第28話 闇夜回帰
お待たせしました!
それでは第28話をお楽しみください。
サイド [氷河の森・東側]
「【此処は闇、永劫夜明けは来ない世界。光は消え去る定め、それが此処の摂理】」
ネナが詠唱を始めたと同時に辺りの空気が格段に寒くなり。陽光が眩しく、雲一つ無かった青空にネナの頭上から夜の暗闇が顔を出す。
「【怨念の祭壇、禁忌の呪法。願いを乞え、数多の贄】」
「ガンズッ!」
「わかってるよっ!アレを止めないとヤバいって事はっ!」
詠唱が続くに連れ空は段々と夜を広げる。それに何かを感じ取ったシャバーとガンズは額に汗を滲ませ、ネナの詠唱を妨害しようと更に走る速度を速める。だがここにはもう1人緑の腕章を着けた者が居る、その者が黙って近づけさせる事はない。
「《エンチャント》」
「【怨嗟を喰らい、慟哭を飲み干せ、天の闇】」
「……」
「このまま押し通る!」
向かって来る炎と氷の矢の雨を黄緑の燐光を纏った剣に流れるようにエンチャントしていき、通り抜けようとするシャバーとガンズの行く手に立ちはだかった。
「チッ!シャバー先に行け!こいつは俺が受け持つ!」
「【溢れる夜よ、呼び覚ませ。終焉たる奇跡を】」
「了解〜と、行きたいけど…」
言葉を止めたシャバーが見る先には鍵言を紡ぐエドバの姿があった。
「《氷炎の谷》もう少々私のお相手を」
鍵言が紡がれた事によってシャバーとガンズを含む青チームを挟む様にして氷炎の壁が立ち上がった。これでシャバー達に残された選択肢は2つ、目の前のエドバを退けるか、後方に行って氷炎の谷が途切れている所から遠回りするか。どちらにしてもネナの詠唱は出来上がってしまう。
「時間が無いな、ガンズ!君が止めてくれ!《聖剣解放・審判の雨》!」
「おうっ!《ガイアレスプラント》!」
即座に頭を切り替えたシャバーはガンズに指示を出しつつ審判の雨をネナの頭上に集中展開させて、それに素早くガンズも答え、ガイアレスプラントを発動して、氷の中にある土を木の根の様にして動かしネナに向かいつつ、エドバの足に絡めた。
「チェックメイトだよ、エドバさん。ん?なぜ動かない?このまま行けば速度的に審判の雨が…」
「動く必要が無いからですよ。強いて言えばこの剣をこうやってっ!」
「っ!!」
「【生命を無に帰す源よ、もう一度、終わりある夜を永遠へと変えろ】」
そう言って足に絡まった土を剣で切り割きその剣をガンズの進行方向に投げた。
投げた剣はガンズには当たらなかったものの数秒時間を稼ぎ、その数秒でネナが詠唱を終えた。
「鍵言は言わせねぇよ!なんだっ!!」
詠唱が終わり、少しづつ片鱗を見せるネナの魔法はガンズの行動を無にすることは容易く、凍てつく暴風でガンズをシャバーが居る方へ吹き飛ばした。それを視認したネナは鍵言を紡ぐ。
「《闇夜回帰》」
鍵言が紡がれたと同時に空が完全に闇夜と化したその時、寒気がするほど空気は冷たくなり、光は物凄い速さで消えて行き、光る審判の雨も同様に消えて行く。横にある氷炎の谷がなかったら視界は何も見えない。その光景は異常の一言に尽きず。深淵を覗いているかの様だった。
「【求めるは他の幸福、全てを敵に回しても与えられぬ寵愛。崩れーー」
闇夜回帰の続きとばかりにネナは別の詠唱をした、その瞳はいつもの紫色とは違い赤黒くなっていた。
「《令水》」
「「「「「え?…」」」」」
「……………」
そんな明らかに危うい状況のネナの事はお構いなくエドバは先程投げた剣を取りに行き、その剣に残っていた魔力でネナに冷水を服が濡れない様にぶっ掛けた。ネナの詠唱は止まったもののシャバー達は唖然とし女子生徒達は可哀想な物を見る様な目でネナを見つめた。
「………………………………………………………………」
「我に戻りましたか?」
「………………………………………………………………」
「大丈夫そうですね」
無言で立ち尽くすネナは今の気温も合間って浴びた冷水は既に凍り付いていて見ているこっちが寒くなる程だ。そんなネナに話しかけて大丈夫と安心するエドバにシャバー達は心の中で「「「「「いやいやいや!どこが!」」」」」と盛大にツッコミを入れた。
「……もうちょっと、こう、ん〜…他の助け方とか…無かったんですか?」
「この方が危害がなく、魔力も抑えることが出来て、相手の頭を冷やすこともできますから楽なんですよ」
「あ………はい……そう言えばこういう人でしたね………」
最後の方は聞こえなかったのか何も反応せずエドバはシャバー達に向き合った。
「【凍り付け、吹雪に塗れて。ここは極寒の雪原と化す】」
「え?本気ですか?今の間を見て?それやるんですか?」
エドバの中に容赦の言葉が無い事をシャバー達はここで知った。
いかがでしたでしょうか。
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次回は12月16日の17時を予定としております。




