第13話 その2
「うわっ!?」
急激な閃光が僕がを射抜く、
その瞬間、
切断され、少しずつ回復を始めていた足に
新たな機構装甲が形成される。
《Projection:Engine》
エネルギーを、
熱を感じる。
(熱い)
(それでいて炎とは違う何か)
「これは………」
おもい
「どういうつもりかな、プロト?」
これだけは許せないくて、
まるで自分の足のように動く義足で歩み寄り、
力なく座り込む彼の胸ぐらを掴む。
「何故、僕にこれを使った?!」
「僕が、これにいい思いをしてないのを知らないのか?!」
怒りに震えている、
「………さて、初耳ですね」
「そうか、言ってないもんな?」
「でも、常識的に考えろ!」
「それとも、こんなもん使う奴らにはわかれないのか!?」
僕はすでにプロトの使用しているシステムの仕組みをある程度理解していた。
いや、予想していただけだ。
エネルギーなら何でも良い?
そうなんだろう、
原子炉を積んだロボット?
そんなわけがない、
そんな少し壊れるだけで放射能撒き散らす爆弾、
街中に派遣できるわけがない。
僕が助けると約束した後輩の行方を、
僕は今、確信している。
「見た目通りのシステムしやがって!」
「元契約者の脳のパック詰めを消耗品のように使いやがるような奴にはさ?!」
あのプロジェクターを使用するのに使用する
小型カートリッジ、
その中身、
それは……
「………理解できませんね」
否定しない、
認めたと言っていい口調で
弱々しい力が胸ぐら掴む僕の腕を掴む。
「機械は願わず」
「機械は疑わず」
「機械は選ばず、思わず」
「夢など見ないんですよ……!」
「少数、しかも犯罪者予備軍」
「人外域の少女1人で街1つが救える……!」
「これ以上を願うのは、強欲です……!」
「それともあなたが全てを殺すというのですか?」
「異能もなく、ただただ他より少しスペックの高い約人間ごときが?」
「不可能、諦めろ」
「せっかく足を得たんです、地に足の着いた考えをしてみては?」
「吐き気のするような気分ですが、あなたに託すと言っているんです」
「日常がそんなに好きなら、日常守るために死ね!」
…………
何言ってんだこいつ、
死ね?
ふざけるな
その1人見捨てて島救えば正しいのかよ、
正しけりゃ正義の味方になれんのかよ、
正しいなんて誰が決める、
っていうか、そこには僕には関係ねぇし
僕がキレてんのはそこじゃないし。
戦えないのはただ怖いだけだ。
怖いのは別に敵じゃないし。
………あれ?
なんか……
「………あぁ、もう、いい」
「あとでみっちりこっちの言い分聞いてもらうからね!」
「そこで安静にしてろ!」
くそ、今日の僕
僕らしくないぞ、まったく。
僕は懐かしい体勢をとる、
陸上部で毎日のように取ったあの体勢。
クラウチングスタート
全速力だ
『!?』
何故か踏み込んで来ない巨漢は
突如踏み込んできた僕に高速で斬りかかる。
だが、
速度だけならもう越えた。
加速する思考でもやっとな速度、
天を踏むように加速する、
ここまで機械的な外見でも
やはり怪物の足なんだと自覚する。
応対する敵に対し、
横薙ぎは地に滑るように、
切り上げは急停止で、
盾によるタックルは天高く飛んで回避する。
「おりゃぁ!」
踵落とし
反動のままもう一度飛び
回転キックで後頭部を強撃、
(すごい……!)
(気に入らんが性能は高い!)
(前後左右全てに推進力を生成できる!)
(しかも……)
着地と共に回し蹴り、
そして
(電気を供給できる!)
放電!
(………どうだ?)
『ゔぉぉぉぉっ!!』
「あ、効いてないですぎゃ!?
盾でぶん殴られる。
体が宙を舞う。
「えっと、この部分を……こう!」
推進力を調整しなんとかひときわ巨大な
コンテナの上に安全に着地。
「………?」
「あれ、このコンテナだけなんか違う?」
「エネルギーを纏ってる?」
触れたとき体内から感じる熱と似た感覚が足場に流れている。
「…………よっ!」
推進力織り交ぜて全力で天井を踏み抜く。
ギャイン!
……なに、今の音
「ぜんぜんダメージが無いな」
「もしかして……って、ぶな!?」
飛んできた短剣が頬を掠む。
「能力を割いて守ってるのか……?」
「てことは……守護者?」
「じゃないか、Gはもうあるもんな」
Gプレートを取り出し、
考えを改める。
「守る、守る」
「……守り人か?」
「ゴールキーパーって言うし……」
守る……は、人間、人工物かな?
つまりあいつがこっちに踏み込んで来なかったのは
守るものから一定以上離れられないから、
人間を襲いまくったのは守る領域に踏み込まれたからか……
しかしここは会場への通り道、
クリスマス会をするにはこいつは邪魔だ。
「っ!?」
降ってきた巨体を躱す。
僕の弾いた剣は地に落ちること無く
戦士の手に戻り
僕は斬りかかられる。
「ギリ…ギリ……!」
肩を少し裂かれたものの体は十二分。
それより気になるのは……
あの巨体、あの重量、コンテナに凹みはない。
それほど強力な何かで覆われているらしい。
振りかざされる剣も、
コンテナの天井は容易く弾く。
守ってるものを壊せば弱体化すると思ったんだけと
傷をつけれるとすら思えないな……
外に纏ってるから中からなら崩せるだろうけど
「変質ならどうだ?」
《Include Gold》
「……………?」
変質しない、
それは仕方ない。
だろうと思ってたし。
だけど
これは……
『早太ぁ!!』
「しまっ!?」
意識が完全にコンテナに向いていた僕は
戦士のラリアットをまともに首に喰らう。
(やば!?)
(…………っごめん!)
全エネルギーを使うつもりで
空を舞う僕はエンジンの推進力を全力で生成し
吹き飛ぶのを回避……って、
(これも悪手か!?)
速度を遅くしたことで追いつかれ、
範囲を出ない内に
飛びかかってきた怪物によって盾で叩き落される。
「がっ!?」
クレーターができる。
ヤムチャか僕は……ぶない!
横に転がって降ってきた巨体に
腹を踏まれるのを回避。
体勢を立て直せ
……ない!
『ガッ!』
ミシミシと音を立てて僕は壁に蹴りつけられる。
(………やべぇ、痛い)
(痛覚、やっぱ斬るべきかな……)
(………これが、怪物)
ミシミシ言い始めた足を無理矢理動かし
ふらふらと立ち上がる。
『早太……こちらもそろそろ援護を開始する』
「そう……ですね、お願いします」
「流石に超常能力じゃなくただただ強い敵には不利か」
「総員に告ぐ、早太を可能な限り援護する」
「命を賭けた仕事だ、歯食いしばれ!」
『『『了解』』』
『?』
敵の背中を大量の弾丸が
弾かれる
(効いてねぇ〜)
『ランチャー隊用意!』
『撃てぇ!!』
小規模の範囲に
大規模な損壊を与える爆撃、
これ以上となるとまたあの馬鹿デカビーム砲を撃つしかなくなってしまう。
……まぁ、つまりただの人間が使う上での限界火力ということだ。
だけど、まぁ、お察しというか
『やはり、税金の無駄遣いだな』
『フラッシュバンを焚け、3秒は稼げる』
ははっと乾いた笑いと共に毒づく声とやけのような声が無線から聞こえる。
でも、あいつ盾で全部弾き返したぞ
直撃してれば一応ダメージがあったと思っていいんだろうか。
…………
(本当に電撃が効いてないのか?)
(あいつは強硬、だが生物だ)
(敵の根源はスパルタ兵だろうし……)
(あの声も吠えたのではない……と、信じたい)
あとどれくらいいける?
そっか、いくぞもう一度全力だ。
推進力波が空に円を描く
構えられたクラウチングスタート
セット・レディ……
「ゴっ!?
『早太!使え!!』
聞こえる正児の声
飛来し目の前に突き刺さるのは一本の刀
綺麗で
境を持ち
きっと連接剣なのだろう。
僕の要望に応えてくれたのだろう、
だが……
形が悪い
タイミングが‥‥悪い
「うぷっ」
走り出す足の踏み込みが歪む
吐き出す口が無いが故に発散できない不快感が体に纏わりつく。
動きが鈍る
そんな僕を無視して
敵の拳は放たれた
『早太ぁ!!?』
「かはっ!?」
大型コンテナにその体が叩きつけられる。
敵の能力がなかったら今頃コンテナに大穴空くほどの威力、
もろとも吹き飛んでいただろう。
『おい、早太!大丈夫か!?』
「………は、はい」
掠れる声
『そうか‥‥よかった』
『だが、何で剣を取らなかった』
『なぜ、武器を持って来なかった!?』
焦るその声色がまるで僕を責めるようで
「刃が……怖い」
本音、答えが震える
「僕みたいなとーしろがいくらナイフを振ろうと高が知れていると思ってた」
「怪物に通じるのはこの怪物の力ありきだと思っていた」
「僕は人に戻れば日常に戻れると思っていた」
「僕は人を傷つけられないと思っていた」
「だから僕の力によらない銃は使わなかった」
「撃てるようになったら僕は、怪物の力を失っても人が殺せる人間になってしまう」
「……でもあの時、あの瞬間、あの刀を握った瞬間」
「僕は人を殺せると思った」
「人を殺しても何も思わないんだとわかった」
「何故も無い、そうだったんだ」
「僕は……」
「僕は」
「ぼくは、かあさんのようにはなれないよ」
「ぼくは人を、守れないよ」
「ぼくは……」
『早太………』
「もう嫌だ、誰か、誰か……」
「僕は……ただ、ただの日常に居たかった」
『………』
「これ以上、僕の歪みが現れるよりも先に!」
「殺してくれ!!」
「人を傷つける怪物になんて………成りたくないよ!」
刃が振り下ろされる
怖くない
受け入れよう
もう無理だ
ごめん、アルドナープ
約束だけが……心残りだ
見上げる巨体
震えるほどに圧巻
振り下ろされたその誰も止められない刃が
ガキン!
弾かれた
「…………ぁ?」
風が布を揺らす
「誰……いや、ぇ?」
深くフードを被り
口元を隠し
長いローブが揺れている。
顔が見えない
武器も見えない
どうやって弾いた?
人か?
怪物か……?
「何故……?」
「……死にたいところ悪いが、俺は理不尽に、身勝手に人を救うタイプなんでお前の意見は聞かん」
「今俺が守るべきはお前だけだ」
「……結構です」
「黙れ、俺の約束だ」
謎の男は僕のうでから
アーツプロジェクターが剥ぎ取る。
「これは持っておけ、まだ一緒に戦ってくれるはずだ」
ガジェットは突き返され、
男は怪物に振り返った
「再来を見よ!騎士のお通りだ、覚悟しな」
「後輩」
《プロジェクト・システム》
HA-08に採用された超次元軍用システム。
その基礎を生成したのは華家来綺照、
20年前の前開戦にて与えられた能力を再現する能力があり、
元契約者から抽出した能力プログラミングを起動できる現状唯一の機構である。
構築される外装は現在必要とされる形が自動選択されるようになっており
その再現率は30%前後、その再現度は100%と称されており、
怪物が再来した時の主力戦力となる予定だった。
……が、このシステムの軌道には一定以上のエネルギーが必要となり
リアルタイムでエネルギーを供給できる固定砲台的運用可能な能力は無く、
原子炉を積んだロボットでは出撃可能箇所に制限がつくことから
この計画は華家来自身の手で解決方法の模索無く完全凍結となった、
……が、有効かつ未知である技術の損失を中央は嫌い
研究は暗部中層に開発者にも知らされないまま秘密裏に引き継がれ、
最終的に元契約者の脳に蓄積されているエネルギーを使用することが提唱された。
それにより脳を切ってカートリッジに詰め、運用されることになるが
その時、契約者が死亡するとエネルギーが霧散、消滅することが判明。
いろいろ切って繋いで脳だけでも死なない程度にコンパクトに完成された。
まぁつまり、生きているのである。
記憶用の部分なのどの大半は切り離され、
人格、性格を形成する部分が多く残されている。
このシステムの難点はそこであり、
使用時魂にその脳を接続してしまうことから
使用者に圧倒的自我、使命感が無いと
人格などが混ざり性格が変わってしまう他、
残留思念的声に悩まされることとなる。
一応その後切り離せば性格が戻るがなんらかの悪影響が起きる可能性も考えられる。
エネルギーは少しずつ漏出してしまうため使用には期限がある上、
一度使用後排出すると3エネルギーが残っていようと脳が壊死する。
なお、今回早太が使用するにあたり最大出力を使えるよう
最も保有エネルギーが多いものがプロトの判断により使用された。
なお、このシステムを使用する上で用途不明な機構が多々見られるものの
効率とコンパクトを好む華家来が無駄な機構を取り入れるわけがないという信頼から
オミットされていない。
他の人の作品に比べて僕の文章って箇条書き見たいですよね……




