第14話 その3
「これより、ミーティングを開始する」
この建物で一番大きい部屋
この建物で唯一全局員が収容できる部屋に
局長1名
秘書1名
特別雇用2名
研究者180名
実働隊96名
隠蔽役5名
その他職員61名
計346名
直それぞれを統括する長は壇上にパイプ椅子で座る
それは同等の権限を持つ早太、アルも動揺である。
「………随分減ったな」
「そうですね」
神座市の呟きに早太は答える、
そうだ、確かに減っている
僕をサポートしてくれた実働隊の人達は
僕がここに入ったときはもっと、
4割増程はいたはずだ。
(やっぱり自分の友達を守るのでせいぜいか……)
「まず、各自確認したとは思うが念のため一般に公開された情報を知らせよう」
「万が一外でポロリなんてされても困る」
その言葉と同時に局員正面のモニター
そして各リーダーの手元の専用のタブレットに表示される
「まず今までに出現した怪物の存在が公開された」
コマ送りのように流れる今までの怪物たち
「Electric」
「Wing」
「Voltage」
「Booster」
「Quartz」
「Labyrinth」
「Keeper」
「無論これはあくまでデータからつけられた仮称ということになっている、BURSTとズガドーンのようなものだ」
「言って良いのかそれ」
「別にここでの会話を販売するわけじゃねぇし」
その名前聞いたことあるなと調べようと思った早太はタブレットがオフラインなのに気付きもやもやする。
「次に一部怪物の生態が開示された」
「基本怪物は怪物を優先して襲うこと」
「移動しているとき、眠っているときなどでも、むやみに手を出さなければ直接の危険性は少ないこと」
「人知を超え、物理法則を超えた能力を使用すること」
「怪物はコアを破壊しない限り無限に再生するので個人で倒そうとするのは無謀であること」
「これくらいだ」
「少ないですね」
ステラが呟く
「これ以上ではっきりわかってることなんてほぼ無いに等しいと思うが」
「あとは現れる怪物の数?」
「人間が契約して変化してるってことは?」
「それは半分開示されている」
「あくまでも寄生という形でだがな」
「確かに言われてみると結局私達は怪物達の目的すら知らないんだよね」
「……すいません思い出せなくて」
「まぁ、そっちはもう望み薄だろうね」
「脳波を読み取って直接スキャンしようかと思ったけど君、一部電気の性質を持ってるみたいでうまく機能しないんだよ」
「君、戦いに干渉できたりはしないのかい?」
「そうですね……バフを撒くくらいなら」
「バフ?支援魔術でも使うのかね」
「え、いえ魔術はちょっと……」
「なんだつまらん」
「………局長、話題がズレてます修正を」
相変わらずフリーダムに自分の言葉を発する面々のせいでまっすぐ予定通りに話が進まない。
「次に現在の我々の世間での扱いだが」
「半中央テロ、もしくは宗教組織ということになる」
「そのため即刻解体が宣言された」
「まぁつまりはリーダー格を全部引っ捕らえて本部は破壊……ということだ」
「それで、私達はどうなるんだと思う者もいるだろう、しかし心配は無いこの場にいるほとんどの者は怪物と相対したことがあり、怪物の技術を他より熟知している貴重な人材だ」
「その殆どが表に作られる組織に雇われることになる、名前の変化もおそらくは無いだろう」
「まぁ、十薬会なんて名前になっている以上局の紋章はドクダミの華から変更になる可能性が高いが」
(あ、これドクダミだったんだ……)
「あの、逮捕されるリーダー格というのは?」
一般局員の1人が手を上げる
自分の上司がそうなるのではと心配しているうだ
「心配無い、捕まるのは私だけだ」
「……あの、本郷特別局員の扱いは?」
(……!)
(わざわざ聞いてくれるなんて……!)
ちょっと嬉しい
「可能な限り守る……というか引き続き共に戦ってほしいと私は思っている」
「しかし彼は現在表には特警戒分子だ」
「さらになんでか知らんが一部最高議長からは抹殺命令が出ている、いざというときは……覚悟してくれ」
「………最高議長って?」
またも話の流れをぶち壊す呟き、
今度の主は早太
答えるのは正児
「中央議会の最高権力者だ」
「………そうか、君のときは不在だったな」
「中央議会での最終決定権限と暗部関連のあらゆる決定権を持つ……らしい」
「そんな存在いるんですか?」
「というか、九乃介さんは?」
「彼は……まぁ、表の顔みたいなものだ」
「というか俺もいるらしいってことしか知らん」
「1人とは思えないが……」
「………とまぁ、最高議長とはそういう存在だ」
「正直今後どうなるかはそこら辺しだいだ」
「何安心しろ、表に規律を示すためこうしてはいるが演算によれば終末双点回避に君は大きく関わっている、失うわけにもいかないからそう時間もかからずそこは解決する、世間の目はどうにもならんがな」
「……やべぇ、何言ってるのかぜんぜんわからん」
シュウマツソウテンってなんだとか考えながら
早太はボソリ呟く
「端的に還元して時を待てってことだ」
「僕たちには時間が大切なんだって歌ってやりたくなりますね」
「アル、君どんどん俗っぽくなってくね……」
「………む」
ふと急に、脈絡もなく局長が眉を潜める
「………ちょうどいい、対応を見るとしよう」
「諸君、任務だ」
通信機もつけてないはずなのに急に宣言し
局長はデバイスにその手を触れる。
「みろ、これが今回のターゲットだ」
大画面に映し出される映像
それはどこのチャンネルか知らないがニュース番組の速報、ヘリからの中継、超高所。
強く揺れながら映されているもの、
幹線道路を突っ走る……
「車?」
「いや、バイクか……?」
高速で走るそれ、
スピードを落とさず次々と縫うように車の隙間をすり抜けて走り抜ける車両。
というか……隙間をこじ開けている?
『ご覧ください、突如現れた暴走車両!』
『聞こえますでしょうかこの風の音を!』
『本日の天気は快晴、30分前まで風の一吹きも無かったこの島に突如嵐……いえ、台風のような風が吹き荒れています!!』
『すれ違う全てが風で壁へ叩きつけられています!』
『見て下さい通った道を!』
『洪水のような水が洗い流していきます!』
「まずい……」
「まずいよね……」
僕とアルは呟く
「僕、まだ道路の上を歩けない」
『………!』
『ご覧くださいあのトラックを!』
『風吹き荒れる中、無謀にも突っ込んでいく怪しげな車両がいます!』
『十薬会でしょうか……?』
暗く揺れる
左右の壁のラインをなぞるように光る
使命は嬉しく思う
生まれた意味なのだから
これを拒めば私は意味がない
でも、彼は違う
彼は私とは違う
………いや、こんな願いは今はいらない
私は死ぬまで、機械だ。
スピーカーから声がする
『機械の子08、君に最後の命令を与える』
『我らが予言に力づけられ雄々しく戦いなさい』
『ここで大破するも、大敗するもよし』
『君の価値を示せ、そうすれば君の願いも叶えよう』
「………了解」
「HA-08、プロトエンジン出陣する」
ようやっと完全改修が終わったタチバナの背に乗って
さぁ、トラックの門が開く。
「さぁ、いきましょうタチバナ」
吹き荒れる突風を押しのけて
もはや川のようになった幹線道路を馬力で進む
どんな圧も乗り越えて




