第21話 計算し尽くされた戦闘
お待たせしました!
第21話をお楽しみください。
サイド [シルレ・スプレット]
終わってみれば一瞬でしたね。戦闘時間はわずか5分、そして。
「けほけほ」
「……クッ」
「あいたたたた」
絶妙な威力調節。水蒸気爆発を結界が破壊できる威力まで抑え、辺りに被害が出ないように薄く氷がドーム状に囲っていましたね。おそらく氷竜の息吹きを発動した時に並行して貼ったんでしょう。
「3人とも怪我はありませんか?」
近づいて見たところ外傷はありませんね。火傷の一つも負っていないように見えますが。
「「「大丈夫です(わ)」」」
「そ、そうですか」
負けず嫌いですかね。競う相手がいる、それだけで成長はより早くより強くなりますからね。
「見事な戦いでした。もっと励んで今貴方達が思っているであろう感情を払拭できたのなら貴方達はもう一段強くなっているでしょう」
アルメリア学院長の受け売りなんだけど今言うべきじゃなかったかな?
「「「………ありがとうございます」」」
「……ふふ、いいえ。では皆さんの所に戻りましょうか」
✳︎✳︎✳︎
「この程度か?今年の特待生と言うのは」
ソヒィスティア王国、王城内。会議室。
「あら?それは陛下への不満ですか?」
「いえいえ、そんな滅相な」
円卓の中央に3メートル程の水晶が浮かんでいてその水晶の中を覗けばエドバが映っていた。
「あのニヤケ面ムカつくわ……」
「まぁまぁ、落ち着いてアルメリアちゃん」
集まっているのはどこからか国王が学院の授業を覗いていると聞きつけた貴族達。
「まったく、もっと静かに見れんのか…何か言ってやれ、バリスホートよ」
「陛下から仰って頂かないと、私は名誉士爵に過ぎませんから」
「では私からお伝えしましょうか?」
アルメリアを宥めていた女性がラングラットに進言した。
「多少強引でも良い、頼めるかね。メルサーリ殿」
「お任せを」
メルサーリと呼ばれた女性はラングラットに一礼をし貴族達の方を向いた。
「貴方達静かにしなさい、陛下の目の前ですよ」
メルサーリの言葉を聞いた貴族達は静かになり、それを確認したメルサーリはどうぞと言う風に席に着いた。
「ここで我に振るか…」
「それしか無いでしょう」
「他の方法もあった気がするのだがな…」
バリスホートと少し雑談をしながらラングラットは立ち上がり、円卓に座る貴族達を見渡した。
「皆の者、集まってくれた事感謝する。だがこれから話し合う内容は事と次第によってこの場で首を斬らねばならなくなる可能性がある。その可能性を踏まえた上で話し合う者だけこの場に残ってくれ」
ラングラットの言葉に貴族達が息を呑み、命が惜しいのかそそくさとこの場を後にしていく。残されたのはラングラットを含めた5人だけだった。
「結局はこのメンツになるのね」
現ジェネラリーナイト第5位、ソヒィスティア王立学院、学院長アルメリア・フォレスト。二つ名、結界の魔女アルメリア。
「あはは…まぁ予想は付いていましたよ」
ソヒィスティア王国、王妃ルンシーネ・ソヒィスティア。
「あやつの話をしようとすると周りに配慮しなくてはならんからな」
ソヒィスティア王国、国王ラングラット・ソヒィスティア。
「黒王の正体は世間では未だ謎で包まれていますからね」
ソヒィスティア王国、名誉士爵、バリスホート・ヴォルシェーブニク。異名、嵐雷
「陛下達は良いわよね。彼に直接会えたんだもの」
ソヒィスティア王国、公爵、メルサーリ・リッターオルデン。
「で、アルメリアよ。お主から見てエドバはどこまで出していた?」
ラングラットに聞かれたアルメリアは首を横に振りながら肩をすくめた。
「それは愚問だと思いますよ陛下、この場にいる人は彼の戦闘を知っている。そこから予想はできるでしょう?それでも聞きたいのならこう言いますよ。あの戦闘はお遊び程度の力しか出していない」
「お遊び程度の力か…」
アルメリアの言葉にラングラット以外は苦笑している。
「更に言えば彼、こっちに気付いていましたよ」
「え?それは本当ですか?アルメリア殿」
「予想はしていた、何ら問題はない。それよりアルメリアよ。あやつがこちらに気付き力をセーブしていたと言うことはないか?」
その言葉にアルメリアは頷いた。
「十中八九セーブしていましたね。現に契約した存在の能力 鉄武作製で作った剣一本と7個の魔法しか使っていません」
「逆にそれだけで有望なあの3人を倒したって事がすごいわね」
「経験の差でしょうか?」
「それだけならどんなに良かった事か」
「それはどう言う意味だ?バリスホート」
バリスホートの言葉にラングラットが真意を尋ねた。
「ルンシーネ様の仰る通り経験の差が出た戦闘だったでしょう。ですがエドバ君は全能力向上を使用してないんです」
「使用してなかったとして何か変わるか?」
ラングラットの問いに答えるようにアルメリアが話し出した。
「陛下、全能力向上を使用していない者は使用している者の動きを基本的に全く見えません。そこから放たれる魔法や剣戟もです」
「ならあやつは見えない物を防いでおったと言う事か?」
「今回はそうですね。付け加えるとするならば彼はこっちに気付いた時点で勝つ方法を決めていたでしょう」
「「「「相手に傷を負わせずに自爆させて勝利する…」」」」
「そうです。貴族達の目を欺くためにはシャバーさんが放ったドレインストライクは利用するのに好都合だったでしょう」
その言葉を聞いてラングラットは椅子にもたれかかった。
「で、まんまとその策にハマったと言う事か。相変わらず本当に食えんやつじゃな」
「それが彼ですから」
「誇るな……上が上なら下も下か。……お主ら最後に我の話を聞いてくれ」
改まったラングラットに他の者も姿勢を改める。
「……なぜあの戦闘にソフィラスが出ないんじゃ!」
「「「「最後に親バカを発動 (しないでください・するな)!!!」」」」
いかがでしたでしょうか。
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次回は9月9日の17時を予定としております。




