第34話
ガーメルの大群からなんとか被害を受けずに行けた。
これって何気に初めての護衛の仕事をこなした事にならない?
「ガーメルってどれだけ頑丈で岩でも避けずに蹴り壊して、自分より大きなモンスターがいても構わず突っ込んでくる怖いもの知らずの生き物なのに…」
あんな見た目でも凶暴な性格を持ち合わせてるんだな。
「どうですか?俺強かったですよね?」
「え、…あ、うん」
「ハルさんの護衛続けて大丈夫ですよね?」
「…うん」
よしよしこれで一旦は護衛の仕事は続けれる事は出来そうだ。
だけどまだまだ俺とハルさんには変な距離感が存在している。
一体何をすればハルさんとの距離を縮めれることが出来るんだ?
「そう言えばハルさんの何の魔法がファントムに狙われてるんですか?」
極悪犯罪集団が狙う魔法ってことはそんなにヤバイ魔法なのか?
「…毒」
「ん?なんて言いました?」
「生まれつき毒の魔法が使えるの」
「毒、ですか?」
「ただの毒じゃないの」
あーだから師匠とサテライトの人たちはこの人が攫われないようにしてたのか。
極悪犯罪集団に毒なんか持たせたら何しでかすか分かったもんじゃない。
「私が作るのはちょっと特殊らしくて、それがどうしてかファントムに知られて…」
「まぁ大丈夫ですよ、こっちに来ないように囮まで用意してるんですから」
それにファントムにその情報がバレないように全生徒に知らせずに俺らだけに知らせたんだからな。
「それにあっちには師匠がいますからあっちに行ってからこっちに来る事なんて不可能ですよ」
師匠がいればどんな敵だろうと倒すから問題ない。
「さっき見た通り俺もちょっとは強いのでこの3日間は安心してください。もうただの旅行にしましょう!」
「旅行…。うん。楽しそう」
良かったぁ〜、やっとハルさんが安心してくれた。
フードを被って表情は見えないけど警戒心がずっとあったのが気になってたんだよなぁ。
だけど旅行の言葉でやっと雰囲気が柔らかくなった気がする。
「あっち行ったら何します?って言ってもあっちに何があるか分かりませんけど」
「私もそもそも遠くに行った事ないから何があるか分からないの」
「とりあえず着いたら荷物だけ置いて街をブラブラ歩きますか?」
「そうね、そうしましょう」
そこからしばらくは街に着いたら何をするのかを話し合った。
さっきとは違ってギスギスした空気じゃなくて楽しい気持ちでいっぱいの空気が馬車いっぱいに包まれた。
***
「ん?止まった?」
あれからずっと話していたけど一度も話す事をやめずにここまで来た。
「着いたよ」
馬車を御していたおっちゃんが声をかけてくれた。
「着いたみたいですね」
「そうね」
「とりあえず降りましょう」
「うん」
俺はハルさんよりも早くに降りてさっきのリベンジをしようと思う。
「どうぞ」
俺はハルさんに手を差し出す。
ハルさんは俺の手を一瞬だけ取るそぶりを見せるがすぐに引っ込めた。
「大丈夫。1人で降りれるから」
「そうですか」
やっぱり俺の手が汚いの?それしか俺の手をとらない理由がない気がするんだけど。
だって行きの時はは仕方ないとして今はもう違うじゃん、ちょっとは仲良くはなったつもりだったのに。
まぁまだ始まったばかりだし、切り替えていこう。
そしたら見えるはずだ、ウエディングロードが!
待ってろ!バカ!




