15、ラブコメに期待する姫様のターン
姫様の妄想が炸☆裂
最初はどうなるかと思ったが、場面は急展開。
ユノさんとトリシャさんは恋仲。しかし、トリシャさんは自分の立場、そしてトリシャさんにお熱かつ強引な男の人に気づかれぬようにこの関係を隠していた。隠していたつもりだった。実際、ユノさんはそうとは思っていなかった。
―ある日、毎日毎日、掃除に追われる日々を生きているトリシャ・エヴァンズがいた。彼女は城に勤める美しい侍女。その美しさゆえに、ある男に結婚を迫られていた。
彼はこの国には珍しいなかなかの容姿。
その男…アキラクンさんは黒のハイネック姿。この国の宰相だ。
「どうしましょう。私はこのままでは、あの殿方に…。しかし、私はあのお方を愛してはいない。一度、デートと言うものをいたしましたがやはり…。こうして毎日掃除の日々を送っている方が気が休まるわ」
そんなひたむきな彼女の横顔を見続けていた、この城に住む精霊、ユノ。そして、とうとうトリシャの前に姿を現した。
「…!!あなた様は…!?」
「我名はユノ。この城に住む精霊だ」
「精霊様…。ユノ様…?」
「ユノでよい。そなた、苦しんでおるようだな」
「…はい、実は、宰相のアキラクンに結婚を迫られているのです」
「…!!それはいかん。そなたが苦しまぬよう、我がそなたを守ろう」
「ユノ様…。いいえ、ユノ…」
こうして始まった二人の恋。約束通り、トリシャはユノの精霊術によって守られた。ひび深まってゆく二人の愛…。しかし、こうなっては、アキラクンは面白くなかった。
そして、アキラクンは無理やりトリシャを自宅へと連れて行き、同居させたのだ…!
ユノは怒った。愛するトリシャと駆け落ちを決意した。これがトリシャ神隠し事件へと発展する。
しかし、アキラクンは、宮廷魔術師を雇い、魔術により邪魔をした。記憶を消されたトリシャは、ソフィとの会話でユノのことを思い出したが矢先…。
「まあ、残念ながら俺がチクるんだけどね」
ユノの存在を隠そうとしているのに加え、自分がユノのことを思い出したとアキラクンに気づかれぬようにと思っていたが、崩れてしまった。
「あの精霊ユノは、ことごとく邪魔なんだよ。ごめんね、オレのトリシャ…」
そして、とうとうアキラクンは本格的にトリシャをさらってしまったのだ―
ここで、姫の妄想STOP。
はっとして、ぼへーっとしているユノさんを、ソフィは玉座の間から引っ張り出し、ユノを王から逃がした。
そして一声。
「ユノさん!トリシャさんを助けないと!!」