第49話 七剣人の手袋
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「スー……フー……」
実験が始まると当たり前だが怨念じみた言葉は止まり、ウェッナは手袋を付けている左手を前に出して、魔法の発動に集中するため深呼吸をした。
「あんなに集中してるウェッナ、初めて見た」
ララーシェは実験を始めたウェッナの集中している様子を見て少し驚いていた。
「おや?エドバさんはともかく、ララーシェちゃんもウェッナくんの実験を見るのは初めてだったか」
「はい、何度か個人の研究室にも行ったこともあるんですがこうして実験を見ることは無かったです」
「ほう…良く見ていくと良い。ウェッナくんの実験を」
タインがそう言い終わるとウェッナは魔法の詠唱をした。
「【遠く、遠く、遥か遠く】」
「なぜ詠唱をしてるの?」
ウェッナが詠唱しているのが疑問に思ったララーシェの溢した言葉にタインが答えた。
「魔力消費を最低限にするためさ、詠唱破棄や無詠唱だと魔力消費が詠唱するより激しいから、詠唱をしているんだよ。魔道具の実験は暴走の可能性を踏まえて、最低限まで魔力消費を抑えて暴走に対処する魔力を残してながら実験する事が当たり前になっているんだ」
「そうなんですね」
ララーシェとタインが話している間にも詠唱は続く。
「【一の時間より、幾千の再会。遠くの君へ会いに行こう】
【空の狭間、空間の裂け目を持って空間を繋ぐ扉を作れ】
《空間連結・多重展開》」
詠唱が終わり、ウェッナが鍵言を紡ぐと実験室の空中を埋め尽くすほどの《空間連結》が展開された。
「50個…」
「良くそんな早く数えられますね」
「無茶したね〜…ま。ここからが本番だけど」
瞬時に発動された《空間連結》の数を言うエドバにララーシェが驚き、タインはより一層ウェッナを注視した。
「マルチコネクト」
ウェッナがその言葉を言った時、手袋が魔力を帯び始めた。そしてその手袋を通して一つの《空間連結》を右に動かした。そうすると他の49個も同時に右に動いた。
「魔力消費は普通でやるよりも大分軽減されてる…あとは…」
手袋の一つ目の機能を確認したウェッナはもう一つの機能を確認するため、どこからか指輪を取り出し手袋の上から小指に付けて、また詠唱を始めた。その詠唱に呼応し今付けた指輪が赤く光った。
「【猛々しく燃える炎よ、闇を照らす火よ。魔を焼き払え】」
「《空間連結》を維持したまま違う属性の魔法を発動させる気だ」
「暴走が起きても対処は出来ると踏んだんだね〜」
「………」
50個の《空間連結》を維持しつつウェッナは鍵言を紡いだ。
「《フレイム》」
鍵言を紡いだことにより炎が5つ現れる。その5つの炎を2、2、1の三つグループに別けた。それを見たエドバが何をしようとしているのか予想が着いたらしく「なるほど」と言葉を溢した。
「わかったみたいだね、ウェッナくんがやろうとしている事を」
「ええ。ですがタイン先輩、これは…」
「そこまで分かるか…」
「え…っと?」
エドバとタインの会話に付いて行けてないララーシェを見て、タインは苦笑を浮かべてララーシェにも分かるように言った。
「もし、これで成功した場合、即刻禁止魔道具に入るだろうね」
「え?それはどう…」
ララーシェが言い終わる前にウェッナの声で掻き消された。
「マルチコネクト。ロック。セパレート・トループ、アクティブ」
《空間連結》の機能を固定して、二つ目の機能を使い始めた。
ウェッナは先程、三つのグループに別けた《フレイム》を同時に動かし、別々の動きをして、別の《空間連結》に入っては出てを繰り返した。
「僕はオリジナルも見れてないけど。2人は今、ウェッナくんがやっている、並列維持と同時変化起動を魔道具無しで使う人の噂は聞いた事があるかい?」
タインはウェッナを見ながらそうエドバとララーシェに聞いた。
「噂程度なら」
「私、知ってます。七剣聖ですよね?6年前ストロレス帝国の7人の剣士を同時に相手したって言う」
「その事、良く知ってるね。ララーシェちゃん」
タインはララーシェがあまり知られていない事を知っていて少し驚き、話を続けようとしたが、ウェッナの実験が終わったらしく3人の近くに歩いて来て、先程の話は流れた。
「完成したわ!そうね〜…名前は「七剣人の手袋」なんてどう?」
満面の笑みで話しかけてくるウェッナを前に苦笑しか返せない3人であった。
いかがでしたでしょうか。
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次回は8月10日の19時を予定としております。




