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幻想奇譚

【番外編】求めた幻想

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何度訪れても、いい街だと思いますよ。

主人公は渡ではありませんが、大人の女性をイメージしてます。


毎日仕事をして、家に帰ってゲームのデイリー熟して、布団に入る。仕事は稀に見る程ホワイトで、ゲームの腕が上がっていくのは楽しくて、布団は何時も安らかだった。けれども何処か、食傷している。昨日と同じ毎日に、一滴の空想が欲しくなった。

何処か遠くに行きたい。知らない場所、知らない街、何もかもが新鮮なものを目に焼き付けたい。そうして恍惚のままに家路に着きたい。

だがしかし結局訪れたのは、数週間ぶりに訪れる馴染みの街だった。

連なる摩天楼。中身はスポーツ用品店ばかり。けれども、ある一点を抜けると全て本に埋め尽くされる。大型書店が鎬を削る本の街。ただ人間に個性が存在する様に、陳列方法が僅かに異なっている。

ある書店は季節の節目に合わせ、ある書店は耽美に倒錯し、ある書店は懐古趣味の玩具に胸を踊らせる。同じ手法で相手と戦うのではなく、それぞれ違った持ち味で勝負に出る。だから何度店を変えても食傷する事はなかった。

今日も癖のない陳列棚を眺めながら、品のある古典音楽に耳を傾る。そうして手に取るのは、何時だって気が触れそうな純文学。『表紙が堪らなく耽美なのだよ』と語ったら、彼奴は妖艶な微笑を浮かべて肯定する事だろう。

そうして書店を変えて写実的で精巧な画集に手を伸ばす。彼も彼女も吸血鬼であるものだから、何時だって口端から血を垂らす。その血線の細さ、滲みゆく赤の波紋、飛沫に至るまで何処までも計算され尽くしていた。

この時点で私の正常な判断などとうに麻痺している。このままだと私の精神は本の世界に閉じ込められてしまうだろう。

本の香りに酷く酩酊した状態で、踊るように外に出る。向かう先は決まっている。綺麗で精巧で耽美なものを見ると、自ずとこの街から離れ難くなる。夜の帳が落ちるまで、この街を彷徨いたくなる。だから先に夕暮れを済ませるのだ。

向かったのは、時折訪れる喫茶店。地下に存在する黄昏。何時だって赤茶けた空気に混じって、壁に染み付いた灰の匂いがする。カウンターに案内されると、先客が煙草を吹かしている。その匂いに静かに微睡みながら、この世界の一部になる。

良い日だ。とても。この世界において、煙草の匂いは薫香と化す。さり気なく吸い込んで、肺が噎せて拒絶するのを密かに楽しむ。悪い事をした様で気持がいい。

そうして差し出された珈琲に口を付けると、例え今、世界が終末を迎えようとも心穏やかに朽ちることが出来ると思う。

何処にも行かなくて良いじゃないか。どうせ君は此処へ戻ってくる。この至福を体験してしまったら、きっと君は他では満足出来ない。

そう、この街の全てに嘲笑われている気がした。そうかも知れない。求めているものは、私が思っているよりもずっと近くにあるのかも知れない。

数ある街の一つに脳みそバーナーで焼かれた人間なんですけど、そうなると新規開拓した時のやるせなさが前に出ます。


※実在する街をテーマにしてます。実在する書店と喫茶店を元に書いてます。


余りにも満ち足りた世界で生きてるんですけど、食傷してないかと言われれば食傷気味でした。一抹の非日常が欲しい。

という訳で、何となく気に入ってる喫茶店行く過程で、本屋さん、ぶらりんちょしてました。

思いの外楽しかったです。満たされました。

霊気が回復するとはこのこと。


結局、いくら新規開拓をしようが、一度脳みそ焼かれた街には叶わないという話。ある意味で故郷を感じます。


追伸

動物がいっぱい出てくるゲームの、常連になるとミルク入れてくれるマスターがいる喫茶店なんですよ。

店の雰囲気もあんな感じ。

ステージを無くして、テーブル席に変えて、鏡反転させた感じ。

マスターも動物いっぱい出てくるマスターみたいな感じ。

あの珈琲を飲みながら、世界の終末を迎えたいです。

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