其の七十六「七不思議を作ってください」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
ある日、読者様からいただいたメッセージを読んでいると、
その中に、ひとつ妙に引っかかる一文がありました。
「これから広まるかもしれない怖い作り話の七不思議を作ってください」
七不思議。この作品そのものの七不思議──。
私は思わず、スマートフォンを持つ手を止めました。
この一文に、私はとても興味をひかれました。
ただ、私は以前、七不思議というのは“七つすべてを知ってしまうと何かが起きる”という話を書いています。だから、七つ全部を創作するのはどうなのだろう……と。
そこで私は、こう考えました。──七不思議のうち、ひとつだけなら。
今日は、その“ひとつ”を創作しようと思います。
◇◆◇
これから広まるかもしれない怖い作り話の七不思議──その①。
この物語は、著者・風間咲良が書く創作怪談。
世の中にある都市伝説、怪談、怖い体験談などから得た“気づき”をもとに、
百八話の短編として紡がれる、創作された物語”怖い作り話”である……これ、本当なんです。
◇◆◇
この物語集は、あくまで私の創作です。“怖い作り話”と銘打っている以上、当然そうなのですが──時々、読者様からこんなメッセージをいただきます。
「今回の話、風間さんの実体験ではないですか?」
そのたびに、私はクスリと小さく笑っています。
みなさん、想像してみてください。
以前にも作中で書いている通り、私は怖い話やオカルト、都市伝説が大好きですが、
怖い映画、心霊スポット、お化け屋敷──そういった“視覚的な恐怖”は本当に苦手です。
怖い話を聞くことはできますが、“見る”こと、“行く”ことは極力避けています。
だって、背筋がゾゾゾと冷たくなるほど、そういう体験って怖いじゃないですか。
そんな私が、実体験をもとにした話を書けるでしょうか……本当に?
◇◆◇
でも時々、思うことがあります。
──本当に、全部が作り話なのだろうか?
私は怖い場所に行かない。怖いものを見ない。怖い体験を避けて生きている。
なのに、どうしてこんな数の“怖い話”を書けるのか。
どうして、時に読者様の体験と重なることがあるのか。
どうして、知らないはずの場所を、まるで見てきたかのように描けるのか。
もしかすると、七不思議の“その①”を深く掘り下げると、
その理由が見えてくるのかもしれません。
──私は作り話を書いている。でも、読者は時々こう思う。
「これは本当に作り話なのか?」と。
そして、私自身もまた──時々、ふと考えてしまう。
「これは本当に、私の創作した怖い作り話なのだろうか?」
◇◆◇
読者様から届く応援メッセージや、怖い体験談。
いつもありがたく読ませていただいています。
この創作怪談「これから広まるかもしれない怖い作り話」も、今回で七十六話目。
半分を過ぎ、壱百八話目の“終わり”が、少しだけ見えてきたようにも思います。
壱百八という数字には、いろいろな意味があります。
煩悩の数。除夜の鐘の数。
そして──“この物語を閉じるための数字”。
最後の創作怪談を読んでいただいたとき、
この物語「これから広まるかもしれない怖い作り話」の意味が、
もしかすると見えてくるかもしれません。
この話、本当なんです。
なのでその日まで、お付き合いいただければ嬉しく思います。




