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これから広まるかもしれない怖い作り話  作者: 井越歩夢


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13/53

其の十弐「こっくりさん」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。

これは私が先日、お酒の席で聞いた話。


語ってくれたのは、今では立派な社会人になった男性。

そんな彼がまだ小学生だった頃の話でした。


当時、彼の地域では「こっくりさん」が流行っていた。

学校では禁止されていたが

それがかえって子どもたちの好奇心を煽ることになった。


彼と近所の友人たちは、裏山に秘密基地を作っていた。

段ボールや木材を使った簡素な小屋だったが、彼らにとっては立派な「基地」。

そこである日、彼らは「こっくりさんをやろう」という話になった。


紙に「はい」「いいえ」「ひらがな」を書き10円玉を置く。

指を添えて、こっくりさんを呼ぶ。


「こっくりさんこっくりさん…」


呼んでみたものの最初は何も起きなかった。

だが、しばらくすると10円玉がスーっとゆっくり動き始めた。


「た・す・け・て」


彼らは顔を見合わせた。

お互い誰かが動かしているのだろうと疑いの目を向け合う。

だが、誰も笑っていない。誰もふざけていない。

そこでこの場の空気は変わった。これは本当に動いているんだ!と。


「何があったの?」と質問すると、また10円玉は動いた。


「た・す・け・て」


繰り返される「た・す・け・て」の言葉に、彼らは不安を覚えた。


「助けてって、何を?」と尋ねると、今度はこう指した。


「ど・ら・む・か・ん・も・り・の・お・く・た・い・や・4・ほ・ん」


ドラム缶。森の奥。タイヤ4本。


彼らにはその場所に心当たりがあった。秘密基地のさらに奥。

そうそう人の近づかない藪の向こうに、古いドラム缶が放置されていたのを思い出したのだ。


怖い。怖いのだが、怖さよりも好奇心が勝った。

彼らは、こっくりさんを終える儀式もせずに、紙と10円玉をそのままにして、裏山の奥へと向かった。

藪をかき分け、ぬかるんだ地面を踏みしめながら進むと、それは確かにそこにあった。

錆びたドラム缶。周囲には、古びたタイヤが4本、散らばるように置かれている。


「マジかよ!本当にあった…」


誰かがそうつぶやいた。だが、その瞬間、ふっと周囲が静かになった。

空気が重くなり、さっきまで聞こえていた鳥の声も消えた。

そして彼らは、何かに見られているような感覚に襲われた。


4本のタイヤの中央に、何かが埋まっているようだった。

その場所だけ周囲とどこか違和感があり、そこには黒い布のようなものが見えた。

彼らが近づこうとしたとき…


「やめろ!」


後ろから声がした。だが、振り返るとそこには誰もいなかった。


彼らは恐怖に駆られ、走って基地へ戻った。

基地に戻ると紙と10円玉はそこにあったのだが

紙の端には、見覚えのない赤い文字でこう書かれていた書かれていた。


「みーつーけーた」


その夜、彼は足を骨折する大怪我をした。

入院中、あの場所から何かが這い出てくる夢を何度も見たという。

顔は見えなかった。ただ、濡れた髪と、白い手だけが、ゆっくりと近づいてきた。

他の友人たちも、しばらくしてからそれぞれ奇妙な体験をした。物音、夢、誰かの気配。だが、誰もその話を口にしなかった。あの場所に行ったことも、こっくりさんをしたことも、なかったことにした。


それから何年も経った今でも、彼は裏山に近づかないという。


「こっくりさんは、遊びじゃない。あれは、呼んではいけないものを呼ぶ儀式なんだ。」


そう言って、彼はグラスを傾けた。それに加え、彼はもう一つこう言ったのです。


「この話をすると俺、いつも怪我をするんだよ。」


彼はそう言いニッコリと笑っていたのだが、大丈夫なのだろうか?

あのとき以降、心配なのだが今の所怪我はしていないらしい。


こっくりさん。この手の話は様々耳にします。

これは私の聞いたこっくりさんの話の一つ。


そしてこの話は、本当なんです。


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― 新着の感想 ―
背筋がゾクっとします。 これ本当なんです。
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