?』
秋がにこやかに答える
するとソファーから咲良子が勢い良く立ち上がり、手を大きくあげる
『はっはーぁぁい!それ、いいじゃん!さんせーっ!そしたらひりあん楽になるね〜』
『よし、決まりだな』
こうして、掃除や洗濯、食事などの家事は日替わり当番制になった
『氷莉亜ーそういうことだから、よろしく』
キッチンで、テキパキ動いてるのがよくわかる。作業をしながら
『わかりましたー!私のためにありがとうございます』
『うわぁ〜きたよ!ひりあんのキラッキラウルトラキューティスマイル!』
咲良子曰く、氷莉亜はそんな感じの笑顔をみせた
だいぶ、同居っぽくなってきたな
『つーか、お前ら2人親にどう説得してきたんだよ、フツーは心配するだろ』
こいつらは普通の優しい家がある。
帰ってきて
『おかえり』って声がするのに
『僕は、黎人が一緒だって言った。当分家に帰らないけど、黎人が一緒だからって』
俺だとなんでもいいのかよ!?朱間家は…
『あたしはレッスンの長期合宿だって、いった。その後は秋と遊んでくるから夏休みは帰らないよって』
嘘に嘘重ねてるな…
『あ、そう。ちゃんと説得できたなら、いいか』
『……っ…!黎人くんは…!』
キッチンから氷莉亜の声が聞こえる
なんか、つまってるな…
『どうした?』
『黎人くんは…なんで、私のお願いを聞いてくれたんですか…っ!!』
バッと顔を上げ聞いたことのない氷莉亜のでっけー声
ふと、あの言葉が思い出される