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二度目(?)のデート その2

お気に入り登録1000件超えました!

これもいつも読んでくださる皆様のおかげです!

ありがとうございます!



 奇跡としか言いようがない。道路に続き、遊園地もすいていた。


 入園するとき、チケットのことで少し揉めた。「私が出す」「いいえ、自分で払います」という攻防の末、入園料は鮫島さんに奢ってもらい、昼ご飯は自腹ということで折れた。


「君は本当に頑固だね」

「そっちこそ」


 親からの遺伝なんでしょうがないんです、この頑固さは。



 さて久々の遊園地。デートとしてはもちろん初めて。まず何に乗るかな。


「やっぱりここに来たからにはジェットコースターは外せませんね」


 わたしの言葉に鮫島さんの表情が曇る。


「えぇ……、乗らなくてもいいだろう」


 さてはもしや……。


「高所恐怖症ですか?」


 プイッと顔をそむける彼に笑ってしまった。いい年をした大人のはずなのに子供のような別の一面が見られて、かわいいなと思ってしまう。ここはわたしが大人になりましょう。


「仕方ないですね。別のものに乗りましょう」

「いいのか? 乗りたいのだろう?」


 歩き始めたわたしの後に続きながら彼は言った。気にかけてくれるんですね。


「いいですよ。ここの本当の名物は別にありますから」


 そこへ行くのはまだ早いから別のところへ向かった。ゴーカートやらメリーゴーランド(恥ずかしいね、なかなか)やら、色々な乗り物を攻略していく。



 お昼近くになり、そろそろご飯でも食べようと話していたときだった。


「あれ、鮫島?」


 声のする方を向くと男女と小さな女の子。どう見ても家族連れ。


「設楽か」


 どうやら鮫島さんのお知り合いらしい。男性がわたしと鮫島さんを交互に見る。


「何だよ、デートか? おい、麻理。鮫島がとうとう女作ったぞ」

「もう、失礼じゃない。ごめんなさいね。先輩、ご無沙汰しています」


 二人とも知り合いみたい。


「紹介する。会社の同期の設楽とその家族」

「はじめまして。樫本ラナです」

「設楽悟志です。妻の麻理と娘の由理だ」


 挨拶を済ませると麻理さんがニッコリと微笑みかけてくれた。優しそうな美人さんだ。


「わたしはね、元々鮫島先輩の部下だったの」


 ということは設楽さんとは社内恋愛か。根掘り葉掘り聞きたい衝動に駆られる。野次馬根性丸出し。


 麻理さんの後ろに隠れるようにいる由理ちゃん。お母さん似でかわいい。しゃがんで目線を合わせてニッコリと笑いかける。


「由理ちゃん、はじめまして。ラナです」


 そう言うと少しだけ顔をのぞかせて小さな声で答えてくれた。


「ゆりです。さんさいです」


 うわぁ、めちゃくちゃかわいいんですけど。鼻血もんです(ちょっと変態入った)。人見知りっぽいけど、仲良くしたい!

 

 かばんの中からマジックの小道具を取り出す。これで由理ちゃんと仲良くなる作戦。以前マジックショーのバイトでマジシャンの人に教えてもらったんだよね。それから一時期ハマっちゃって、たまに練習していたもののこれまで披露する機会がなかった。今がその絶好の機会でしょう! かばんに入れっぱなしでよかった。


 実は種も仕掛けもあるボールを由理ちゃんの前にかざして、その後両手で包み、手をこすり合わせると……。


「わぁ、ボールがふたつになったぁ!」


 由理ちゃんは麻理さんの後ろから出てきて目を輝かせた。おお、つかみは上々。

 近くで見ていたちびっこも寄ってきて、即席マジックショーみたいになってきた。あまり長時間やると遊園地の人に怒られちゃうから「これが最後だよ」と念を押してコインを取り出した。


「このコインがどっちの手に入っているかを当ててね」


 ちびっこの前で右手にコインを入れてから拳をちびっこたちの前に出す。当然右手に入っていると指差される。「本当かなぁ~」と焦らして両手を開くと……。


「ええぇ! どうしてぇ!」


 コインは左手でした、とこんなことを三回ぐらい繰り返すとすごく盛り上がってしまった。「もっとみせて!」とせがむちびっこたちをなだめる。そばで見ていた親御さんたちは拍手してくれた。

 何とかその場を収めて、由理ちゃんと少し離れた場所にいた鮫島さん達と合流した。


「すみません、ちょっと調子に乗っちゃいました」

「すごいわね。本当のマジシャンみたいよ」


 麻理さんからお褒めの言葉をいただき、照れてしまう。人見知り全開だった由理ちゃんの小さな手がわたしの手をつかんでおります(涙)。嬉しすぎる!


「ねぇママ。ゆり、もっとラナちゃんとあそびたい!」


 な、なんと! 健気なことを言ってくれるじゃないですか。


「パパ~、いいでしょう~?」


 わたしもすがるような目で鮫島さんを見つめた。もっと由理ちゃんと仲良くなりたいんです!!

 果たして願いは届くのか。設楽さんが鮫島さんに訊く。


「ああ言っているが、いいか」

「ああ」


 鮫島さんも了承してくれた。よっしゃー! わたしは満面の笑みでお礼を言う。


「鮫島さん、ありがとうございます!」


 すると鳩が豆鉄砲を食ったような顔をされた。どういうこと?


 こうして一緒にお昼を食べることになった。テラスでファーストフードは遊園地の醍醐味だよね。マジック効果か由理ちゃんはわたしにベッタリだ。「ラナちゃん、ラナちゃん」と呼んで懐いてくれた。もうかわいすぎる。


 食後少ししてお腹いっぱいになったのか、由理ちゃんはお昼寝してしまった。ハイテンションでごめんなさいね。なんだかわたしにも睡魔が襲ってきた。やっぱり午前様で朝から遊園地はきつかったかな。




新キャラ登場です。


しかし甘い感じが遠い…

自分のさじ加減なのですが、もうしばらくお待ちください。

必ずや、いちゃつかせてみせます!

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