第5話 結界パワーで魔物粉砕!
チートキャンピングカーを (文字通り) 走らせる私。
どうやらこの車、どんな場所も普通に走れるらしい。深い森の中(整備されていない道)だっていうのに、車は一切揺れることも無く進むのだ。森の木々もなんか知らないがぶつかることなく進める。
キャンピーの鑑定結果に書いてあったけど、この車、野外でしか使えない縛りがあるけど、野外であればどこでも走れるらしい。なんてチート車。それに……。
「わー……Wi-Fiまで通じてるよー……すげえー……」
現実世界 (以下、私が元いた世界のことを言う) で使っていたスマホ。
異世界で使えるわけがない。電波が通じてないんだから。
しかしこのキャンピー (※以下、キャンピングカーの愛称) に搭載されたWi-Fiに接続すればあらふしぎ、ネット使い放題だった!
「Y○uTube見れるし、サブスクも問題なく見れる……。ネット検索もできるし……」
しかも、車は自動運転可能。あんまお行儀良くないけど、スマホで動画見ながら車移動までできちゃうわけ。
なんだったら、後ろの荷台スペースへ移動し、ソファに寝そべっていてもいいわけだ。くぅ~……。
「キャンピー……あんた最高だよ……」
よしよし、と私は相棒のステアリングをなでる。
ちなみにハンドルをきちんと握りしめて、「運転するぞ」と念じるとオート運転が解除される (実証済み)。
あとは……自動運転モードで、人やら魔物やらを轢かないことが実証できれば、移動はキャンピーの自動運転に任せてもいい。
「森……広いな……」
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奈落の森
→ゲータ・ニィガ王国東部に広がる大森林。内部には多数の魔物が生息している。
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~~~~~~
ゲータ・ニィガ王国
→西方六大陸の一つに数えられる王国。王政が敷かれており、貴族制度が存在する。
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鑑定スキル、およびカーナビのおかげで、私は自分がどこに居るのかある程度把握した。
どうやら私はゲータ・ニィガの東部にいるらしい。
森の中には村はなく、あるのは近くの【アインス】っていう街。これは森のハズレに存在するそうだ。
いずれにせよ、この森を脱出する必要がある。
キャンピーは森の外、アインスの街を目指して運転してるんだけど……。
「ぜんっぜん森から抜けられないっていうね……」
もう一時間くらいは運転してる。でも、まだまだ森を抜け出せていない。
「ガソリン……減ってきたな」
私は知ってる。ガソリンのメーターが、残り1メモリくらいになっても、まあまあ動くってね。
でも……である。
「ガソリンは、KAmizonで買わないといけないんだよなぁ……」
現在の所持金、約5万円。ポケットに入っていた財布しか、こっちに持ってこれていない。
銀行にはお金が預けてあるけど、ATMなんぞこっちの世界にはない。さすがのキャンピーにも、そんなものは搭載していない。
何でもありの楽しいキャンピングカーだけど、「キャンピングカー」って体裁は一応保たれてるようだ。
……話は戻って。
「あと5万円……かぁ……」
5万が全財産だ。これが無くなると、愛しの相棒はただの鉄の塊となってしまう。……まあ、電気ガス水道は使えるけども。
街に行くまでお金は節約しないといけない。し、節約したとしても、保つかどうか……。
「ま、そんときゃ、徒歩で向かえばいいか」
車両は出し入れ自在だ。燃料がなくなったら、異空間に仕舞って、あとは歩けば良い。
なんとかなりそうだ……。とはいえ、できれば快適なキャンピーでの旅がしたい。早く森を抜けたいな……。
「っと、燃料がそろそろ切れそうだ」
キャンピングカーをいったん止める。
「燃料のチャージは……えっと、KAmizonでまず燃料を購入して……」
そのときだった。
「ブボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「……なんか、嫌な声」
窓の外から、獣の鳴き声がした。顔を上げると……。
「な!? で、でっかい……イノシシ!?」
~~~~~~
黒猪
【レベル】65
【情報】黒い毛皮に覆われた巨大な猪型モンスター。非常に獰猛、その巨体に違わぬ突進力を持ち、危険度が高い
~~~~~~
どうやらモンスターのようだ。しかし……レベル65?
どれくらい強いんだろ……。こっちのレベル基準がわからないから……。
でもポケ○ンでレベル65っていうと、まあまあ強くない?
「ブボォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
黒猪がこっちめがけて、突撃してきた。あわわわ……。
「は、魔物ぶっ殺し光線を……!」
だが、私がライトを付けるよりもはやく、黒猪が突っ込んできた!
まずい!
敵による悪質タックルだ……!
ぐしゃぁああ……!
「って……え? ええっ!? つ、潰れた……!?」
ひぃ……イノシシがミンチに……!
しかも血がフロントガラスにぃ~……って、あれ?
「血が……ガラスについてない……」
よく見ると、フロントガラスから少し離れた部分が、血で汚れているのがわかる。
「な、なに……何が起きてるの……?」
私はとりあえず運転席を出る。フロントガラスを、外からのぞき見る。……やっぱり、汚れてない。
一方で、車から少し離れた場所へと向かう。
空中に、血が付着している。私は……血に触れようとして、気付いた。
「なんか……見えない壁……? 的なものがある……?」
ぐっぐっぐ、とそこを押しても、何か堅いものが押し返してくる感触があるのだ。
「車の前に見えない壁があって……それに、イノシシがぶつかったってこと……?」
そういえば、と私は思い出す。
「大灰狼ってやつが襲ってきたときも、車体は傷一つなかったな……」
いくら現実世界の技術がすごかろうと、異世界の獣にぶつかって、無傷であるはずがない。
今回のイノシシによるタックルもそうだ。正面からイノシシが激突しても、車体は傷一つつかなかった。
見えない壁が……この車を守ってくれてる……。
「そうだ! 結界! 野外活動車の!」
~~~~~~
結界(野外活動車)
【種別】常時発動型スキル/自動障壁
【効果】車体全体を包む不可視の障壁。
物理・魔法を問わず、あらゆる害意ある攻撃を完全に防御する。
【制限】なし。
【動力】大気中の魔素を自動で利用するため、
効果が剥がれることは決してない。
~~~~~~
「そういや、あったね……野外活動車に、結界機能……」
いや、現実のキャンピングカーにはついてないけど。しかし結界搭載とか……すごいな……。
あれ? どんな攻撃も防ぐって……やばくね? それ移動要塞じゃね……ねえ、キャンピー君、ねえ……。
そのときだった。
ガサガサッ……!
「きみ! 大丈夫かい! そっちに黒猪が……って、え……?」
「え……? ひ、人……?」
……森の茂みの奥から、鎧やらマントやらを着込んだ人たちが、現れたのだ。
私も……そして、その人達も、ぽかーんとしてしまう……。
「君が……黒猪……倒したのかい……?」
……第一村人ならぬ、第一異世界人、発見。いや……私を召喚した人たちが、第一か……。
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