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【連載版】追放聖女はキャンピングカーで気ままに異世界を旅する  作者: 茨木野


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7/8

第7話 私の作ったご飯に冒険者たちが感動してる



 さて、リダケンさんたちに料理を作ってあげるか。

 それを売ってお金ゲットしないとだからね (なお所持金5万円女の私) 。


 私はキャンピングカー内のキッチンに立つ。


「肉ゲットしたし、キャンプ用に買ったルーも、お米もある。だから……【あれ】は作れる……けど」


 みんな大好き、キャンプご飯を作ることは簡単だ。

 けど……これは私が今食べたいものであって、彼らが食べられるものじゃあない。

 なぜなら、彼らは明らかに、数日ご飯を食べてなさそうだ。


 キッチンスペースから、リビングスペースにいるリダケンさんたちを見やる。


「……はぁ」「…………」「はぁ……はぁ……」


 みんな、明らかに衰弱してる。

 こんだけ腹減ってる中、【あれ】みたいな刺激の強いものを食べさせるのは、体に良くない……気がする。


 なら、今は体に優しいものを作ってあげよう。

 っと、その前に……。

 私は、棚にしまってあったコップを、人数分取り出す。


 キッチンの蛇口をひねって、コップに水をなみなみ入れる。

 お盆にコップをのせて、彼らの元へ。


「はい、どうぞ」


「は……? え……?」


「お水です」


「み、水ぅ……!」


 ちょー腹減ってるんだから、当然、喉だってめちゃくちゃ乾いてるだろう。

 彼らは目の色を変えて、私の持ってきたコップを見やる。


「い、いいんですか……!?」


 とリダケンさん。


「ええ。喉渇いてるでしょう? 遠慮無くのんでくださいな」


「あ……ああ……ありがとうございます……! みんな……! 水だ……!」


 ワッ……! とリダケンさんと、そのお仲間たちが、私からコップを受け取る。


「ごくごくごく……ぷはぁーーーーー!」


「う、うめえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「なにこれ、ちょー美味しぃいいいいいいいいいいいいいいい!」


 ……彼らは涙を流しながら、ただの水道水を飲む。

 いや、大気中の精霊を取り込んで水を作ってるらしいから (キャンピーが) 、正確に言えば水道水じゃあないかも。


「まだまだ水のおかわりありますけど、どうします?」


「「「いただきます……!」」」


 私は一度キッチンに戻る。

 またどうせおかわりするだろう……。

 私は棚をあさる。ピッチャー (投手にあらず) を取り出す。


 え、なんでさっきから都合良くいろいろ棚に入ってるかって?

 キャンプ行く前に、ホームセンターでいろいろ買ってきたからだよ。


 ホームセンターってさ、すごいよね。別に欲しいものじゃあなくても、とりあえず見たらつい買っちゃうんだ。安いしね、どれも。

 ま、そんな感じで、使う予定のない余計な用品までも、買っておいたのだ。ピッチャーもそれ。


 私はピッチャーに水をなみなみそそぎ、ふと考えて、冷凍庫を開ける。

 冷凍庫から、氷をいくつか取り出す。すでに氷を作っておいたのだ。ハイボールをこれで割ってのむつもりだったのである。


 氷なら水があれば無限に、ただで作れる。私はピッチャーの中にどばどばと氷を入れていく。


 ここまでサービスしているのは、善意半分、もう半分は商談をあとでスムーズに進めるためだ。


 心証良くしておかないと、彼らが冷静になったとき 、絶対にいろいろ突っ込まれる。

 帝国最新式でゴリ押しも、いつまで通用するかわっかんない。


 だから、いろいろサービスしておいて、信用を勝ち取ろう、って魂胆だ。


「お水のおかわりもってきましたよー」


 私は彼らの前にピッチャーを置く。

 思った通り、リダケンさんたちは目をむいていた。


「こ、氷!? こんな森の中で……氷……!? ありえない……溶けるはずなのに……」


「氷室的なものがついてるんですよ」


「は、はぁ……」


「さ、冷たいお水をどうぞ」


 リダケンさん達はピッチャーから氷水を、カップに注ぐ。そして……ごくごくごく! と勢いよくのむ。


「うっまぁあああああああああああい!」


「冷たくって美味しいわ……!」


「煮沸したぬるいお水じゃない、冷たい水を外で飲めるなんてすごいわ……!」


 あ、そっか。普通はぬるいのか。

 飲み水は、街から持ち運ぶか (魔法瓶なんてないだろうし) 、川の水を煮沸して飲む。


 いずれにせよ、ぬるい水になってしまう。

 だから、冷たい水が外で飲めることに驚いてるんだろう。


「ありがとう……ありがとう……」


 とリダケンさんの仲間のひとりが、涙流しながら、私に頭を下げる。おおげさな……。

 いや、まあ飲まず食わずで、だいぶさまよっていた彼らからすれば、私は地獄に現れた仏なのかもしれない。


「どういたしまして。もうすぐ、ご飯のほうもできますからねー」


 ぴー! と、電子レンジから音がする。

 そう、こうして彼らの相手をしながら、私はちゃんと料理を作っていたのである。


 え、電子レンジでチンしただけで、料理かって?

 それ一人暮らし社会人に失礼ですよ……? レンジで加熱だって立派な調理です、いいね……?


 私はキッチンへと移動。電子レンジの蓋を開ける。


「よし……ちゃんと暖まってるね」


 あとは使い捨て容器の中に盛り付けをする。使い捨てスプーンも用意して、OK。

 (どっちも現実世界のホムセンで買ったもの)


「料理ができましたよ~」


 私は彼らの元へやってくる。

 彼らはだいぶ、顔色がよくなっていた。水をたらふく飲んだからだろうか。


「料理……これは……?」


「おじやです。おかゆですよ、おかゆ」


 私が作ったのは、ホムセンで売っていた、レンチンで作れるおじやだ。

 ホムセンで購入。安かったし。要らなくても、まあ保存がきくから (パウチ入り) という理由で買っておいたのだ。


「な、なんだこのおかゆ……! 真っ白だ……!」


 え、そこ驚く……?


「すごい……こんな真っ白なおかゆ初めてみた……」


「ささ、どうぞどうぞ」


 彼らはじゅる……とよだれを垂らしながら、ただのおかゆの入った器を手に取る。


 スプーンで掬って、一口。


「どうです?」


「「「うっ!」」」


「う?」


 やべ、口に合わなかった……?


「「「うんまぁああああああああああああああああああああああい!」」」


 涙を流しながら、彼らはただのおかゆを、がつがつがつがつ! ととんでもない速さで食べていく。


「うめえよぉ……!」「すげえ、塩が効いてるぜ!」「ほんとだわ! だからおいしいのね!」「こんな高級料理が外で食べれるなんてぇ……」


 ……高級料理て。ただのレンチンして作った、パック入りおじやなんだけども。

 しかし、そうか。お塩が高い世界なのね。


 良い情報を聞けたぞ。塩をKAmizonで買ってそれを売る、なんてこともできそうだ。


「スミーさん……ほんとに、ありがとうございます!」


 リダケンさんが私に深々と頭を下げてくる。


「おれたちのために、こんな美味しい料理を作ってくれて……」


「いえいえ。気にしないでください。ちゃんと対価はいただきますし」


 善意を押しつけにならないように、そう言う。

 あくまで私は商人、彼らは商品を買ったということを強調する。

 そうしたほうが、後腐れ無くなるだろうからね。


「まだ在庫に余裕がありますけど……おかわりします?」


「「「「おかわり……!」」」」


「まいどありがとうございますー」


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― 新着の感想 ―
香辛料どころか塩まで高いとは、ナーロッパにしてはかなり文明化が低い設定なんですね。
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