第36話
おー!
ここがグラナミ闘技場か!コロッセオみたいでカッコいいなぁ。
このちょっとボロボロ感が異世界感があって好きなんだよなぁ。
いやぁこんな良い所で闘えるのは正直羨ましく思っちゃう。
ここで闘う人は楽しいんだろうな。
「あっちでお金払うみたい」
「分かりました」
俺たちは受付してくれる場所に向かった。
「すみません。2人いけますか?」
「はい。席は2種類ありますがどちらにされますか?」
「すみません、何と何があるんですか?」
「はい。普通席か特別席になります。特別席のお値段は高くなりますがどうされますか?」
「じゃあ特別席で」
俺は即答で言った。
「え、大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ」
「特別席ですね。お値段はこちらになります」
「はい、どうぞ」
「…はい、こちら特別席のチケット2枚です」
俺はチケット2枚を受け取った。
「ありがとうございました」
俺もペコッと頭を下げてその場から離れた。
「大丈夫なの?結構高かったよ」
「大丈夫ですよ、だって俺のお金じゃないですし」
「ジンのお金じゃないの?」
「そうですよ。サテライトから出してもらってるので」
他人からお金を出してもらってるから遠慮なく使える事が出来る。
え?心が痛まないのかって?そんな感情はとっくに捨ててきた。
だってさっきのミカン買った時もご飯食べた時も他人のお金だから出来た事だから。
「…ん〜。じゃあいっか!」
ハルさんは少し考えたけど俺と共犯になってくれた。
「良いんです」
俺も仲間が出来て嬉しい。
「あ、ちょっと待ってください」
俺はさっきの受付の所に戻る。
「すみません」
「はい。何でしょうか?」
「俺もこのトーナメント戦に出たいんですけど今からでも間に合いますか?」
実は出てみたかった。
こんな良い場所、良い相手、良い環境、出ないわけにはいかない。
俺も異世界に転生したからにはこういうのはやっておかないと。
だけど、こんな飛び込みで参加出来るとは思ってない、一応聞いてみただけだ。
「はい。いけますよ」
「え!いけるんですか?」
「はい。いけますよ」
受付の人はさも当然のように答える。
「ここにお名前を書いてください」
「あ、はい」
俺は出された紙にレンの名前を書いた。
転生前からの癖で自由に名前が書ける時は嫌いな奴の名前を書く事にしてる。
これで何度も嫌いな奴に責任を押し付けてきた。
「書きました」
「…はい、確認できました。アナウンスが流れたら待機場所に行ってください」
「分かりました」
こんなあっさりで良いの?
商品棚に商品は無いけど一応店員さんにあるか確認する感覚で聞いたから驚いてる。
「何しに行ってたの?」
「俺も出る事になりました」
「何に?」
「このトーナメント戦に」
「え〜〜!!」
良いリアクションだなぁ。
「どうして出るの?」
「出てみたくなっちゃって…」
俺もまさか出れるとは思ってなかったから俺も驚いてる。
「一応目立たないようにしてね。何かあったら困るから」
「大丈夫です。名前はレンにしましたから」
「ど、どういう事?」
「これで俺に負けてリベンジしに来る奴はレンの所に行くからです」
これでレンが不幸になってくれたら俺はすごく良い人生だったと言える。
「それにこれで顔を隠したら誰か分かりませんから」
そう言って俺はフードを被ってみせた。
「そこまで言うなら」
「俺の活躍見ててくださいよ!」
「出るからには優勝目指してよね」
「もちろんです!」
『レン選手とトーン選手は待機場所に向かってください』
アナウンスが流れてきた。
もう!俺さっき名前書いたばっかりだよ。
「じゃあ行ってきます」
俺は小走りしながら振り返ってハルさんに手を振る。
「頑張って」
ハルさんも手を振り返してくれた。
もしかしてこれって俺のカッコいい所を見せるチャンスでは無いのか?
じゃあ目指すは優勝しかない!




