番外 その9
『さぁ、どうしますか?』
『簡単な話でしょう、ただ物を壊すだけですよ』
『それとも、もし少しでも僕が人間に思えて』
『同情してくれるなら』
『今すぐ逃げる』
『それだけでいいんです』
『さぁ、時間はありませんよ』
煽るような言葉
その言葉に僕は……
「よいしょ」
連接剣がアトモスに絡みつき、
そのまましばり上げる。
「ん〜っと、ここでいっか」
そしてそれを頑丈そうなものに結びつける。
『何を?』
「………お前の挑発に乗るのは癪だから」
「第三の選択肢だ!」
僕は正面、メインモニターをガラスを蹴り破る。
「無理矢理にでもこの電車を止める!」
「それで解決だろ!?」
空気が外に漏れ
そのまま早太も這い出る。
『無茶な!?』
投げ出される僕を
アトモスは追えない
何をするか、どうなるか、
「それはそこに座って感じていろ!」
「………アル!」
『はい!』
僕の呼びかけと同時に脳に声が響く
そして天井の隙間をすり抜けて
あの、切り離した装甲と再開する。
『ドッキングします!』
「あいよ!」
僕を追い越したそれは背に貼り付き
受電翼を固定し
僕はリニアの力を完全に取り戻す。
「逆速、全開!!」
「いっく………ぞぉぉぉぉ!!」
大量の電子を喰らい尽くす自己強化
車両の鼻に僕の爪痕、手形を刻む威力で抑えつけ、
初っ端から全速力で僕は前に進む。
車両を止めるため
車両と向かい合い
車両とは異なる方向へ全力で
しかし
「ぐぬぅぅぅっ!?」
この質量!
一車両ならいざしらず
計10両
もはや無謀とすら言えない
しかし
「こんにゃろぉぉぉぉ!!」
『止まりません、止まりませんが……』
『早太くん、速度は落ちてます!』
『到着までの猶予が少しだけ……』
『無駄だ』
『というか無理だ』
『君がもし力があったとしても』
『暴走した機械は化け物さ』
『人のあらゆるものよりも理不尽』
『人は人以上の物を目指しながら』
『何故作り出した物を下に見る』
『僕らには……なにか足りないというのか?』
「止まんねぇ……!」
「くそ…!」
「というか、送電切れないの!?」
『無駄です、ここはほぼ真空』
『速度は落ちません』
『減らせるようにはなりますが』
『そうなってしまったら』
『質量で圧倒的に劣る私達が押し負けます』
「クソゲーかよ……!」
『!』
『早太くん、足の装甲板は?!』
見ると彼の素の足が床に擦れて火花を散らしている
「忘れてきた!」
『そんな……』
「だいじょ〜ぶい!」
「再生力も上がってんだ」
「押し負けたり何て……するもんか!」
実際痛い
めっちゃ熱い
しかし、
僕は
今僕は……
「僕の…」
「僕の日常に……!」
「爆発騒ぎなんて、いらねぇんだよぉ……っ!」
「現着した」
「ミッションを開始する」
同時刻上空、
いや、路上
早太が格闘する真上に1人の男が現れた。
手に握られたのは一枚のプレートと
あの、デバイス
《Please set》
「機動」
《Take change artifact from Machine》
現れたのは体の至る所から基盤、配線の覗く怪物
銅のようで、それでいて錆びついたような色の怪物
そしてその怪物は
「ふん!」
地面を叩くように
手の平を振り下ろす。
その瞬間幾何学な模様が光のラインとなって
地面に刻まれる
それは歩道を透過し
そして封鎖されてがら空きな地下道路
ラインを変えてせき止められた上下水管
その全てを透過し
『……な、これは!?』
突如の衝撃にアルモスは驚く
それは無理もない
当然だ
なぜなら自分を壊さない限り発動しないはずのブレーキが、作動したのだから。
『スピード、下がってます!』
「来てくれたのか!」
「ラストスパート……!」
『早太くん、先頭車両廃棄場入ります!』
『残り時間15秒!』
「殺しきれないっ!」
『早太、聞こえるか!』
通信機から声が聞こえる
「!」
「正児さん!」
『今、最終兵器が向かってる』
『10秒だ』
「10秒………まさか!」
『100%、全力で行け!』
彼の蹴り破った穴から現れる
それは先日の件で事を起こしたそれ
改造を示したのか
バイクに近い何かは変形し
何かは僕を
僕を前から抱擁するように接続する。
+55%
『暴走まであと10秒』
「了……解!」
「輝け、光の翼……っ!」
スラスター
マフラーから
溢れだした雷光が翼を生成する
それは月の光に照らされた蝶の翼のように
自分が無限に生成する雷光を喰らい
あらゆるエネルギーを生成する。
「止まれぇぇぇぇぇっ!!」
その翼によって天井に取り付けられた電灯が全て破壊される。
しかし、その翼は世界を照らす
そして………
『ありえない』
車内の唯一の存在が言葉を漏らす。
止まった
『止まった……?』
「止まった」
「『止まったぁぁ!!』」




