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女騎士シーシアの夫は犬

作者: 薄荷あいす
掲載日:2026/04/04

短編

女騎士シーシアの婚約者は犬

の続編です。

女騎士シーシアの朝は早い


4時起床

自宅での鍛練

6時からは朝食

7時には参城し、鍛練、会議、警備、鍛練

18時帰宅

20時就寝


夫カイラスは不満であった。

カイラスはシーシアの夫ではあるが

強火のストーカーでもあった。


3時には起床しシーシアの寝顔を堪能

昼間は屋敷でシーシアの絵を描く

17∶30には王城に徒歩で向かい待機

シーシアは馬で帰る為同乗して帰宅

21時に就寝する迄は

シーシアの一挙手一投足を観察


昼間はどうしても美しい妻に会えない。

何とかならないものか。そうだ王城で一緒に働けば良い。


カイラスはあらゆるコネを使い

妻に内緒で騎士団の事務方に収まる事に成功した。



騎士団は筋肉の巣窟であり、基本的に皆ゴリラだ。

そこに現れた銀髪の美丈夫カイラスは

たちまち王城中の女性の心を掴んだ。


特に国王陛下の姪でもある公爵令嬢ロゼットからは熱愛と言ってもいい視線を浴びる事になり

その余波で

妻であるシーシアには

嫌がらせめいた仕事が割り振られた。




「流石に面倒になったな」


愛する妻からの言葉にカイラスは震えた。

ストレートの金髪をそのまま白い肩に垂らし

脚を組み寝巻き姿でソファに座っている姿の妻は惚れ惚れする程美しく

今すぐに鉛筆を持って素描したいほどだったが

サイラスはソファの足元に正座で座らされているため

叶わなかった。



「僕はシーシアの邪魔をしません。仕事中も話しかけません。」

「それは前提なんだよね。

あのさ騎士団は城の警備も大事な仕事なのに

今カイラスのせいで令嬢が無駄に参城してきてるの。そのせいで仕事が増えているの」

「でも…辞めたくないです。」

「仕事をするのはいい事だよ。

しかし私は明日から国王陛下の叔母の護衛で辺境まで出張だ」

「僕も一緒に行きます!」

「事務がどうやって護衛に同行出来るんだよ」

「…ロゼット嬢を殺す?」

「止めなさい」




1週間後

シーシアの居ない騎士団の詰所でカイラスは腐っていた。

午前中に騎士団の経費申請の書類は書き終えたし備品の整理もした。ゴリラ達は昼飯をとったあとは鍛練に出払い一人きりだった。


むさ苦しい詰所にピンクのドレスを纏ったロゼット嬢が


「寂しい心をお慰め致しますわ。わたくしとお茶を致しましょう」と現れた時

カイラスの堪忍袋の緒が静かに切れた



城の様々な角度から丸見えな

庭園に設えられたテーブル

美しいお菓子に茶器

自身を飾り立てご機嫌な公爵令嬢

カイラスは出された紅茶に口を付けると

令嬢に向けて豪快に茶を噴き出し

胸を掻きむしって倒れた


毒が盛られたと

城中が大騒ぎになった。



騒ぎの5日後にシーシアは参城し

未だ城の客室で療養中のカイラスを見舞った


「シーシアシーシアシーシアシーシアシーシア」

「元気ね」

「今まで意識がないふりをしてたから暇だったよ。」


カイラスはシーシアを抱きしめる


「辺境からまっすぐ来たから汗臭いの。離れて」


「嫌だ。シーシアの匂いだ!あの女の馬鹿みたいな香水の臭いで鼻がおかしくなって僕は倒れたんだ!」


シーシアの首に顔をグルングルンと押し付ける




カイラスの意識が戻ったと聞いたロゼット嬢が見舞いに来た時に見たのは

銀髪の貴公子が死んだ目をした妻の顔を

泣きながら犬の如く舐め回している姿だった。


「ひっ!気持ち悪っ!」

小さく叫ぶと令嬢は小走りで去った。



お茶会での出来事は

毒が検出されなかった事、カイラスがロゼット嬢の香水で気分が悪くなったと証言したことから

事件性はないということで落ち着いた。



シーシアとカイラスは騎士団での仕事中でも

適度に親密さを出すようにした。


するとサイラス個人に対する令嬢達の熱量は落ち着いていき

夫婦推しというジャンルが発達する事になった。





今日も騎士姿のシーシアの後をウキウキと付き添うカイラスの姿は

犬のお散歩と呼ばれている。


















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