大掃除 【月夜譚No.295】
ランキング一位だからといって自分に合うとは限らない。多くの人が評したものでも、各々違う人間なのだから、全人類に当て嵌まることはないのだ。
そんなことは当たり前だというのに、よく考えもせず過ちを繰り返すのは、人間の性なのだろうか。
彼女は自身の部屋を見渡して、唸り声を漏らした。
一人暮らしの狭い空間が埋まりつつある。それも、大半がストレス解消とばかりに買い漁って碌に使いもしていないものばかりだ。
ランキングや売り上げ一位ならばそれなりに使い道もあるだろうと商品紹介を読みもしないで買い込んだものだが、彼女自身にとって使い勝手の悪いものばかりだった。
過去に戻れるのなら、あの時の自分を引っ叩いてやりたい。少ない給料をこんなものに費やして、今やただのガラクタの山である。
彼女は暫く部屋の様子を眺めてから、腕捲りをして「よし」と気合いを入れる。
もういい加減片づけなければ、部屋が要らないもので埋まってしまう。まずはリサイクルショップに持っていくものと捨ててしまうものに仕分けをしよう。彼女は大きな段ボールを手にガラクタの山に向かい合った。