【第5家の中を整えて、生活できる形にする】
【第5家の中を整えて、生活できる形にする】
朝の日差しが、窓から静かに差し込んできた。
ユウはベッドの上で伸びをし、ゆっくりと体を起こした。
昨日作った木の床はしっかりしていて、歩いても心地よい。
けれど、家の中にはまだ作りかけの部分が多かった。
「そろそろ、お風呂とトイレを作らないとな。
家の中に生活できる場所を全部そろえておきたいし」
そうつぶやきながら、ユウは家の中を見渡した。
現在の家は2LDKで、部屋もキッチンもそろっている。
ただ唯一、“生活に欠かせない場所”がまだなかった。
それは 風呂とトイレだ。
衛生面を考えれば、ちゃんとした場所にしないといけない。
「よし、決めた。今日は家の中に風呂とトイレを作るぞ」
まずは配置を考えた。
家の構造は広いLDKが中心で、寝室と作業部屋が左右にある。
その奥に、まだ何も置いていない空間が一つあった。
ちょうど部屋として使える広さで、
ここを“水回りエリア”にするのが自然だった。
「この位置ならキッチンの水路にも近いし、
排水もまとめやすいな」
ユウは壁に手を当て、
その部屋の内側を魔力でゆっくり整えていった。
床を固め、魔力で水を通すための細い道を作る。
汚れがたまらないよう、少し傾斜をつけて排水口へ流れる構造にする。
頭の中に自然に浮かぶ知識が、次にやるべきことを教えてくれる。
「まずはトイレから作るか。お風呂と同じ部屋にすると湿気が出るしな」
トイレは、入り口から見て右側の角に作ることにした。
ユウは床に魔力を流し、
水がしみ込まないようにコーティングしていく。
そこに、木を加工して便座の形を作り上げた。
丸みがあり、座っても痛くないように調整する。
木の表面は魔法でなめらかに整え、防水と防汚の魔法をかけた。
「使用後は自動で浄化が働くようにして……これでよし」
トイレの排水は地下に伸びる魔法水路へとつながる。
そこで浄化魔法が働き、汚れは分解される。
森を汚さず、においも残らない。
「これなら安心して使えるだろ」
次はお風呂だ。
風呂は同じ部屋の左側に作ることにした。
広さを確保し、家の中でもゆったり入れるようにきちんとしたサイズにする。
ユウは木材に手をかざし、
湯船に適した形へと加工していった。
角が丸く、木の肌もなめらかで、
触ると手に心地よい温もりが伝わる。
「湯船はこれでいいな」
さらに、内部に耐水魔法をしみ込ませて腐らないようにし、
いつも清潔に保てるように浄化魔法も重ねた。
湯船を設置すると、
壁と床に魔法で耐湿処理を施した。
蒸気が部屋全体にこもらないよう、
天井近くに“空気の道”を作って換気もできるようにする。
「あとはお湯の仕組みだな」
お湯は、火魔法で温めた水を自動で流し込む形にした。
ユウはキッチンで使っている水の魔法と同じ仕組みを
風呂場にも引き込んだ。
手をかざして魔力を調整すると、
“お湯の量”“温度”“勢い”が自由に変えられる蛇口が完成した。
「これで……家の中でちゃんと風呂に入れるな」
ユウは湯船のふちを軽く叩き、満足そうにうなずいた。
次に洗い場の床を魔法で広くし、
水がはねてもすぐに乾くように調整した。
滑らない加工も忘れずに施す。
「あとは仕上げだな」
ユウは魔力を通して、
部屋全体を“清潔に保つ魔法”で包み込んだ。
これで汚れが溜まりにくく、掃除も簡単になる。
「よし、風呂とトイレは完成。これで生活が一気に楽になるな」
家の中が本格的に“住める家”になってきた実感があった。
ふと、今後の予定を考える。
「次は畑だけど……植えるものがないよな」
土は整備してある。
畑の場所も決めた。
しかし、肝心の“種”がない。
「森で何か探してくるか。食べられる植物もあったし、
種や苗になるものを見つけてこよう」
家の中の作業が終わったところで、
ユウは軽くストレッチをし、森の方へ歩き出した。
外に出ると、風が気持ちよく吹いていた。
鳥の声もよく聞こえる。
「まずは木の実や野菜になりそうな植物だな。
森ならいろいろ見つけられそうだ」
森の中を歩いていると、
赤い実をつけた低木が目に入った。
手にとって軽く匂うと、甘い香りがした。
「これ、前に食べたやつだな。種を使えば育つかも」
続けて、黄色い花を咲かせた草も見つけた。
葉を摘んでみると、さわやかな香りがした。
「料理に使える香草か。育ててみるのもいいな」
さらに、根の部分が太い植物も見つかった。
掘ってみると白い根菜が出てくる。
「スープや煮込み料理に使えるな。これも畑にほしい」
ユウは袋いっぱいに、
種や苗になりそうな植物を集めていった。
森から戻るころには、
太陽が少し傾き始めていた。
「けっこう集まったな。
これだけあれば畑になりそうだ」
家に戻ると、あらためて風呂とトイレの場所を見た。
どちらも家の中に perfectly 整っていて、
生活の形がようやく完成に近づいていた。
「今日の作業は大成功だな」
ユウはゆっくり深呼吸し、
窓から入る風を感じながら、
森の中での新しい生活がますます楽しみになっていくのを感じた。




