第17話 幻想の鏡
お待たせしました!
第17話をお楽しみください。
ソヒィスティア王立学院内正門前。
「遅いわね。お父様」
「本当にここで待つんですか?」
そこにはネモフィラとハルバールが先に自国に帰らず父であるハディオを待っていた。
「何よ、悪いかしら?」
「いいえ……」
姉であるネモフィラの圧にハルバールは降参と意思表示として両手を上げた「早く来てください父上」と思いながら。
「それにしてもエドバさん変わっていませんでしたね」
数分間の沈黙に耐えかねたハルバールは先程久しぶりに会ったエドバの話をした。
「変わってなかった……か。ハルの目にはそう映ったのね」
ハルバールの言葉に答えたネモフィラはエドバがいるであろう校舎の方向を心配そうに見つめた。
「僕としては姉様の方が心配ですけどね」
「喧嘩売ってるの?ハル」
「姉様、茶番はよしてください。僕は姉様と同じぐらいエドバさんを見て来ました」
ネモフィラは魔力を漲らせようとするが次のハルバールの言葉でそれをやめた。それを確認したハルバールは続きを話した。
「また契約をしたんですね?」
「ええ。そうよ」
ハルバールは確信を持てなかったからあの場ではエドバに聞かなかったものの感じ取っていたのだ。以前のエドバとはほんの少し存在感が違っていた。
「今度はどこと部位ですか?確か残っているのは両目と…」
「左眼よ」
ネモフィラはわかっているかのようにハルバールに言った。
「左眼ですか……(まるで最初から知っていたような口振り。いいや、実際知っていたんだろう。この人達にはそれができる術があるのだから)」
「お?なんだ、まだここにいたのか」
ハルバールがネモフィラの言葉を考えているとハディオの声が聞こえ、顔を上げる。
「ラングラット王とのお話はどうだったのですか?」
「案の定と言いたいがそうでもない。国に帰ったら話す」
ネモフィラの言葉にハディオは頭を掻きながら言い学院の正門を潜り、ハルバールもそれに続いた。正門を潜る前にネモフィラはもう一度学院に振り返った。
「幻想は全てを偽る鏡……でもそれを世界に掛ける必要はあったの?……」
「姉様〜行きますよ〜」
誰の耳にも聞こえない言葉を言ったネモフィラはハルバールに「すぐ行くわ」と言い学院を後にした。
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「改めまして私はエドバです」
エドバとレンスレッテは2時限目が始まるギリギリに教室に着き、シルレが「丁度良いですから自己紹介をお願いします」とエドバに言って今に至る。
「使える魔法属性は炎、氷、風、無属性の4つと剣を少々使えます」
「「おお!…」」
「戦いたい!……」
「チッ」
驚く者、戦意を漲らせる者、不満を募らせる者。様々だ。
「これから1年よろしくお願いします」
「はい!恋人はいますか?」
「好きな食べ物はなんですか?」
「何級まで魔法使えますか?」
エドバの自己紹介が終わると生徒達は各々の質問をして来た。
「はいはい。みなさん質問はそこまで。エドバさんは空いている席に座ってください」
「わかりました」
教室の席は奥に連れて段々と上がっていてエドバは1番奥のドア側の席に座った。ここに座ってくださいという目線を無視しながら。
「では2時限目を始めます」
シルレの言葉で教室の空気は引き締まり、それを確認したシルレは授業を始めた。
「2時限目は魔法の実戦で、場所は第2訓練所で行ないます。さっそく移動をお願いします」
シルレの言葉で生徒達は即座に移動を始めたが。
「エドバ様、僭越ながら私が第2訓練所まで案内させていただきます」
レンスレッテの言葉で生徒全員が動きを止めた。なぜならレンスレッテは言わずも知れた名誉士爵の1人娘であり、性格も絵に描いたような権力を無闇矢鱈と振り翳す貴族の娘という認識になっている。そんなレンスレッテが特待生に様付けをし、自ら案内役を申し出たのだ、驚かないわけがなかった。
「ありがたい申し出、恐縮です。では案内をお願いしてもよろしいでしょうか」
「承知しましたわ!では行きましょう!」
他の生徒達そっちのけでレンスレッテはエドバを第2訓練所に案内を始めた。
驚きで動きを止めていた生徒達も「何だったんだあれは幻想か?」と思いつつ移動を始めた。
いかがでしたでしょうか。
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次回は7月15日の17時を予定としております。




