其の壱百参「超巨大お化け屋敷:入場無料」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
創作怪談を書いている私がこんなことを言うのも、おかしな話かもしれません。
でも、ここまでのお話を読んでくださっている方なら、もうお気づきでしょう。
私、風間咲良は――「超絶怖がり」です。
怖い話を“聞く”のは好きなのに、怖い映画は“絶対無理”と全力で拒否。
心霊スポットなんて、誘われた瞬間に“韋駄天も驚く速さ”で逃げます。
そんな、ちょっと厄介な「怖いもの好き」が私です。
そんな超絶怖がりが考えた「とてもリーズナブルで、とても怖いお化け屋敷」のお話。
皆さんは、こんなお化け屋敷、いかがでしょうか。
◇◆◇
そのお化け屋敷は、テーマパーク内にあるわけではありません。
どこかにぽつんと存在する、独立したお化け屋敷です。
外観は廃病院。
ただの廃病院ではなく、“本物の廃墟と見間違うほど”のリアルさを持つ巨大な建物。
一周するのにかかる時間は「最低でも」一時間。
某テーマパークの迷宮(総距離900m)を超える、総距離1000mを誇る超巨大お化け屋敷です。
内部は、スンと静まり返った薄暗い廊下、バラバラと剥がれた壁紙、ジトジトと湿った床。
そして、シタシタとどこからか聞こえる水音。
誰もいないはずなのに、背筋がゾゾゾと冷たくなる気配。
そしてそこに現れるのは、多様多種、幾多の“幽霊・怪異・妖怪”たち。
彼らは皆、“本職”です。
演技ではなく、そこに“居るだけで”、最高の恐怖を惜しみなく提供してくれます。
そして驚くべきことに――この超巨大お化け屋敷、入場は無料なのです。
ただし――
このお化け屋敷がどこにあるのか、いつ開場しているのかは、残念ながら情報がありません。
見つけること自体が難しく、たとえたどり着けたとしても、
“そのまま帰ってこなかった人”がいるとか、
“とんでもない呪いを受けた人”がいるとか……。
そんな噂が、まことしやかに囁かれています。
この話、本当なんです。
◇◆◇
どうでしょう?こんなお化け屋敷、入ってみたいですか。
実は私、一度だけ某テーマパークの迷宮に入ったことがあります。
あれは……本当に怖かった。出口に着いた瞬間、膝が笑っていました。
その体験よりもっと怖いお化け屋敷を想像してみたら、
こんな話が浮かんできたのです。
でも、もしこのお化け屋敷が本当に存在したら――
あなたはどうでしょう。
このお化け屋敷がもし目の前に現れたら……扉を開けますか。
この話、本当だったら私は絶対に入りません。
だって、怖いですから。




