経緯とパズル
目を閉じ、深呼吸をしたしげさんの目は後悔の色で染っていた
< 茂 >
俺はよく夜に散歩をしているんだ。
まぁ、理由は聞かないでくれよな、大したもんじゃねぇから
そんなある日のことだ
拓馬が散歩にこれから行こうとしていた俺に声を掛けて来たんだ
「ねぇお父さん、ぼくもお父さんとおさんぽ行きたい!ママにはいいよ!って言ってもらったよ!!」
しっかりしてる小学生3年生だよな
日常生活の中でも本当に小学生なのか疑うような行動をとる事があったが、こう見るとまだまだ子供なんだ
そう思えていた
『そうか 〜 、なら行くか!』
そうして散歩に行っていたんだ。
数分歩いたところで、だ
よぼよぼの杖をついて歩く婆さんに声を掛けられたんだ
「あの〜 、… ここに行きたいんじゃが、行き方が分からなくてのぉ、困っておったんじゃ … 」
婆さんが行きたいと言ってきた所は俺行きつけの居酒屋だ、ここで本当は不審に思うべきだったんだろうが
拓馬がこういってきたもんでな、
「お父さんのカッコイイ所ぼくみたい!」
「ぼくのお父さんは世界一カッコよくて優しいんだよ 〜 !お婆さんは運がいいね!」
ってな、そんなことを言われちゃあ断れねぇし
拓馬の期待を裏切るような真似なんざしたくなかったんでな。
居酒屋に連れて行っていた道の路地裏でだ
婆さんが口笛を鳴らし
黒い何かを纏った連中に俺の息子諸共拉致られたって訳だ。
―――――――――――――――――――――――
< ふま >
しげさんの話を聞き終えた所で、エレベーターの扉に貼り付けられている2人が目を覚ましたのだ。
「 … ん、、?ここ … どこ … 。」
「ぉと …… さ …… 。」
『あいら!!目を覚ましたの?拓馬くんも!!』
「拓馬…今すぐ助けてやるからな、っ」
「待ってください2人共、ここにこんな物が…」
功さんに呼び止められたしげさんとボクは功さんの方に振り向く
そして功さんの方へ向かって歩いていくと、
『封筒…?あ、裏になにか … 』
「本当だな…、コアン | サゼノゲジ … 」
「縦読みですよしげさん … 」
少し呆れながらしげさんに言葉を発する功さんを横目にボクは封筒の裏に書かれた文章を読み上げる
『えーっと、“この封筒を開けると制限時間タイマーが起動し、最悪の場合全員死ぬ。”って書いて … ますね』
「…はい。」
『も、もしかして … 功さん』
「開けて … しまいました、」
『まだ中身を確認した訳ではないんですよね、?』
「はい … 勝手に開けてしまって申し訳ありません … 」
大丈夫ですよ!
功さんを励ますボクに、しげさんも
「もうやっちまったんだ、最後までやりきる責任が俺らにはあるんだ」
「そう落ち込むな、今は前だけを向け」
そう言っていた。
封筒の中を取り出したボク達3人
封筒に入っていたのは、
・4色の色んな形をしたパズルピースの様な物
・4つ折りにされたメモ
・小さな鍵
大雑把に言えばこの3つだった
初め手に取ったのは4つ折りにされたメモ
エレベーターに貼り付けられている2人が見守る中固唾を飲み封筒の中に入ってあったメモを開き読み上げる
『今からお前たちにパズルを解いてもらう』
『簡単なパズルだ、制限時間は40分10分が経つ事にどちらかのエレベーターの扉が5cmずつ開いていく』
『時間は近くの丸い机に置いてある砂時計を確認することだな』
「もう始まってんだろうな … 」
「急がないとまずいですね 、、」
3人で取り敢えず封筒に入っていたパズルピースを広げ
どうくっつければ良いのかをそれぞれ考え始める
4色のパズルピース
ピースの色展開は赤、青、黄色、緑だ。
どこかで見たような気がする …
パズル“ピース”があるのはいいんだけど
なんかこう … 違和感というのだろうか、変な感じがしてたまらない
(あぁ、そうかあれがないんだ)
『あのっ、しげさん、功さん』
「「どうしたふま / どうしましたか?」」
『えっと、パズルピースを繋げるのはいいと思うんですけど、置く“台座”みたいなものがないのが気がかりで … 』
「 …… 確かにそうですね、ここでパズルを完成させてもどうやって2人を解放させるGMに伝えるか、ですもんね」
「よし、わかった…俺はパズルが苦手なもんでな、そこら辺を捜索してくるよ」
『分かりました、ありがとうございます』
フローリングに座り込み作業をしていた為
首でお辞儀をし、感謝の気持ちを行動でもしげさんに伝えた
「ふまさん、僕この配色どこかで見た気が … 4色というのも … 気になりますね」
『はい、ボクも気になります … 』
頭のどこかでつっかえている様なむずむずとするそんな気分だ
しげさんが辺りを探しに行って数分が経った
ガシャン … ミシミシミシッ …
「え、ぁ…ちょっ、、」
あいらが貼り付けられている緑のエレベーターの扉が少し開いた
それと同時に頭によぎる
もう10分が経ってしまったのだ。と。
『あいらっ!!』
ガバッ、と立ち上がりあいらの元へ行く
よりにもよってあいらが …
いや、今はそんな事をしている場合じゃ …
頭の中ではそう思っていてもあいらは親友なのだ。
簡単に割り切れるほど関係が浅い訳では無い
「ふま、私は大丈夫、今はパズルに、集中しないと」
『 … うん。』
「それにそんなに痛くないし!」
『わかった、なるべく早く解く』
「うん」
あいらと会話したあとまた功さんの所へ戻り
一緒にパズルを解いていく
そんな時、しげさんが声を上げた
「ふま!功!これみてくれよ!!」
その声にボクと功さんが顔を合わせ
もしかしたら、
そんな気持ちでしげさんが居る渡り廊下に行く
「何かあったんですか?」
「あぁ、この台を見てくれ」
しげさんが指さした先には
木製で横30cm縦20cm程の額縁が置いてある
しかもその額縁の角には
“ 赤、青、黄色、緑のピースが歪な形で埋まっていた ”
さてさて、3人はエレベーターに貼り付けられた2人を助けることが出来るのでしょうか …
4色のパズルピース、額縁の端にはめ込まれた4色のピース達 …
誰も助けられないエンドとかも番外編とやらで出してみたいなぁ … (ぼやき)