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これから広まるかもしれない怖い作り話  作者: 井越歩夢


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其の九十八「本物の予言書」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



毎週楽しみにしているYouTubeチャンネルの中で紹介されていた、

短いネットロア(Web上で語られる噂話)。


様々な怖くも面白い噂を聞くうちに、

怖い話を創作する私も、一つ短いネットロアを書いてみようと思いました。


それが、これです。


◇◆◇


大昔――書いた事柄が必ず現実になると噂された、一冊のノートが存在したという。

そのページには無数の書き込みが残され、そこに記された大事故や大災害、社会を揺るがす大変革が、

まるで“書かれた通り”に次々と現実となり、人々はそのノートを恐れたと伝えられている。


それから百年以上が過ぎ、誰もがそんなものの存在を忘れた頃。

とある場所で、一冊の古びたノートが発見された。


中には、過去に実際起こった大事故や大災害、歴史的事件の発生日・発生場所・状況が克明に記されており、その記述が歴史上の出来事と完全に一致していたことから、オカルト界隈では「これは本物の予言書ではないか」と大騒ぎになった。


不可解なのは二つ。


ひとつは、ノートには西暦1999年までの出来事しか書かれていないこと。


そしてもうひとつは、持ち主と思われる署名の部分だけが、

現存するどの文字体系とも一致しない“読めない文字”で記されていたこと。


――このノートはいったい、誰が、何のために使っていたのか。


◇◆◇


書かれたことがそのまま現実となるノートが、長い時を経て存在を忘れられたころに発見され、その内容から「本物の予言書」と呼ばれるようになる。


もし誰も、このノートが「書いたことが現実になるもの」だと知らなければ、

書かれた内容が歴史上の事実と一致していることを「予言」と思うのは当然なのかもしれません。


では――誰が、何のために、このノートを使っていたのか。


歴史はもしかすると、解読不能の署名を残した“持ち主”の手のひらの上で転がされているのかもしれない――。


どうでしょう、私の作った怖い噂。少しは怖く感じていただけましたか?


この話、本当なんです。



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