いざ、見合いの場へ
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今回少し短いです(ごめんなさい)
ようやく見合い相手の登場です!
駅に着き、ここから電車で乗り換えを経由して五十分、そこから徒歩十分。高級ホテルへの道のりは長い。
うう、お腹がすいた。早く何か食べたい。
電車に揺られている間に、遅れましたが身の上話でも。
わたしの名前は樫本羅那。見た感じがいかつい名前ではあるけどお気に入り。普段はカタカナで『ラナ』って書いちゃうけどね。二十三歳のフリーター。色々なバイトを掛け持ち中。
外見は黒髪でボブ。顔のつくりは悪くないとは思う。体系はぽっちゃり。そして小柄。
性格はマイペースかな。三姉妹の中でも好き勝手やってるかも。とにかく食べることが大好き! 懐石料理に釣られるぐらいだからね。
ちなみに年令=彼氏いない歴だけど気にしない。彼氏の必要性を感じない。
基本データはこんなところかな。
そうこうしている間に某高級ホテルに到着。外観を見上げて呟く。
「うわー、場違い」
来たことのないその豪華さに怯みながら入口に近づく。ホテルマンがドアを開けて頭を下げるので、恐縮しながら足を踏み入れた。中に入ったら煌びやかなシャンデリアが最初に目に入る。
ま、眩しい。くっ、負けない。
若干ビビりながら、とにかく見合いの席を設けた人物を探す。するとよく知った声がわたしを呼ぶ。
「あらぁ、ラナちゃんじゃないの」
近所に住む竹田のおばちゃんだ。わたしの姿に驚いていた。そりゃそうだ。ここに来るべきは姉なんだし。
「おばちゃん、こんにちは」
「ラナちゃんはどうしてここに? 沙羅ちゃんは?」
わたしはおばちゃんに事情を説明した。さすがに「修羅場の真っ最中で来られませんでした」とは言えなかったから、やんわりごまかした。そして見合い相手に謝罪したいことも。おばちゃんはその申し出を快諾してくれた。
その見合い相手とはホテル内の料理店で待ち合わせているらしい。その道中でおばちゃんは相手について語り始めた。
「ラナちゃんは見た? お見合い写真」
わたしは首を振る。話でしか聞いていなかったし、姉もきっと見ていない。写真がどこに置いてあったかも知らないのだ。
「主人の部下なのよ、彼。いい男よぉ」
おじちゃんの部下なら大企業の社員か。それでいていい男なら、なお優良物件といえる。おばちゃんは面食いだから信憑性もある。
「三十五歳で男盛り。沙羅ちゃんと年齢もピッタリ」
たしかに、三歳差だし。でもそんな優良物件、見合いなんかしなくても女は寄って来るでしょう? まさに選り取り見取り。
その疑問をぶつけると、おばちゃんは少し言いづらそうに答えた。
「彼、バツイチなの」
ああ、そういうことね。でもバツイチでもいいって言う人、たくさんいるんじゃない? 現に父はこの話に乗り気だったらしいし。
「よくは知らないけれど、離婚してからは仕事漬けだったみたい。主人が心配して『お嫁さんがいた方がいいのではないか』ってこの話を進めたの」
なるほど。向こうにしてみたら、上司からの話だから無下にもできないってことね。なら意外にすんなり許してくれるかも。こっちがすっぽかしたわけだし、ちゃんと話せばわかってくれるだろう。あとでおじちゃんにも謝っておかなくちゃ。優しいからきっと許してくれる。
そんなことを考えているうちに料理店の前に着いた。受付でおばちゃんが名前を言うと、相手はもう来ているとのことだった。
仲居さんに個室まで案内されて、おばちゃんに続いて部屋に入った。おばちゃんの姿を見て、すっと立ち上がる長身の男性が目に入る。一目見て驚いた。
うわっ、めちゃくちゃ男前……。
その男性がおばちゃんと挨拶を交わしている間に、すかさず観察する。
背が高く細身のようで鍛えていそう。整った顔立ちにきっちり整えられた黒髪。年相応の大人の男の色気ムンムンで、いかにも仕事できますって感じ。
今日ここに来る前に会った、姉の彼氏と比べてしまう。
そりゃ、誠実そうで見ようによればイケメンかもしれない。優しそうだったし、父と姉の地獄のようなやり取りにも逃げずに必死に耐えている姿は勇敢ですよ(あれに遭遇すると誰もが逃げ出したくなるからね)。
それでも姉の彼氏がかすんで見える。本当に申し訳ない。
姉ちゃん、選択誤ったかも……よ?
見合い相手…しゃべりませんでした(汗)
次回は必ずや会話に参加させますのでしばしお待ちください。