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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第2話 中央議会とこれからのこと
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第2話 その4


「……暇だ」


3日の拘束期間で彼は備え付けられた本を読破してしまっていた。

とくに労働する必要もなく、勉強したくとも勉強道具がない。

朝起きて、

運ばれてきた食事を食べて、

たぶん医者じゃない白衣のやつらの検査を受けて、

後は自由時間。

昼間はとくに面白いテレビもなく、

ただ備え付けられた数多のジャンルの本を読み耽る。


(このままでは豚になってしまうではないか)


また初日のように檻にもたれかかりながら声に出てるか出てないかわからぬまま呟いた。

ぼーっと春の気持ち良い空を眺めながら彼は昼飯を待っていた。


(そう言えば……アルからの通信(テレパシー)があれからないなぁ)

(アレってこっちからもできるのか


バン!

『VOLOLOLOLO!!!』


「うおっ!?」


何気なく眺めていた窓に突如張り付いたそれは眩い閃光を放ちながら間に挟まれた窓ガラスを素通りしていそうなほどの大声で吠える。

バチバチと雷を弾かせながらそれは窓の外から覗いている。


間違いない怪物だ、

やはり僕も引き寄せるのか、

……いや、電気の怪物、

これは……


「え、何?もしかしてアルドナープ?」


そう早太はそれに尋ねる。

が、それは飛び降りるように去っていく。


アルではない……?

いや、もしかしたらガラスが邪魔でこっちの声が聞けなかったのかも?

でもさ……


「何だったの今の」


彼は動けないまま1人で呟く。


(呼びました?)


そんな彼の頭に声が響く。


(アル?アルか?)


(はい?)

(……ああ、はい、アルですけど)


(お前、今怪物化してたりする?)


(え、してませんけど)


(………じゃあ今何処にいる?)


(図書館……?です、学校の、本がいっぱいある所)

(もしかして怪物が現れましたか?)


(うん、そう)

(……ああ、そうだ直接聞けばよかったんだ)


彼は一度息を吸う。


(ねえ、もしかして人のときも敵引き寄せたりする?)


(え、それはーーー


ズドン!


(あ、ごめん、OK!)

(来てる!あいつ来てるはこっちに!)


何かが爆ぜる音がフロアに響く

急に電球が砕け、何の誤作動か窓にシャッターが落ち光が消える。

廊下を伝う閃光、

その光を降り注ぐガラスの煌めきが目に写る。


『VOLOLOLOLOLGU!!』


ガシャンッ!と音をたてて揺すられた格子が眩しく光る。

さっきの窓越しとは訳が違う。

近い、近すぎる。

バチバチという死の音!光!姿!


『VOLOGU!』


めじ込まれた配線コードのような手より放たれる5本の矢、

くらえば即死の電撃の矢!


(死………!?)


バチッ、バチバチバチ!





「………え?」


「はぁ〜、よかったぁ、やっぱり当たりますね私の勘」


目の前に現れたのは遠く離れた場所、学校にいると今しがた言っていた……


「アルドナープ……!?」


「はい!あなたの相棒アルドナープです!」


全ての矢は彼女の手に収束し、握りつぶされる。


理性なき怪物もこれには戸惑ったのか動きが一度停止し、

警戒した様子で後ろに下がる。


「70%も残っていればさしもの私でも電気の誘導と吸収くらいはできます」

「あなたが「私=怪物」と思ったことから敵は電気を操る存在と予想しましたが……」


彼女は敵を見据える。


BINGO(大当たり)ですね」

「おそらくは……NO.22《VOLT(電圧)》ですかね」


「……電圧って「VOLT」だっけ?」

「単位だよねそれ?」


「想像力です」


「こじつけってことね」


少し余裕を取り戻した彼は軽口を言う。


「……で、ここで1つお知らせです」


「……何でしょう?」


不穏なその一言に彼は嫌な予感がしながら尋ねる。


「こっちに攻め手がありません」


「……マジで?」


「まじです」


「70%なのに?」


「70%なのにです」


「え、それは敵が同じ電気系だから?」


「いいえ、そもそも私がさっきの力を使えただけでも奇跡です」

「私たちは与える存在であって使う者ではないので」


「え、つまり?」


「檻が壊れた瞬間、私たちの負けです」


「さっきの電流でたぶんここ一帯の電子ロック壊れたんだけど!」

「横にやりゃあ、開くってあいつが理解した瞬間僕の負けなんですけど!?」


「デバイスは!?」


「押収された!」


「ですよねぇ……」


束ねた配線のような手がこちらに……


バン、バン、バン!


絶望の現状に3発の銃声が響く。

伸びた手が止まる、命中したのだろう。


「無事か31番!」


小木の声がする。


「無事です!」


僕は目一杯の声で答える。


「なら左の壁から離れて伏せてろ!」


「え、あ、はい!」


ドドドドドドドドドドッ

フィクションでしか聞いたことのない乱射音が響き、

無数の弾丸が奴に命中する。

……が、


『VOLU』


有効打なし、

くらげのような足も、光り続ける頭も関節も、人に近い一部も一切の傷がない。


ならば奴らは障害ですらない。

狙うべきはあいつだけ……

そう結論付けたかのように奴はゆっくりと檻に進んでくる。


『VOLLTO?』


その職種のような手を講師に絡めた瞬間、

感じた、

そして気づいてしまった。

動く、簡単に、動いてしまうことを。


なるほど、この柵は横の力に弱いのだ……と、


「うわぁ〜、案外賢いなぁ……」


アルは苦い顔をして呟く。


「ねぇ、本当にこいつら理性ないの?」


ゆっくりと開いていく檻を右の壁に背を付けながら呟く。


「どうなんでしょう……怪物化してる人をっまじまじと見たのは初めてですし」

「私が怪物化したときは……何というか夢を見てるような、操られたような」

「どこか朦朧とした傍観者みたいな気分でした」


「……まあ、暴れるだけが暴走じゃないもんね」


もう一周回り切って完全に冷静になった彼はそんなことを言いながらさっきトイレを済ましいた自分を内心称賛する。


『VOLOLOOO』


開いた隙間からゆっくりと入りこむ怪物、

しかし彼は慌てない。


ズドォン!


凄まじい轟音、そして砂埃、崩れ

さらに消し飛ぶ左の壁、


『VOLUUUUUGAAAA!?』


いつの間にか止んだ銃声と同等の凄まじい叫び声、


光り続けていた頭が点滅し、消える。


それは逆さのフラスコのような頭、上下対のように生えた針、

核のように浮かぶ小さな頭……


初めてみるそれには小さな穴が開いていた。


「チッ、外れたか」


重そうな拳銃とアサルトの境のような銃を担いだ小木が砂煙から現れる。


「まあ、とりあえず……」

「おらぁ!」


怯んだ怪物のフラスコめがけそれを投げつける。


『LUTO!?』


思わずといった様子で奴はそれを回避し、

丸見えな頭がそれを目で追う。


その一瞬を見逃さず距離を詰めた小木の小型バズーカーが火を放つ。


さっきと同じ轟音、

傷を負わぬとしてもその爆風は奴を鉄格子に叩きつけた。


「ついて来い!」

「……って、誰だお前」


「「話は後で!」」


2人は彼を追い抜き穴を通る。


後ろでもう一度爆音、

おそらく彼がもう1発撃ったのだろう。


「本郷さんこちらです」


空いた格子に立つ綱持が手招きする。


「彼女は……?」


「えっとぉ……」


「本郷早太さん」


言い淀んでいた僕の名を誰かが呼ぶ。


そこにいたのはたしか…神座市さん?…だ。


「先程貴方の処遇が決定しました」


そう言って彼女は一枚の紙を取り出し、読み上げる。


「一つ、今回怪物との戦闘によって起こったあらゆる罪は不問とする」

「二つ、これより貴方の拘束を解除する」

「三つ、本日より貴方を特殊生物対策局、特別対策員として雇用する」

「四つ、特別対策員として雇用している間押収物の所有権は貴方にあるものとする」

「以上です」


「なに?」


その声は誰が言ったのだろう。


「……未成年(子供)を巻き込む気なのか?」


それは小木の声だ。

この通達の内容を知らなかったのだろう。


「……上の決定です」

「無論貴方には拒否権があります」

「が、どれか一つ拒否するというのは不可能です」

「YES or NOです」


彼女は下に置いていたアタッシュケースをこちらに差し出した。


「……まぁ、契約したからな」

「戦うって」

「だから、受けるよその契約」


彼は笑顔でケースを受け取った。

何かイメージしていたキャラの人物像とずれている上にキャラの性格がぶれぶれですね……

まだ自分の中に生きていないんだよキャラが!

ってやつでしょうか?

まぁ、しばらくすれば安定しますよねきっと。

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