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これから広まるかもしれない怖い作り話  作者: 井越歩夢


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其の八十参「赤色の矛盾について」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



これは最近私が知った「赤色」にまつわる話。

以前お話しした赤色の件とは、まったく別のものです。


◇◆◇


その日、私はいつものように愛車の赤いWRXを走らせ、三十分ほどのドライブを楽しんだあと、行きつけの店でコーヒーとシュガードーナツを味わいながら、パソコンを開いて次の怪談のための調べ物をしていました。


そのとき、幽霊や怪異に関する、とある記事が目に留まりました。


──幽霊・怪異は赤色を嫌う。


意外な一文でしたが、理由を読むと妙に納得してしまったのです。

彼らが赤色を嫌うのは、それが“生命の象徴する色”だからだと。


言われてみれば、確かにと思う部分もあります。

……ただ、すべてを鵜呑みにできるほど単純ではない、とも感じました。


なぜなら、私がこれまで見聞きしてきた怪談や都市伝説に登場する幽霊・怪異──特に女性の怪異は、むしろ“赤い服”をまとっていることが多いからです。


口裂け女は「赤いコート」。

トイレの花子さんは「赤いジャンパースカート」。

大阪・梅田の噴水にまつわる赤い女は「全身赤」。


こうして並べてみると、怪異たちはむしろ赤を好んで身につけているようにすら見えます。


◇◆◇


この矛盾は何なのか。

そう考えたとき、ひとつの仮説が浮かびました。


もしそれが真実だとしたら──私は背筋がゾゾゾとしました。


赤色を“苦手”とするはずの彼女たちが、わざわざ赤を身につけている理由。

それはつまり……彼女たちは本当は怪異ではなく、“人”なのではないか。


これはあくまで私のアイデアです。真偽は関係なく、まずは聞いてみてください。


◇◆◇


結論。


彼女たちは怪異ではなく「人間」だから赤を嫌わないのではないか。

むしろ赤い服を選ぶのは、自分の存在を強く周囲に示すためなのではないか。


そう考えたうえで、少し想像してみてください。


夜道をひとり歩いているとき、向こうから赤いコートの女性が歩いてくる。

長い黒髪、澄んだ瞳。口元は大きなマスクで隠れている。


「私、きれい?」そう問いかけられ、あなたは思わず「きれいです」と答える。


すると彼女は、ゆっくりとマスクに手をかけ──「これでも?」と、隠していた口元を見せる。


そこには、常識では説明できない“異様な形”の口が。


これが怪異なら、ただの怖い話で済むでしょう。

しかし、もしこれが“人間”だったとしたら?


都市伝説として知られる展開を、あなたは現実として体験することになるのです。

赤いコートの女が、異様な口元を大きく広げ、刃物を手に追いかけてくる“現実”。


想像しただけで、背筋がゾゾゾとしませんか。


◇◆◇


安心してください。これは私の頭の中で組み立てた作り話です。

ただ、幽霊・怪異と赤色の矛盾は、今後も調べてみる価値があると感じ、

私はノートにこう書き記しました。


「幽霊・怪異は赤色を嫌うのに、なぜ女性の怪異は赤い服を着がちなのか?」


メモを終えた私は店を出て、愛車の「赤いWRX」に乗り込み、資料集めのため図書館へ向かったのでした。


最後に、もう一度言います。安心してください。これは私の作り話。


この話、本当なのです。


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