其の八十五「オスアナッカム」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
これは、私が最近いろいろな怖い話や都市伝説を聞く中で、
ふと心に引っかかった言葉について、ご紹介します。
◇◆◇
異世界転生──
事故や事件をきっかけに別世界へ行ってしまうという、ライトノベルではおなじみのジャンル。
もし私が異世界転生するなら……
中世ファンタジーの世界で、夢だった小さな BAR を営みたい。
夜な夜なお客様の話を聞き、ときに悩みを聞き、お酒を飲んで笑い合いながら過ごす日々。
そんな異世界生活をぼんやりと想像するのを楽しんでいました。
しかし、この言葉「異世界転生」を調べ続けるうちに、私は妙な噂を目にしました。
──この世界のどこかに「異世界転生スポット」が存在する。
さまざまなサイトや書物を調べましたが、その場所は明かされていません。
けれど、複数の資料を読んでいるうちに、その場所を示す“手がかり”が三つ浮かび上がってきました。
一つ、ある“特定の三つの条件”がそろった日にだけ、それは現れる。
一つ、そこには“場違いな街灯”が一本だけ立っている。
一つ、街灯の下で“パスワード”を唱えると異世界へ行ける。
そのパスワードは──「OSUANAKKAM」。
オスアナッカム? 多分こんな読みだと思うのですが、意味は不明。どこの言語かも分からない。
ただ、いくつかの資料にこれと同じ文字列が記されていました。
もしこの噂が本当なら、その街灯の下でその言葉を口にした瞬間、異世界に行けるかもしれません。
◇◆◇
異世界転生スポット。これを見つけたそのとき、あなたはどうしますか。
異世界転生しますか? それとも、この世界に留まりますか。
この話、本当らしいです。
なのでもし、この異世界転生スポットをお探しになるなら、それは自己責任でお願いします。




