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これから広まるかもしれない怖い作り話  作者: 井越歩夢


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其の七十八「またあそぼうね」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



以前、私はこっくりさんのお話を二つ書きました。

どちらも聞いた話でしたが、今回は私の体験談です。


これは、私が中学生の頃に経験した──いえ、“巻き込まれた”と言ったほうが正しいかもしれません。


当時の私は、怖がりなくせに怖い話が好きという、ただのオカルト好き。

周囲からは「霊感少女風間さん」なんて呼ばれていました。

当然ですが……私に霊感なんて、まったくありません。


そんな私が経験した、いえ、巻き込まれたこっくりさんにまつわる話です。


◇◆◇


私の通っていた中学校では、一時期こっくりさんが流行っていました。

期間にすれば、ほんの一か月ほど。

これは、その短いブームを終わらせることになった出来事です。


その日の昼休み。

クラスの女子三人組が、いつものように机を寄せてこっくりさんを始めていました。


「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら【はい】へお進みください」


三人の指が触れた十円玉が、ゆっくりと【はい】へ動く。

ここまでは、いつも通りです。


しかし、その日の“答え”は、どれも突飛でおかしいものでした。


「〇〇君の好きな人は?」――【が〇だ〇】


……〇ん〇む? 三人は顔を見合わせながらも続けますが、このあとはもう無茶苦茶です。


「〇〇先生と〇〇先生は付き合ってる?」――【ひでぶ】


「〇〇さんの好きな人は〇〇さん?」――【はどうけん】


ふざけているのか何なのか、三人は笑いを必死にこらえながら続けたそうです。


そして、そろそろ終わりにしようとしたとき──異変が起きました。


「こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻りください」


本来なら、十円玉は【はい】に移動し、鳥居へと戻る。それが“正しい終わり方”です。


しかし、その日は違いました。

十円玉は【はい】に行かず、ゆっくりと五十音表をなぞり始めたのです。


【おねえちやんまたあそぼうねばいばい】


そして、スーッと鳥居へ戻っていきました。


◇◆◇


その頃の私は図書室で本を読んでいました。そこへ、血相を変えた三人が駆け込んできたのでした。


「さっちゃん、ちょっと聞いて!!」


三人は息を切らしながら、さっき起きたことを必死に説明してくれました。


私には霊感なんてありません。ただ怖い話が大好きで、オカルト本を読み漁っていただけの中学生。

それなのになぜか学校では「霊感少女風間さん」と呼ばれ、こういった出来事に遭遇したクラスメイトたちの“相談役”にされていたのでした。


「最後に十円玉が鳥居に戻ったなら、大丈夫じゃないかな」


私は彼女たちにそう言い、加えて紙は処分して、十円玉は三日以内に使う。それでも不安なら神社に行けばいい──そんな、どこかで読んだとおりの言葉でアドバイスも伝えました。


この時三人は「お祓いして」と言ってきましたが、「そんな無茶な」と私は思わず笑ってしまい、

その笑いが少しだけその場を和ませました。


◇◆◇


三人はその日を境に、昼休みのこっくりさんをやめました。

私はその場にいなかったので、どれほど怖かったのかは分かりません。

でも、血相を変えて図書室に駆け込んできた三人の顔を思い出すと──きっと相当怖かったのでしょう。


【おねえちやんまたあそぼうねばいばい】――「お姉ちゃん、また遊ぼうね。バイバイ。」


最後になぞられたその言葉は、まるで年上の誰かに甘えるような響きでした。


そして思うのです。きっとあのとき三人のところに来ていたのは、“小さな子どもの霊”だったのではないかと。


◇◆◇


こっくりさんは遊びや占いではありません。“降霊術”です。


紙と十円玉だけでできるからといって、遊び半分でやるものではない。

時には彼女たちのように、思わぬ存在と“つながってしまう”こともあるのです。


これを知ったあなたは──こっくりさんを“遊び”でできますか。


この話、本当なんです。


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