第28話
なになになになに?
サテライトの人達がこんなに集まって一体今から何が始まるの?
サテライトの人達もすっごい怖い顔してるから超ビビるんですけど。
俺たちはサテライトの人たちの威圧に圧倒されて中々部屋に入れないでいた。
「何してるんだい、早く入りな」
師匠に促されてようやく俺たちの足が動いた。
これが圧倒されるって事なのか、転生前では味わえない事だな。
大体ここだろうなって所まで行って立ち止まる。
別に場所は指定されてないから間違ってはないはず。
それにしてもどうしてサテライトの人達がこんなにも集まってるんだ?俺たち3人なんかやっちゃった?
それだとしたらこの部屋の中ですごく浮いてる存在がある。
それはすごく似ている女の子が2人いることだ。
明らかにこの部屋の中で浮いてる存在になってる。
「とりあえず集まってくれてありがとう」
静寂の中学園長が口を開いた。
「こうやって君たちに集まってもらったのは他でもない、ファントムの事だ」
ファントム?新しい魔法?
ファントムっていう言葉を聞いた瞬間部長とレンの顔が強張る。
そんなに危険な魔法なのか?
「ファントムってなんですか?」
俺は小声で隣にいる部長に聞いてみる。
「ファントムを知らないの?」
小声でも分かるくらい部長は驚いている。
「ファントムはとんでもない極悪犯罪集団だよ」
とんでもねぇ奴らだった。
極悪犯罪集団?ただでさえ犯罪集団は極悪なのに極悪犯罪集団って事は犯罪集団の一個上だな。
「強盗、殺人を毎日のように行ってるのにまだ誰一人として捕まってない実力者の集団でもあるんだ」
師匠がサテライトにいるのにまだこいつらが捕まってないのを考えると相当な実力があるんだろうな。
「そのファントムがオズマサール学園の学園祭の最終日にやってくる事が分かった」
学園祭の最終日に?!
じゃああれだな、学園祭は中止になるんだな。
だって理由は知らないけど極悪犯罪集団が来るんだから。
俺は別に出ないから中止になってくれてむしろ嬉しいまである。
「学園祭は中止にするんですか?」
隣にいた部長が学園長に聞いた。
「いや、学園祭は実行する」
「「「え?」」」
俺たち3人は声をあげた。
「この学園祭でファントムを捕まえる事にした」
な、何言ってんだ?この人は。
「どういう事ですか?人がたくさん来るこの学園祭でどうして中止にしないんですか」
俺も絶対に中止にした方が良いと思うんですけど…。
「理由は…言えない。だが、多少の犠牲を払ってでもファントムを捕まえないといけないんだ」
理由が言えない?そんな事ある?
まぁ極悪犯罪集団だから捕まえないといけないのは分かるけど、多少の犠牲を払ってもいいのが分からない。
普段の師匠だったら絶対にそれでokとは言わないはずなのに…。
「もうこれはサテライトと何日もかけて話し合って決めたから変わることはない」
何日も?だからタクトがカレンちゃんの屋敷に盗みに入る時サテライトの人たちが忙しくて人数を割けられなかったのか。
じゃあ俺たちがどうこう言っても意見は変わらないのだろう。
「本当に犠牲は仕方ない事なんですか?」
「申し訳ないがもう決まった事なんだ」
「そうなんですね…」
「だがもちろん最初から犠牲を出すつもりは無い。だから君たちを呼んだんだよ」
いや、俺たちなんかただの学生よ?
「10年に1人の天才シューヤくん、期待の新人レンくん、サキくんの弟子のジンくん」
部長って10年に1人の天才なんだ、とんでもない人だったんだ。
誰がレンに期待してるの?あんな奴そこら辺にいる奴と変わらないだろ。
なんか俺だけしょぼくない?
俺だけ師匠の弟子だから呼ばれてる人みたいになっちゃってるよ。
いや、魔なし嘘つきのジンよりかはマシだけど…。
もうちょっと…ね?カッコいいのが欲しかった。




