第15話その4
「はっ!?今のは、まさか走馬灯?」
「………ふっ、私もずいぶんと人間らしいことを」
一瞬気絶していたプロトの意識が再起する。
眼の前には風に乗った瓦礫や車を
刀で切り裂いていくチェインがいた。
「動ける?プロト」
「………はい、大丈夫です」
「あの、何で気絶したんでしたっけ?」
「パワードスーツ脱いだら思ったより体が軽かったみたいで余波の風で吹き飛んだの」
「………うっわ、情けな」
「え〜、普通にパワードスーツが壊れたのに立ち上がるって姿でお釣りが来るよ?」
「そんなの、私の事象であなたを死なせかけているのに助けに来てくれたあなたに比べたら……」
「今回の件、本当にすいません」
なんとか立ち上がったプロトはふらつきながらも頭を下げ、チェインに謝罪する。
もはや頭から転んでしまいそうなふらふら具合だ。
「………え、なんで謝罪?」
それに驚いたように早太は首を捻る
「なぜって……」
「君の正体を知ってしまったのは偶然も偶然」
「というか確信が無かっただけでもとから何となく察してたし」
「ですが、私が馬鹿にも正直に報告しなければ……」
「仕事でしょ、報連相は」
あっけらかんとした彼の反応に
彼の手には先程の震えとは違う震えが宿る。
「何故そうも簡単に許せるのです」
「私はひどいことをしました」
「あなたが嫌悪してるのをわかってこのシステ厶をあなたに使いました」
「あなたが守ろうとした人から作られたものとわかりながらカートリッジを選びました」
「私は間違っていると理解しながらも抜け出せない信仰の呪縛から抜け出そうとせず、無責任にその主を中央に付け替えて、それを正しいと信じて!」
「私はあなたの信念を!」
「私の疑信で汚したんですよっ!?」
「隠さないでください!どうか私に正直な怒りを!」
「その心の中に絶対にあるでしょう!?」
「…………」
叫び
彼は生まれたときから受けていた教育から今だ完全には決別できていない。
恐怖があった
未知があった
同類など誰もいなかった
なによりも、
それ以外の知り方を知らなかったから
間違っているとわかりながらも一度信じてしまった生き方をやめられなかった。
だから彼は決別できるまで主の代用品を自身に置いた
それこそが「管理された正義」の正体
それこそが彼が決別しなくて良くなる言い訳
アンティキティラにも不愉快そうな顔をされた
泥水に侵され何も描かず捨てられた白紙の子供
もはや歪んで事実かもわからない走馬灯が
プロトの罪悪感を暴走させる。
しかしその叫びを
全ての瓦礫を切り裂く彼は
「ぜんぜん?」
バッサリと切り捨てた
「な……ぜ…?」
「そりゃ、最初は君も知っての通り目茶苦茶怒ったよ?」
「でもよくよく考えれば」
「彼女達を殺したのは別に君じゃないし」
「君はあのときの最善手をとったわけだし」
「それは君が自分の仕事に忠実だったからじゃん」
「それに下手したら僕も死んでた」
「そして、その仕事は僕らの日常を守ること」
「それは僕の願いと重なるところもある」
「なら君を恨むのは悪いかな〜って」
「あ、もちろん不信はあるし、怒りもあるよ?」
「君の上司には」
「それは絶対に許さない」
「あなたは………なんなんですか?」
「いや、ほんとに、まじで」
「急に口調変えないで、ビクってするから」
緊張感がない
顔こそ見えないが
きっとチェインは笑っている
「あなたは私のせいで死ぬんですよ?」
「なんとかしてくれるんでしょ?君が」
間髪入れない返し
「あなたはっ……!」
「だって、僕は………」
「くそ、くそ、くそ!」
「あぁ、もう、いいです!」
彼は僕を救ってはくれない
僕が間違っていると言ってくれない
その事実に気がついた
そしたらもうそれ以上言えることは無い
もはや後悔の払拭は
プロトの勝利によってのみ可能と知る!
「やってやりますよ、私がメインで叩きます、援護を!」
「ははっ、了解」
チェインの連接剣が道路にほっぽりだされていたパワードアームを引っ張り寄せ、
それをプロトは装着する。
「ぐっ、重っ……!」
「大丈夫、耐えれる?」
「足は?」
「同時に付けないの?」
「この外装は操作が複雑なので腕脚同時使用なんて機械を手や足のように使える人以外不可能です」
「安心してください、大丈夫、行けます!」
「走れるの?」
「走れるか、じゃなくて走るんです!」
敵による瓦礫の弾
チェインは切り裂く
それと同時にプロトが駆け出した
雷の矢
全てチェインの手中に
風の槍
プロトの横薙ぎの腕にて霧散
距離が詰まる
水流の渦、チャージ!
その隙を刃の蛇が足払い
しかしさすがのタイフーン
風で体勢を一瞬で立て直す
しかしそこに重い一発!
機構を纏った拳が一発!
連鎖するような二発!
流れるような三発!
プロト捨て身のような
四!
五!
六!
七!
八っ!
『Diephoon……』
あのとき聞こえたときと同じ声!
「「!」」
突如がらんとしていた骸骨の口から
一切の貯め無く竜巻が現れる
経験から嫌な感じを読み取ったプロトはそれを回避!
両手合わせて振り下ろすような一撃を
その無感情な髑髏めがけて振り下ろす。
(威力十分、当たれば殺れる!)
確信
殺れる確信
絶対に倒せるという確信
彼を死なせずに済むという確信
……だがそれは
化け物相手には
「…………がっ!?」
ただの油断にほかならない。
「プロト!!?」
いかに怪物の足が細く枝のような骨に見えようとも
その足に宿る蹴りの威力は
プロトの腹を穿つ一撃は
物理法則と常識とか
完全に無視をしているのだから。
こうして確信を霞のように失った彼は
幹線道路の縁を軽く越え
矢のように吹き飛んで
割れたビルの窓へ
叩き込まれる。
「まじかあの細腕で強いのかよ」
特殊能力だけならどうにでもなる
そう、どうにでもなるんだ。
隙を突く
弱点を突く
硬いだけでもどうにでもなる。
しかし、
純粋に身体が強いのなら
僕らは、勝てない。
僕らは力が足りないのだ。
感想って返信できるんですね、
はじめて知りました。
他にもいろいろ機能あるんですかね?
プロフィールとかどこから変更するんだろう、
あんまりマニュアルとか読まないタイプなんでわからないんですよねぇ……




