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第8話

 どうしてここにフェンリルがいるんだよ!


 レフの森にはいないモンスターがどうしてここにいるんだよ!


 レフの森の話じゃなくてフェンリル自体がこの世界にまさか実在するなんてな。


 フェンリルなんか空想の話だと思っていた。


 フェンリルの前に立って分かるが、こいつとんでもなく強い。


「ね、ねぇ」


「お前はとりあえず黙って逃げろ」


「落ち着いて」


「俺は落ち着いて」


「私の話を聞いて!」


 マイが俺より大きい声を急に出したことで俺は驚いて黙ってしまう。


 その行動のおかげで俺は少しだけ頭の整理をすることができた。


 マイが大きな声を出してもフェンリルはこっちを襲ってこないってことは敵意は無いのかもしれない。


「まず、2人が生き残ることを考えよう。だから、ゆっくりフェンリルから離れよう」


「ああ」


「逃げれるなら逃げよう。もし無理だったら2人でフェンリルと戦おう」


「分かった」


 よくこんな状況で冷静にいられるな、もしかしたら死ぬかもしれないのに。


「ゆっくり後ろに下がって行こう。こっちに敵意がなかったら見逃してくれるかも」


 俺とマイはフェンリルの動きを見ながらゆっくりと後ろへ下がっていく。


 頼む、見逃してくれ。


 2歩目、3歩目とゆっくりと確実に歩を進める。



 おかしい、確実にフェンリルから離れていっているのに追い詰められているような感じがする。


 だが、距離があれば俺らでも逃げられる。


 だから、襲いかかってくるなよ。


 ゆっくりとゆっくりとフェンリルを刺激しないように後退る。


「ここまで来たら思い切り走って逃げればいけるかも」


「じゃあ合図はそっちに任せる」


 マイがGOのサインを出せば俺とマイはこの場から走って、フェンリルから逃げ切る。


「まだ…、まだ…、まだ…、今!」

 

 俺とマイは覚悟を決めて振り返って走り出す。


 最初に後退りで進んでいたおかげでフェンリルとの距離を稼げた。


 流石にフェンリルであれどもう俺たちには追いつけないだろう。


 悔しいが今の俺ではあいつに勝てるかどうか分からない、次に会った時は絶対に勝てるようになってやる。


 

 ドンッ



「嘘…」


「どうやら戦うしかなくなったようだな」


 俺は目の前にいるフェンリルを前に覚悟を決める。


「お前だけでも逃げろ」


「言ったでしょ、逃げるのが無理だったら2人で戦うって」


「そうだったな。2人で生きて帰るぞ」


「うん」


「お前は何が出来るんだ?」


 2人で協力して戦うためまずマイが何が出来るのかを知る必要がある。


「私は罠魔法が得意だけど、フェンリルに効くかどうかは…」


「そうか」


「でも、時間を稼いでくれたらより強力なやつが作れる」


「じゃあ、俺が意地でも時間を稼ぐから罠の設置を頼む」


「分かったけど、そっちは大丈夫なの?」


「ここで俺は限界を超えてやる」


「信じてるからね」


 信じられたならその思いに応えないとな。


「来い。俺が相手してやるよ」


 そう言って俺はフェンリルに向かっていく。



 ***



「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 剣に体重を預けないと立てなくなってきた。


「レンくん!罠が出来たよ!」


「バカ!大きな声出すな!」


「えっ?キャッ!」


「マイ!」


 マイはフェンリルの振り回した尻尾に当たり、木に打ち付けられた。


 そのせいでマイは気を失ってしまった。


 ここで俺までもがやられてしまったら2人とも死んでしまうな。


 いや、死なせねぇよ。


 あいつは俺が死なせないし、俺も死なない。


 俺の全てをぶつけてこのフェンリルを倒してやるよ!


 この技が効かなかったら2人とも死んでしまうが、命をかけてマイを守ってみせる。


「覚悟しろ。テンチライメイ!」


 全ての魔力を剣に集め、フェンリルに向かって振りおろす。


 それと同時に俺は全ての力を使い果たしたため意識が遠のいていく。


 意識が遠のいていく中、俺のテンチライメイがフェンリルに当たり、フェンリルが倒れていく姿を見た。


 フェンリルが倒れたのを確認して俺は気を失った。


 

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