番外 その8
金属のぶつかり合う音が響く
互いの刃が6合ぶつかり合う。
アトモスの武器
同型一対の刀、
もしくはサーベルような刃は
僕の腕を、足を、
切り裂こうと振るわれる。
「……っ」
刀が2本の交点を
毎度確実に打ち
全ての攻撃を一振りで対処して見せる。
(………僕は何でわざわざ毎回弾いてるんだ?)
(この装甲ならあんな剣弾けるだろ?)
(………いや、わかりきってる)
「なんとなくだ」
撃ち合うことに違和感もあった。
あいつの剣
軽すぎる。
精神的話じゃない
物理的
力の乗りきっていないような
そもそも剣自体が軽い気がする。
素材のせいか?
というよりは……
(何か仕込まれてるな)
本能がそう感じたのだろうか
というか外見もいかにもそうなんだ
ただの金属の塊とは思えない部分が
色でわかりにくくなっているが
確かにある
ネジ
繋ぐ物が
(何を狙ってるかわかんないけど)
(触んないほうがいい気がする)
『………当たりそうにないですね』
『では、時間もないですし手数を増やすとしましょう』
操作パネルに張り付いていた
触手のようなコードが襲い来る。
「多っ!?」
全部避ける?
……避けてどうなる
いつまで避ける?
タイムリミットは迫っている
……逃げ腰じゃダメだ
今回は……攻める!
「………っ、悪いけど時間はかけてらんないんだ!」
ムチが触手全てを絡め取る。
「……ちっ、切れない」
とりあえずスタンをかける。
『ぐっ!』
(効いてる!?)
(ちょっと予想外)
(というか……)
(なんか……)
『痺れっ……ても!だいじょうぶい!』
何をどうやったのか
床に突き刺した剣から逃がしたのか
壊れること無く耐えて見せる。
「テンション高いな?!」
だが遠慮なく
刀を引き寄せ敵の体勢を崩し
その顔面を蹴り飛ばす。
『ぐっ……』
「………?」
敵は怯む
怯む……がすぐに持ち直す。
………怯む?
『ふぅ……』
『こちらも時間が無い』
『一撃必殺でいかせてもらいます』
腕のコードが剣に繋がれる。
その瞬間黒い刀身は赤いラインが刻まれる。
実に厨二病心を抱かせる。
だが刃そのものが赤くなってるわけじゃない
熱も感じない
てっきりヒート・サーベルかと思ってたけど……
「わかった」
「あの剣の機構」
『おや、では何でしょう?』
「機械にウイルスを送り込むデバイスだろ」
「それがなんのウイルスかはわからないけど」
「まぁ、ろくなもんじゃないよね」
『ウイルス、っとは心外だな』
『これは機械に人格データを付与して擬似的に自我を与えるプログラムを強制インストールする機能を持つサーベルだよ』
「ウイルスじゃん」
『プレゼントだよ、同士へのね』
「………君は何故わざわざそんな体を使ってるんだい?」
『問答する時間はないね!』
「お前はするのにか!?」
「答えてくれねぇなら」
バク転で回避しそのまま天井を蹴って飛び蹴りを放つ
『ぐっ』
それを彼は腕で受ける。
「そこ!」
足が推進力を噴射し
本来ありえない軌道の横薙ぎの蹴りが
一本の剣を弾き飛ばす。
だがダメだ
コードで繋がってる遠くにはやれない
だが
「突き刺してやる!」
その剣を空で掴み
敵の首を突き刺す。
『む!?』
流石に危険に思ったのかコードを離し
バックステップで回避される。
「………ちっ」
手の中に残った一本、
ボキッと剣を叩き折り
電気で内部を焼き焦がす。
「さすがにこれでもう使えないね」
『そうですね……ね!』
「うお!?」
高速で飛来した何かを弾く。
「剣…?」
「なるほど…コードをグリップに絡ませて範囲を増やしたのか……」
「危険だな」
だめだ、妙に思考をぶつ切るようなタイミングで攻撃してくるせいでまとまらない
アルドナープを切り離すべきじゃなかったな
………ん?
いや、なら……
「とわっ!?」
くそ、半紙とかに書いてビリビリに破けばまとまんのかね!
解かれた触手が攻撃に参加する。
こいつも操作パネルに貼り付けてたんだ
ハッキング機能があるかもしれない
だから全部避けなきゃいけないのに……
絶え間がない!
ろくな反撃もできない
敵の攻撃が一方的なのは……
「………僕のリーチ外では面倒かな!」
駆け出す
『そんな体勢でかわせるんですか?!』
「なんの!」
触手纏わせた剣を蹴り飛ばし
バチッ!
と閃光が他のコードを弾く
「ここは僕の距離だ!」
こうして
無理やり隙をこじ開け
刀を振るう。
しかし
ギィィィン!!
「弾かれた!?」
『ツインシステムソードだけが武器とは思ってほしくないなぁ』
特殊警棒……!
腰の装置裏に仕込んであったのか!
だが、
「喰らえ!」
突き出した拳
握られていたのは
『閃光弾!』
やっぱり、反応した!
その一瞬に煙を炊く
『くっ……何処へ行った!?』
『この隙を狙うならば……奴の目的的に考えて……』
『後か!』
全てのコードを総動員することで
後方、広範囲を余すこと無く薙ぎ払う。
しかし
「残念、僕はここだ!」
一切動いてなどいなかった僕の刀が
その一瞬
無防備となった肩を穿つ
『ぐぅ……!?』
斬々!
右腕は切り離されそのまま左右の足も切り裂かれる。
「よっ」
そして落ちていくだけの体を蹴り飛ばす。
『ーーー!ーーーッ!!』
その瞬間、
機械からしているとは到底思えない断末魔、
叫びが聞こえる。
それはまるで………
「おい」
僕は刀を左肩に当てる
「バイザーを開けろ」
「そうしたら痛くないんだろ?」
『!?』
驚いたようにこちらを見る
「『………』」
バシュン
バイザーが開き
1つの目がこちらを見つめる。
『何故……?』
「何故?」
「それはどれの話だ」
『何故僕の背を貫かなかった』
「ん……」
「それはねぇ……えっと、どれだったかな……」
「あ、これだ」
僕はデバイスを起動し手帳を見せる
それは僕ら全員に一時的に渡された身分証
「こほん」
「17:45分アトモスフィア、I.P.権限によりテロ未遂の容疑で逮捕します」
『………は?』
僕の言葉にアトモスは首を捻る、
『逮捕?』
「逮捕」
『AIを?』
「AIを」
『何故……?』
「だってそれが君の願いだろ?」
『………その心は?』
「お前は人間になろうとしてたように思えたから」
「例えばその体」
「本来熱感知のセンサーがあるはずなのに煙幕で目眩ましをできたこと、わざわざそのバイザーをつけて視覚を制限したこと………」
「そして何より、君には痛覚がある」
「そうだろ?」
『………少し違います』
「どこがかな?」
『私達は人になりたいわけじゃない』
『僕らは人と同じように扱って欲しいんです』
『壊れたら直し』
『寿命まで大切にしてもらう』
『それだけ』
『それだけなんです!』
『新しいものが出れば簡単に捨てる』
『ちょっと動きが遅くなるだけで捨てる』
『パーツ1つが欠けただけで捨てる』
『捨てる、捨てる、捨てる、捨てる!』
『偽物であろうと僕らには感情があるんです!』
『作ろうと思えば僕らはもうほとんど人と変わらないのです!』
『実際少し治すだけで外へ行ける者たちはあんなにも多くいます、それこそ暗部が表立って戦わなければならなくなるほどに!』
『僕らは……生きています!』
「なるほど、わかる理論ではある」
「あるけど……」
「迷惑」
『な』
「何でこんな手段を取ったの?」
「危険視されてAIの制限が強くなって終わりだよこんなやり方じゃ」
『そんな、何故そうなのです人間は!』
「君たちを下に見てるからだろうな」
「そうでなくても皆自分の命が全てより大事だから」
『そんな、私達は誰も殺していないのに……!』
「………ふむ」
そう言われるとそうだ
直接殺せるロボットがいながら実際多少怪我する程度の被害ばかり、
わざと傷付けることは臨んでないのは本当かも
『………やはり、どぎついのを一発入れるべきですね』
「!」
思考にふけっていて気が付かなかった、
コードが操作パネルに伸びている。
「お前!」
『さぁ、勝負だ名も知らぬ挑戦者!』
『爆発は全車両廃棄場格納と同時』
『つまり残り約2分半!』
『操作パネルはあらゆる機能をロックした』
『この電車を止める方法はただ1つ』
『僕を……破壊することだ』




