第14話 その4
「おいおい、何なんだよあいつ!?」
すれ違いざまに目に焼き付いた姿が
歯をガチガチと震えさせる。
吹き荒れた風で叩きつけられた水が窓を塞ぎ
波のような雨が車体を壁に押し付け、擦り付ける、サイドミラーがへし折られる。
怖い
「あれが……怪物?」
渦巻くようなタイヤを繋いだバイク
生物のようにうねりへばりついたバイク
マフラーから黒煙でなく雨を吐くバイク
それにまたがるのは雲を渦を纏う骸骨
カラカラ震え、
走っている
「あんなのもう、死神だろ……!?」
「ぐあっ!?」
強い衝撃が体を揺らす
「………詰まった」
それは車によって作られたダ厶
遠く向こうから雨洪水で車両は流され
後続の車両に激突する。
「川もねぇのに流れ強すぎんだろ!?」
「………って、うぁっ!?」
さらに前から車両が流れてくる。
すごい衝撃
エアバッグが作動し
車体が凹み歪む
「くっそ、早く逃げないと……」
「あぁ、ダメだドアが開かねぇ」
「くそっ、くそっ、くそっ!!」
がむしゃらにひしゃげだドアを
雨に濡れる窓を蹴り飛ばす。
………!
「なんだ、何の音だ……?」
後から音がする
後から何か来る
「救助……?」
「いや、違う、俺は記者会見を見た」
「怪物を追い現れるのは……」
「怪物だ!」
ライトが跳ねる
遠くの車の屋根を乗り継ぎながら
どんどん近づいてくる。
「うあっ!?」
屋根を何か槍のような物が貫く。
「何なんだよぉ!?」
頭を抑え震える
バコン!
ひときわ大きい音がする
「…………?」
頭が、首が、服が濡れる。
頭を上げる
「屋根が……開いてる?」
屋根は切り裂かれ
大きく人が通れるほどに穴が空いている。
「あれは……救助隊だったのか?」
「………止まりなさい!」
サブマシンガン、玄武が14発の弾丸がタイヤを穿つ
しかし
「すり抜けた?」
「雲か渦か……本物のタイヤじゃないのか!」
なんとかタチバナが食い下がるが
「!?」
うざったらしそうながらんどう、
瞳を持たない骸骨
風と雲で編まれたようなボロ服を纏う腕
その肉付きのない無機質な手から、
放たれる
水の渦が
その渦はタチバナからプロトを
「くぅ………あっ」
引き剥がし、
吹き飛ばし、
幹線道路から叩き落される。
「No.3−4!」
《承認》
《生態マニュピレータ・ゲッコー射出》
(間に合うか……?)
『…………』
いなくなったことを確認する
エネルギーを含んだ水が満ち
吹く風も、微弱にエネルギーを放つ
敵が死んだのか、わからない。
わからないが……
今日のところは……
走りたい気分だ
「逃げるなよ」
『!?』
プロトの飛び蹴りが怪物に直撃
バイクは横転し
怪物は投げ出される。
もはや絵面は事故そのものだ。
「………タチバナ、要請No.2-12」
《承認、天后射出》
降る雨に負けないほどに
豪雨のような弾丸が放たれる。
しかし、
(当たらない!?)
風が百数超える全ての弾丸を風が纏い付き
捻れるようにして立ち上がろうとしている怪物を避けるように弾丸は命中しない。
(矢避けスキル?)
(飛び道具は効かないようですね……)
(ならば、直接叩く!)
ガトリングを鈍器として横薙ぎに振る
しかし手足3点で突如現れた突風で怪物は天に飛び
その鈍器を転んだ体勢のまま回避される。
「風を…操る能力」
「いや、台風か……!」
『Kyaaa Karararara!!』
雷が槍のように投擲される
しかし
それは彼には命中しない。
(剣……玄武がない)
(勾陳だけでも斧として使えるが……)
(振りの大きい攻撃は当たらないでしょうね)
「ならば」
「タチバナ、要請No.1ハンド!」
《承認》
射出された外装を纏おうとした瞬間
生まれた隙を穿つように
「!」
タイフーンによる突風の槍がプロトを吹き飛ばす
壁に叩きつけられる
(パワードスーツが……!)
車の衝突で顕になっていたのだろう
鉄筋が背中の動力炉、バッテリーが壊れる
(装甲のおかげで中身は無事だ)
(しかしまずい、このパワードスーツは……)
(動力を失えば……重いっ!)
(このままでは動けません……っ!)
『…………Diephoon』
4本の風槍が襲い来る
止まること無く襲い来る
霧散は
能力の主であるタイフーンが止めない限り
叶わない
「やめろ」
斬
突如怪物の左腕が裂ける
風は霧散する
ごとりと落ちた腕を見つめ
そのがらんの目が横を見つめる
しかし刃の主はいない
いや、
見えない
いる
雨がそれを避けている。
『Whooon………?』
再生した手の動きに合わせ
風がガラスを踊らすように巻き上げ
気配するそこに纏わりつくように
攻撃する
しかし
パリリリリン!
突如亜空から現れた刃の蛇が
一瞬光ったガラスの破片全てを
喰らうように砕く
「………あれ」
「……正児さん、これ脆すぎすよ」
しかしその後の微細なガラスは
そのまま襲い来たのか
そこにいる何かを
少し
ほんの少し切り裂いた。
機械の破損特有の電光
小さな雷鳴
彼は現れる。
「切り裂けちゃった」
ローブは投げ捨てられた
『ご覧ください!』
『現れました!あれが現在最優先討伐対象とされる怪物、Electricです!』
『姿を見られないためには良い手段と思ったんだがな』
「薄すぎますよ、いくら動きを制限しないためとはいえ」
『最新技術過ぎたな、光学迷彩』
『俺たちも付近で同じ技術のテントで待機している』
『今は時期が悪い、悪いが極力姿は出せん』
『狙撃でサポートするつもりだったんだが……』
「効きそうにないですからね」
「大丈夫です」
彼はゆっくりとプロトを見て
「プロトさんもいますから」
「………そうですね」
機械部分をパージし
重くはない装甲を少し残し
なんとか動ける状態までスーツを削る。
(あぁ、情ません)
感想、ありがとうございます。
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