第15話 ルフィフォ帝国
第15話をお楽しみください。
学院長室のドアを開けたレンスレッテは真っ先にエドバを見つけるがそこにいる面々を見て慌てて膝を折った。それもその筈なにせ自国の国王夫妻と大陸統一まであとわずかだと噂の帝国の皇族3人がいるのだから。
「「「「(当然の反応です(よ)ね……)」」」」
レンスレッテの行動にエドバ、アルメリア、ルンシーネ、ハルバールの4人は心の中でレンスレッテを憐れんだ。
「レンスレッテ嬢、楽にしてよいぞ」
そうラングラットに言われたレンスレッテは痛み要りますわと言って立ち上がり、再度学院長室にいる面々を見て苦笑いを浮かべ、ハディオ、ネモフィラ、ハルバールに挨拶をした。
「お初にお目に掛かりますわ。バリスホート・ヴォルシェーブニクの長女、レンスレッテ・ヴォルシェーブニクですわ」
貴族令嬢らいし優雅な挨拶をしてスカートの裾を持ち上げた。それに挨拶応えるようにハディオ達も順に挨拶をした。
「ご丁寧な挨拶感謝する。知っているやもしれんが我はルフィフォ帝国、皇帝、ハディオ・ルフィフォだ」
まず始めにハディオが一歩前に出て挨拶をし次にネモフィラが前に出た。
「お初にお目に掛かります。ルフィフォ帝国、第2皇女ネモフィラ・ルフィフォです。以後お見知り置きを」
それに続きハルバールも挨拶をした。
「お初にお目に掛かります。ルフィフォ帝国、第1皇子ハルバール・ルフィフォです。以後お見知り置きを」
ルフィフォ帝国とは南のドルリラス大陸にある人口8億1千人の巨大帝国であり、その人口は今もなお増え続けている。それに加えて軍事力も世界屈指の強さで世界最強の国と謳われている。ちなみにソヒィスティア王国は北のヒスソイナ大陸の南側に存在している。
「ところでレンスレッテ嬢、先程エドバ殿の名前を呼んでいましたね、エドバ殿に何用で来られましたか?」
「え、えーと……」
ハルバールの挨拶から流れるような突然の質問にレンスレッテは戸惑ってしまう。
「わかりましたレンスレッテ嬢はエぐえっ」
「やめなさい。ハル」
どんどん早口になるハルバールをネモフィラが首根っこを掴み後ろへと引っ張った。
「わがいあしたから、姉様服お引っ張らないでくざさい」
「ネモ、そのくらいにしてやれ」
ハルバールの懇願とハディオの言葉でネモフィラは掴んでいた手を離してレンスレッテに謝罪した。
「弟が申し訳ありません」
「い、いえ、気にしていませんわ」
謝罪をされて戸惑いながらもレンスレッテは気にしてないと言った。
「っー」
「レンスレッテ嬢、お呼びにお越しいただいきありがとうございます。そろそろ2時限目が始まりますから教室に戻りましょう」
「あら?もうそんな時間ですの?それでしたら早く戻りませんと」
ネモフィラが何か言おうとしたが、それを遮ってエドバがネモフィラの前に出て、レンスレッテに時間を知らせて教室へ戻りましょうと促してレンスレッテもそれに乗り、国王夫妻を見て謝罪をする。
「国王様、王妃様ご挨拶できないご無礼、心から謝罪いたしますわ」
「気にしなくていいですよ。学生は学業が本文ですから」
「お心遣い痛み要りますわ」
その謝罪にやわらかい笑顔でルンシーネは応え、では失礼しますとレンスレッテはエドバより先に学院長室を出た。
「では私もここで失礼します」
「待て」
学院長室を後にしようとするエドバをハディオが呼び止めた。
「行く前に俺達からの3つの質問に答えてから行け」
「3つですか?私に答えられるものでしたら答えましょう」
少し思案したエドバだが了承した。
「まず1つ目、冬の聖杯決戦には出るのか?」
「ええ、出ますよ。全力で」
「え?ちょっとまって!私それ聞いてないんですけどっ!」
「聞かれませんでしたので」
「本当に相変わらずだなお主は」
ハディオの質問に対して答えるが初耳だったのかアルメリアが立ち上がってエドバに聞き、エドバは聞かれなかったと言った。そのやり取りを見たラングラットはエドバに呆れはてた。
「2つ目の質問は僕からです」
「なんでしょう」
「この学院に卒業まで在籍しますか?」
その問を聞いたアルメリア、ラングラットは生唾を飲み込み恐る恐るといった様子でエドバを見た。
「いいえ、1年後には通う筈だった黒越学院に戻るつもりです」
その言葉には迷いがなかった、それでいて何かに宣言するようでもあった。
「本当にいいんてすか?エドバさん、だってここには……」
「いいんですよ。それにもしもの時は貴方が真っ先に来られるでしょう?ハルバール様」
自分で聞きながらハルバールはエドバに確認するがエドバは先程と同じ様に迷いなく言って最後にハルバールの名前を呼んだ。なんだかしんみりする様な空気になるが納得いっていない約2名が黙っていないわけで。
「ダメだぞ!エドバお主はっ!」
「そうよ!絶対転校なんてさせないからねっ!」
烈火の如く騒ぐアルメリアとラングラットは息ピッタリで言った。
「「我(私)の権限を全て使ってでもここに止まらせるっ!」」
これにはその場にいた者全員苦笑である。ただ1人を除いて。
アルメリア、ラングラットの2人が騒ぎでいてその他の人達が苦笑を浮かべる中ネモフィラだけが苦笑をしておらずエドバの顔を見続けている、そして一歩ネモフィラが足を進めた時辺りの音が消失した、いや、消滅とも言っていい、音が消えた事に場は静寂と化しネモフィラの足音だけが学院長室に響く。そしてネモフィラはエドバの前に立った。
「最後の質問です」
「はい」
静寂に満ちた部屋で2人だけが言葉を交わす。それはさながら2人だけの世界だった。
「今貴方はどこまで見えているの?」
その質問を聞いたエドバは嬉しそうでそれでいて悲しそうな笑みを作った。
「始まりの種と滅びへの思い。その全てです」
それを聞き終えたネモフィラはそう…ですかと言った。
「ありがとうございました。これで私達からの質問は以上です」
そう言ってネモフィラは軽く頭を下げた。その瞬間に音が戻って来たが騒いでいた者はとっくに静かになっていたため静寂は続いている。それをエドバは見て見ぬ振りをして学院長室を後にするのだった。
いかがでしたでしょうか。
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次回は6月17日の17時を予定としております。




