安全な国
掲載日:2026/10/09
海に面した国では、一年に一度、大波がやってきた。
海沿いの家々は波にのみ込まれ、毎年、多くの国民が家を失った。
人々は、次は自分の番かもしれないと恐れた。
政府は国民の安全のために法律を制定した。
「この線より海側に居住することを禁ずる」
安全のため、線は十分に内陸に引かれた。
これだけ内陸に住めば、国民の安全は守られるはずだった。
だが、その内側だけでは、国民全員が住むことはできなかった。
土地が足りなかった。
それでも政府は、安全を優先し、線を動かさなかった。
多くの人々は仕方なく、危険を承知で、線の外側に住んだ。
政府は彼らを
「危険だ」
と、一人、また一人と摘発した。
人々は、次は自分の番かもしれないと恐れた。




