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第31話

 一瞬何が起こったのか分からなかったけどすぐに理解した。


 負けた。


 完璧に負けた。


 俺が一瞬でもイケると思ったのを嘲笑うかのような一撃だった。


「強くなったねぇ。それだったら今回の作戦は安心出来るよ」


 師匠の言葉でようやく俺の体が動いた。


「だけど私にはまだまだ届かないよ」


 そんな事言われなくても分かってた。


 分かってたけど戦わないといけなかったんだ。


「じゃあ私は寝るから。ちゃんと作戦には参加しなさいよ」


 俺は痛い体を無理やり起こして立ち上がる。


「そんなに強いのにどうしてあんな作戦になったんだよ!師匠ならあんな奴ら一人でも勝てるだろ」


「…」


 俺の必死の言葉に師匠は少しの間黙ってしまう。


「この作戦に失敗は許されない」


「そんな事聞いてねぇよ!」


「…意志を受け継がないといけないのさ」


「は?」


 その言葉を吐いた師匠の背中はいつもと違って見えた。


 覚悟、それが言葉に出てるのを感じた。


 師匠は一体誰の意思を受け継ごうとしてるんだ?


「ほら、私が勝ったからちゃんとハルの護衛をするんだよ」


「…ああ」


 いつも通りの師匠に戻った。


 あまりの違いに俺はもうこれ以上師匠に言うことはやめた。

 

 師匠には師匠なりの覚悟があってこの作戦にしてるのを感じたから何か安心した。


 その意志が何かは言ってもらえなかったけど、師匠が言いたく無いなら俺も聞かないでおくよ。


 俺も転生してきた事を師匠には言ってないからお互い色々あるのだろう。


 じゃあ俺が今後やるべき事は師匠との約束を守るためにハルさんの護衛を頑張る事だ。


 とは言っても俺がやる事は来るか分からないファントムからハルさんを守るだけのお仕事だ。


 正直な話俺がやる事なんて何一つとして無いんだよなぁ。


 ファントムはあっちに行くって言ってたし、あっちには師匠がいるからこっちに来る事も無い。

 

 だから俺がやる事なんかハルさんと二人きりで……!


 あれ?俺ハルさんと二人きりで3日間過ごす事になるの?


 え〜また見えました。


 ウエディングロードが。


 まず、ありがとうございます。


 今回は今までとは比べものにならないくらい簡単かもしれません。


 だって今回は2人きりなんだよ?今回は邪魔者がいないんだよ?笑っちゃうよ。


 今回は簡単過ぎて今までがアホに見えてくる。


 だったら無駄にフラれる事なんかするんじゃなかったわ。


 だって今回で確実に絶対に100%俺に彼女が出来るのだから。


 あ〜あ過去の俺に言ってやりたいわ。


 そんな訳の分からない女はやめておいてハルさんにしておけって。


 父の形見とか、亡くなった母に送ったとか、そんなのどうでも良いから。


 あれを解決したところで俺の活躍なんか見てくれないからな。


 じゃあ俺はただハルさんとデートするだけの簡単なお仕事なんですね。


 長かった…、今回で終わりだ。




 いや、ちょっと待て。


 俺って普通のデート出来るの?


 転生前も転生後もモテなかった俺が何もキッカケの無い普通の状況で俺に惚れる事ある?


 あれ?もしかして今回が1番難しい?

 


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