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ep.7

 丑三つ時、私は目を覚ました。むくり、とソファから起き上がり間接照明を点ける。顕微鏡を自室から引っ張り出し、外気中の微生物を捕まえて観察する。顕微鏡の向こうで、ますます命が増殖していく。ただの反応のはずなのに妙に滑らかだ。私は何も感じないふりをしてそれを見ていた。こいつを止めようと、私は微塵も思えなかった。

「今日も調子がいいな、人工微生物ba-9641(マーダー)。」

 誰に聞かせる訳でもなく、ただ、呟く。私は静かに、遺伝種の一種であるプラスミドを散布する。微かに不気味な音を立てて動く装置たちが、プラスミドを送り出していく。私がさいごに開発した、更なる狂暴化を促す遺伝子。もう私は、腹を括ったのだ。

「ははは、全く、政府がこんなことを考えるなんて、世も末だな。」

 手元を見られない様に念のため覆った。そして対象地域を切り替えてボタンを押した。それは、最後の抵抗だった。荒くれる鼓動と息の音がやけにうるさい。もうあとは祈るしかない、と思っていた矢先、足音がして、彼が現れる。私は彼に悟られてはいけないと、聞こえてしまいそうな息づかいと鼓動を必死になって鎮めようとする。

「遂に、最終段階ですね」

「お前、」

「寝てろとでも言うんです?」

「あぁ、そうだよ。私は、お前に手を汚して欲しくない。」

「僕も、ヤツらが憎いんですよ。渚さんと同じように、ね。」

 彼は別の装置の制御盤に手を伸ばし暗殺非対象者の住む区画の通気口を開放する。二人とも重罪になってしまったのだ。

「少しも迷いがないな」

「当たり前ですよ、ね? 」

「…そうかもな」

 そんな会話をして、私たちは再び眠りについた。


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