第14話 その1
「良くきたね、HA-08」
「呼ばれた要件はわかっているかな?」
「………」
「沈黙は是なり……特にこういう質問にはね」
「先の戦闘、仮称キーパー討伐」
「基本スペックの差の問題もあって君はボロ負けしたね」
「………まぁ、それはいい」
「できる事をできるなりにやれば」
「………」
「でもね、約束はね、守ってほしいんだよ」
「わかる?」
「………」
「さて、君が僕らと結んだ約束を教えてくれるかな?」
「………自身の預かるあらゆる秘匿情報が外部に漏れた場合、それ以上の価値が見いだせないならばあらゆる手段を持って抹消する、でしたね」
「そう、その通り」
「まだ利用価値があるから他の奴らの意見を聞けば保留になる可能性もあるが、約定を軽く見られるのこっちとしては不満でね……」
「しかも、今僕らの議論はちょっと忙しいんでこっちは僕に完全に任されている」
「とまぁ、大前提の話はこれでいいとして……」
暗い部屋
相手の顔、体勢なんてわからない。
けど、
確かに体勢が変わった気配を感じる。
「君としてはどうだね?」
「………私としましては」
「不味いことになった」
「ヤバイことになったな」
「「なぜ引っかからなかった……?」」
24のモニターがあらゆる画面を映す
9のTVチャンネル
8の公式TV動画チャンネル
6のネット記事
1のトレンド画面
輝かしくはその1位
その見出し
そのサムネイル
その特番の題はただ1つ
『怪物現る、政府の発表が待たれる』
「これだからリテラシーの無い国は……」
「これだから情報分別のできん大人共は」
「触れてはいけないことだと外見でわからんのか」
「関わらんべきことなど子供の方が理解するぞ」
「「揉み消せないか?」」
「「俺ができるわけ無いだろ」」
深夜まで明るいその部屋
積み重ねられた2つのカップ麺の空をもう一層増やしながらまったく同じ顔、同じ声の男がキーボードからのみ手を離さず2人は述べる。
「来年の特撮番組の作成とでもでっち上げるか?」
「その手は前使った」
「同じチェインだシリーズだ」
「どのみち危険技術乱用防止法でアウト事項だ」
「それより映画撮影ってのはどうだ」
「その手は使ってないな」
「使えるだろう」
「どのみち禁止事項だがな」
「………!」「……あ」
「「ちっ、締め出された」」
「あのくそ権力者もみ消しをぶち切りやがった」
「最高権力が……何のつもりだ?」
「「世界終末観測演算機構……」」
「いいのかい?」
「ピクル君たち頑張ってたみたいだけど」
電子空間
お忙しい最高議長共は集まることすら無く互いの作業を休めること無く議論を進める。
と言ったって今回は穏健派の参加はほぼなし、
3の2と言ったところか。
「これ以上は逆効果だ」
「それにこれからは隠滅作業も人払いも楽に済む」
「それが我々の結果だろう?」
「ふむん、努力は報われて欲しいものだけどね」
「甘いわね」
「私達の仕事は島の運営の維持」
「私達の手を離れる前に形を組み立てて流すのが一番よ」
「ただでさぇ、願いを叶えるフィル厶なんて噂が流れてたのにそれに確信を与えるなんて、面倒しか起きないこと明白じゃない!」
「天、君が過激なだけだと思うよ」
「人の空想こそ発展だと僕は思うな」
「そもそもこの問題それほど大事かな」
「どのみちもうあと一年もないんだぜ?」
「良くは無い」
「未知が現れることはこの島では喜ばしいことだ」
「しかし、喜ばしすぎるのがいかん」
「危険であろうと関わろうとする」
「バカはあとを断たないからね」
「実際暗部の一部狂気が暴走してるわけだし」
「して、どう発表するかという話じゃが」
「以前の案で良いかの?」
「いんじゃない?」
「まとめて全部危険ってことにして遠ざけんのが一番でしょ」
「ほほっ、そうじゃの」
「それでよいな、士郎」
「……仕方あるまい」
「じゃ、そうさせてもらおう」
星が1つ、ログアウトしました。
「……とまぁ、そんな面倒で格好つけで固っ苦しい会議の結果を纏めるとだな」
SOCDO本部
全体放送
長く面倒いろいろにざわつく中
局長全てのまとめを告げる
『私達は今日からテロ組織だ、公にはな』
「まじっすか」
食堂がざわめく
仲良くラーメンを食べていた4人
神座市が動揺でどんぶりを落とす
割れた破片から庇うように早太がアルを守る。
中を舞う彼のどんぶり
「あっつぁ!?」
激突する正児の顔面へ
中身をぶっかけながら
大惨事である
「あっつぁ、あっつぁって、んなのどうでもいいんだよ」
「テロ組織!?」
「んだよ、それ!」
怒り心頭といった感じて
顔を台拭きで拭いた正児はスピーカーを睨む
『30分後全体ミーティングを行う』
『それまでにことの経緯を各々スマホ等で確認』
『質疑についてまとめておくように』
『以上だ』
ピン ポン パンポ〜ン
「………いいぜ、わかった」
「徹底的に聞くためにしっかり見てやる」
「おい神座市タブレットあるか」
「あるぞ」
「えっと……その記事というのは……これだな」
「サンキュ、どれどれ」
正児が受け取ったタブレットを
神座市と一緒に真ん中で持ち
早太、アルはそれを後ろから覗き込む。
「えっと……3日前、12月26日クリスマスという本来祝福に溢れるべき日に起こってしまった悲しい事件を覚えているだろうか」
「覚えてますとも」
「犯人は確保されたと報道された」
「しかし、我々はそれがデマである可能性がネット掲示板各所で確認されているのである」
「まぁ、実際デマだもんね」
「我々も独自の調査を行ったところ」
「なんと犯人と思わしき写真が複数発見された」
「写真……?」
「個人がか?オンラインに繋がってるカメラ系統は全滅だぞ、わざわざ高い旧式の眼レフでも持ち込んだのか?」
「……いや、個人は個人でも個人記者らしい」
「おそらく、張り込みして偶然犯人と出くわせたらばんばんざいのつもりだったんだろう」
「それなら画質の良い旧式をこだわって持っている可能性はあるな、今だに人気が高いし」
「で、俺たちの戦闘を目撃?」
「回りに人がいないことは確認したよな?」
「確認はしたがそれだって事件の数時間後だ」
「会議だ許可も無く動ける奴らとは対応の速度が違う」
「犯人は絶えずそこに居たわけだしな」
「しかしどのみち記事を上げるのはネットだろ?」
「共有ネットワーク内に1度でも入っちまえばピクルさん達の網に引っ掻かかって消えるはずだ」
「つまり……?」
僕らは首を捻る
しかし、1人まったく別の意味で首を捻る少女が1人
「直接TV局に持込んだんじゃないの?」
「「「………あ」」」
「そうじゃん、最近何でもパソコンで済むから失念してた」
「今どき漫画の持ち込みだってネット投稿だからな」
「TV局も見ず知らずの記者なんて本来入れないし…」
「だが、TV局員と直接知り合いなら話は別だ」
「直接現像したフィルムを渡せば良い」
3人の納得に
当の本人、アルは首を捻る。
「でもさ、どのみちTV局とか新聞社とかさ」
「記事にするときにパソコン使うんじゃ……?」
「そりゃ使うが」
「問題は隠滅の方でだな……」
「個人のパソコンにハッキングかけてデータ削除するのと大企業のめっちゃ注目されているデータを削除するんじゃわけが違うから」
「そっか、削除するってことは暗に知られたくないことって認めて悪質な取材が増える可能性が上がるのかぁ」
「まぁ、本来ならそれでもどうとでもなるんだが」
「最高議長様達の考えることはわからんが」
「そうしなかったってことはそろそろ潮時だったってことだ」
神座市の言葉に一応正児も納得している。
彼は別にバレたことに怒っているわけではないらしい
(正児さんは何を危惧してるんだろう?)
「……あぁ、思い切り写ってるなキーパーだ」
映る巨漢のマッチョ戦士
時代外れな格好に
本来の大きさと怪物との対比で脳のバグる剣
大きな大きな盾
「こいつもこいつで、人間とはぎり言えないラインの外見だからな……こっから少しずつ慣らしてくつもりだったのかもな、もしくはただの人間と通すつもりだったか」
「……でもさ、見てくださいよこれ」
早太は最近ようやっと使えるようになったSNSの画面を3人に見せる。
見れば耐えること無く新しい画像が次々と流れている
「結構ありますよ写真」
それは今まで出てきた怪物達のような?
なんともピンぼけた写真たち。
特に多いのは
ジェットと……クリスタルだ
特にクリスタルは綺麗なモニュメントだと思って写真を撮ってた人間は多かったようだ。
ネットに上げず
バックアップも取ってないなら
共有ネットワークにバレやしない
隠蔽をしないと決め込んだ上、
注目も集まっている現在削除されない
ネットは怪物の姿が本物の偽物入り混じって溢れかえっている。
「うっわ、ぐちゃぐちゃ」
「情報を送るだけならこの島の右は無いからな」
「送るだけで議論はしねぇけど」
「しないの?」
「すごいたくさんのコメントが流れてるけど」
「生産性がねぇからな」
「こんなのは」
「「議論のようなもの」……だからな」
「割り込むな早太」
「すいません、思わず」
「………む、これは」
そんな中記事から目をそらしてなかった神座市は
速報として現れたリンクをクリックする。
「動画、中央の公式動画……?」
「俺達がテロ組織とでも発表するのかね……」




