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第26話


 そりゃそうだよな、魔力無い奴が魔力を使う競技に参加出来るわけがない。


 ちょっと考えたら分かる話だ、なのに俺はちょっと期待してた。


 ここで活躍したら一気に人気者になるんじゃないかって。


 でも現実は甘くなかった。


 流石に俺に不利過ぎない?この世界。


 都合良く俺の思い通りになってほしいとかそんな事じゃなくて、もうちょっとだけ俺に優しくしてよ。


 何が言いたいって、挑戦はさせて欲しかったって話なんだよ。

 

 もう転生した瞬間から負け確なんだよなぁ。

 

「ま、まぁお祭りなんだし、楽しんだもん勝ちだから」


 部長は俺に気を遣って声をかけてくれた。


 声をかけてくれたからって今回の俺は深い深い傷を負ってしまったから部長には悪いけど返事をする元気が出ない。


「お祭りって良いよね、名前の響きからして楽しいのが伝わってくるから」


 ごめんなさい部長。


 もう俺はダメかもしれないです。


「どうする?2日目は暇だから僕と一緒に回る?」


「……っ!」


 部長からなんとも魅力的な提案をされてしまう。


「僕美味しい屋台の所知ってるから」


「ぶちょーーーー!!?!」


 俺は部長の優しさに思わず泣いてしまった。


 ホップ・ステップ・ジャンプで俺は部長に抱きついた。


 俺はここ最近で何回部長に抱きつくんだ?


 部長も部長で俺に抱きつき慣れてしまってる、初期に比べて抱き心地が全然違う。


 俺の飛び込みに対しての受け入れ方がプロになってきてる。


「ウエーーン!!」


「よしよし」


 泣いてる俺を部長は優しく慰めてくれた。



 ガラガラッ


 

 扉が開く音がする。


 最悪だ、見なくても分かる。レンがもう来たのか。


 せっかく俺が部長を独り占めしてるのにレンが来たら文句を言うに決まってる。


 もういいだろアイツは、ハーレムも出来てるし友達も出来始めたし、これ以上あいつと差が開いてしまったらもう俺はどうすればいいんだよ。

 

「お前は何をやってんだい…」


 俺はあまりに聞き覚えのある声に勢いよく振り向く。


「ババア!」


 家にいたら嫌でも聞こえてきてしまう少し掠れた声が。


「誰がババアだ!師匠って呼びな!」


 俺はいつも通り距離を詰められ思いきり師匠のゲンコツをもらう。


 もうこれが尋常じゃなく痛い。


 これがまだまだ若くて20代30代のゲンコツなら分かるけど、もう60代70代かもしれない人間のゲンコツだとは思えない。


 歳は聞いたらゲンコツじゃ済まなさそうだから聞いてない。

 

「イッテェ!」


 俺は殴られた場所を抑えてその場に転がる。


 床が汚い?そんなのは関係ない、こうでもしないと痛みが和らがない。


「どうしてあなたがここに?」


 部長が師匠に尋ねる。


 てっきり部長は知ってると思ってたけどその反応は師匠が来るのは知らなかったのかな?


 ん?「どうしてあなかがここに?」部長は師匠の事を知ってる?


「あ?フミヤの馬鹿に何も聞かされて無いのかい?」


 フミヤ先生を馬鹿扱いする事無いだろ。


 ちなみにフミヤ先生は一応ここの顧問をしてもらってる。


 一回も来たところを見たことは無いけど。


「いえ、何も」


「あの馬鹿が」


 うわ、もうフミヤ先生の顔を見ることは無いかも。


 俺は心の中でそっと手を合わせておいた。


「これで全員かい?」


「いえ、あと1人います」


「いつ来るんだい」


「あともう少しで来るはずです」


「そうかい」


 いや、そもそもどうして師匠が部室に来たんだよ。


 俺だけに用がある感じじゃなさそうだからボランティア部に用があるんだろうな。


「……」


 ん?


 師匠が俺をじっと見つめてくる。


 何?また俺なんかやっちゃいました?


「いつまで立たせておく気だい」


「立っとけよ、ババアなんだから」



 ゴンッ



 また鈍い音が教室に響いた。


「イッテェェェェェ!おんなじトコ殴るなよ!」


「お前が口答えするからだよ」


「椅子くらい自分で持ってこいよ!」


「歳上は敬うもんだよ」


「やっぱりババアじゃねぇか!」


「だから!師匠って呼びな!」


「もう無理もう無理。もう頭がもたない」


「じゃあ腹に一発で我慢しといてやる」


「腹もヤダ!」


 俺は必死に師匠から逃げ回る。


 こうなるくらいなら椅子差し出しとけば良かった。


「ど、どういう状況ですか?」


「あ、レン。うーん、僕も分からないかな」

 

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