第66話 竜器《ヒルドサイズ》と氷鱗竜フログベルグ
お待たせしました!
予定より1週間遅れてすみません!
それでは第66話をお楽しみください。
サイド [エドバ]
国家の武力は1位アムーセル王国。2位マアード海王国。3位ルフィフォ帝国。という順位に不満の声は無い。それもそうだろう、考えてみれば簡単な話だ。この3国は共通して、世界に3つしかないSランクのダンジョンを1つ保有している。
ダンジョンを保有する事と武力に関して直結はしないが、少なからず資源の面で他国に有利に立てる。それがSランクダンジョンなら尚更。
もちろん、ダンジョンを保有するにあたってのリスク、魔物暴走が付き纏う。だが、それを踏まえた上でも、ダンジョンで得られる資源は魅力的に映る。
そのため、国家にとってダンジョンの保有は一種のステータスとなっている。
頭の片隅で先程までの授業を整理している間に授業は次の「個人の武力」に移っていた。
「個人の武力とは、大きく分けて、単純な戦闘力。卓越した戦闘技術。そして戦況の先の先まで読む頭脳。この3つで判断され、その3つを総合して発表して行きます」
確かに戦闘する上で警戒する方は突出して戦闘力、技術、頭脳など様々な才能を持っている事が多い。
さて、どのような方が名を出されるのでしょうか。
「個人武力第3位、《生ける終末》全不様です」
シルレ教諭はそう言って魔道黒板に8歳ぐらいの少女の写真が映し出された。
少女の瞳は全てが見透かされている様な紫がかった黄金で、髪は黒が混じった灰色の長髪を二つ結びにし、右手の甲には黒い竜が木の根を食らっている紋様の契約印があった。
全不様が少女の姿なのは周知の事実である事から驚きや困惑などはありません。当の本人は驚かれたいみたいですけど、至る所に写真があるのだから無理な話です。
「全不様は闇と無属性魔法の使い手で、代表的な魔法は《フェイリャー・ワールド》という無属性領域魔法で、あらゆる現象を不発にさせる事が出来ると噂されています」
「噂で良いのか?」と不思議に思っている生徒が見受けられますが、実際にその魔法領域に入った者は例外無く消えていますので、真実か嘘かはさて置き、領域内で何が起こっているかは噂で納得せざるを得ないのです。全不様本人もおいそれと喋らない方ですから、それもあるのでしょう。
「その他にも《終末の王》ニーズヘッグと契約していて、竜器 《ヒルドサイズ》と言う鎌を使って数多くの災害やSランク以上の魔物を倒しています」
数多くある全不様の戦闘映像の中でも地味なものが魔道黒板に流れた。
何も知らない人が見たら、まだ子供の少女が巨大な竜の魔物、Sランクのフログベルグ5体に囲まれていて、無力に食べられると想像するが、全不様が毒や疫病を示す緑の線が脈動する黒い鎌を手に持つと立ち場が逆転した。
全不様は無表情で黒の鎌を一振りするとフログベルグ全員の後ろ足が斬れ、もう一振りすると前足が斬れ、もう一振りすると首が地に落ち、フログベルグ達は攻撃も逃走も出来ず、3度の振りで息絶えた。
フログベルグの死体からは血は出ておらず、辺りにも血は飛び散っていない。
それが異常な事であり、余りにも一方的な狩りに生徒の皆さんは言葉を失っているようですね。
「(竜器、ヒルドサイズ。実際に見た事はないですが、何度見ても異常なほど強いですね)」
フログベルグはSランク冒険者でも苦戦する魔物で、特に触れた物を凍らせる鱗の特性と高熱の鉤爪で武器を破壊してくるため接近戦は難しく、魔法で攻撃すると鏡のように鱗が魔法を反射し、狙ったかのように魔法を放った者に飛んで来るのだから厄介極まりない。
倒し方は鉤爪を破壊する事。フログベルグは鱗の特性から体内も凍り付く、それを防ぐため高熱の鉤爪の温度を体に巡らせて、体内が凍らないようにしている。そのため鉤爪を破壊すると巡っていた熱が無くなり、段々と体内が凍り付き、凍死させてようやく倒せる。これが一般的に知られている倒し方だ。
逆に言えば凍死しか倒せる方法がないフログベルグを1度に5体も斬り倒した不全様の力がどれほど強いか分かりますね。
「今、映像で見ていただいた通り、圧倒的な力でフログベルグを倒した全不様は老いることが無く、毒も効かないなどと特殊な体質をお持ちです」
特殊な体質…良い風に言えばそうだろう。事実、その体質のおかげでヒルドサイズの毒を無視して普通に扱えているのだから。
いかがでしたでしょうか。
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次回は4月5日を予定としております。




