第13話 その1
風を切り裂く斬撃が振るわれる。
『!』
銃を盾にすることでなんとか逸らすも
その軌道上に重なってしまった装甲が容易く削り取られる。
『………これは、純粋なスペック差というやつですか』
切断された自慢の装甲を見つめながらも、
マニュピレーターを展開して手数を増やす。
粘着網を発射、
敵の足を固定、
その隙に後退を……
『あ』
逃さん!
とばかりに強く踏み出された足は網を引きちぎって
敵を前進させる。
『………』
槍が振り下ろされる
瞬間何重にも重ねた強固な糸を展開して彼は防ぐ。
しかし、
『だめですね、これは』
ブチブチと音を立てる糸束を見つめて
プロトは冷静に分析する。
『これでは保って数びょ
そんな彼の脇腹を敵は情け容赦なく蹴り飛ばす。
『ぐぅっ!?』
並び立つコンテナの1つにめり込み崩れる、
エンジンの能力も、自身の身体も、
限界を迎え火花とともに叫びを上げている。
それを冷徹に見つめる存在が1つ、
焼いたボディビルダーのような巨大。
身長2mほど、
体の至る所がむき出しで、
そんな場所からは剣も通さない筋肉が除いている。
盾を持ち、
槍を持ち、
剣も持つ。
その姿、まるで
盾持つ戦士
『Kaaa!』
力強く放たれたファランクスがプロトを容易く貫く。
さっきの蹴りでヒビのはいった脇腹だ、
あれはもう、立てない
プロジェクター・システムが停止し、
エネルギーが感知できなくなる。
それを感じ取ったのか
敵は彼に対して興味を無くし
『…………』
ズシン
ズシンと足音をたてながら
何処かに歩み始める。
「どこに行くんだ……?」
倉庫の影に隠れるとある隊員はそっと去っていく敵を観察する。
「………プロトエンジンの状態がわかるものはいるか」
通信機で飛ばした言葉にはすぐに返事が来る。
『こちら08、プロトエンジンを確認』
『槍が腹部を大きく貫いている……が現在応急処置機能を使用中、行動再開は……あ』
突如、言葉をぶつ切りにして発された言葉とほぼ同時に、何か、何か嫌な音がする。
『………あっ、て』
(…………!?)
「おい!?おい!おい!!」
(まさか、死んだって言うのか!?)
パニックになりながらも通信の途絶えた隊員の待機場所に視線を向ける。
(……?)
(何だ、あの穴は)
(でかい、ジェットモグラででもこじ開けたのか?)
ダイナマイトでも壊れないと自負する金庫型コンテナに空いた穴に彼は思わず唖然とする。
いや、本当は彼はその穴の正体を、原因を、
理解していた。
何故なら
「………あれは、お前がやったのか?」
奴は自分の後ろに立っているのだから。
見上げるほどの巨大、
見上げるほどの大穴。
もはや、聞くまでもない。
「………はは、化け物め」
銃の引き金を引くのが早いか
首が飛ぶのが先か、
はたまた
チェイン飛び蹴りが敵を穿つか。
「硬い!?」
反動でバク宙を決めて着地した彼は
驚いた様子で蹴った足を振り、
効果なしと見るや隊員を抱えて逃走する。
「本郷隊員……?」
「風邪ではなかったのですか?」
軽々と抱えられた隊員からの疑問
「治ったんで来ました」
当たり前でしょ、という口調で彼は言う。
それに対して
「助けてもらっといてこう言うのも何ですが」
「……馬鹿なんですか?」
結構冷静な口調のお言葉
「え、なんで?」
「報告聞いてきたんですよね?」
「は、はい」
「なら、勝てないことは明白」
「1度帰還し、対策を講じ、再度万全で挑むべきです」
正論だ、
彼だって反論できない。
「…………です」
でも、少し残った彼の熱が彼の正直な気持ちを
こぼれさせる。
「それじゃ、駄目なんです」
「それじゃ、遅すぎる!」
正論では止めれない気持ちを
「明日の朝には平和でないと」
「明日、皆が安心してクリスマス会を迎えられるように……」
「僕が守らないと……」
「僕が証明しないと……」
焦りと危機感、
なにかに怯えるような声色、
4日間繰り返し見続けた悪夢が故か
かき混ぜられた恐怖と呪縛が
病み上がりすぐに全力で走ったことで若干のぶり返しを見せた彼の体と精神に、
想像以上に負担をかける。
「………その正義感の理由は何?」
「…………自分が嫌なことを他人に味あわせたくない」
微熱で軽くなった口は、
うわ言のような声をもらす。
「………あれ?」
「そうだったっけ……?」
言動がおかしい、
彼らしくない、
「本郷隊員………?」
「………!」
隊員が問おうとした瞬間、
朦朧としていたとは思えない俊敏さで
躱しきれない剣から隊員を救おうと
チェインは横に隊員を放り投げる。
切り裂かれる左腕、
朦朧とした意識がその痛みで若干の覚醒を迎える。
冷静に投げた方向とは真逆に転がり込みどっちを狙うか様子を伺う。
(よかった、こっち来た)
狙われたのはチェイン、
契約者の願いの影響で人も積極的に襲うみたいだが
最低限怪物の原則には沿っているらしい。
「っ、と、わっ!?」
(………足が!)
(普段より体が軽いし、動きも早いはずなのに!)
突進のような勢いと
繰り出される連撃、
腰から抜かれた短剣の素早いこと。
切断された足を見る。
見事な断面、
1つの太刀で両足を持っていかれるてはどうしようもない。
(まずい、次、避けれない………!)
振り下ろされる剣、
足を失った今のチェインには避けられない。
(これが技能で補えない力の差か)
(………僕が、今まで怪物を倒せてたのは何でなのかな?)
(この力のおかげ?)
(それとも………)
この刹那、自問が脳を犯す。
熱にうかされた悪夢の理由、
彼の不安、
彼への恐怖。
その思考が彼が今を対処する思考を巡らす時間を遅らせる。
「どうしたんだ、あいつ」
通信の途絶えた隊員の安否確認をしていた正児は怪訝な顔で切り裂かれようとするチェインを見る。
「らしくねぇな」
彼にはまだいくらでも手がある。
キャリーケースを実体化させて投げつけるとか、
そうでなくても何でもいい、
「………まさか、持ってきてないのか?」
「それならあの速度も納得できる」
「いや、でも、なんで……?」
「………まぁいい」
「もしかしたら預かってるこいつの出番あるかもな」
「うぉあ!?」
特にそういうわけでもなく、
ただただ反応の遅れた早太の体が不意に
第三者の力によって強く引っ張られる。
「……っあ!?」
「痛てぇ……何、誰……?」
地面に顔面から叩きつけられ
彼は何が起こったのかと起き上がる。
『何をしているんですか?』
声がする。
チェインに巻き付いた糸のたどる先、
糸を吐き出す折れたアームを手に握り、
暗い瓦礫の向こう、
壊れたコンテナの中、
壁に持たれるHA-08から。
「!」
「大丈夫?壊れてない?」
慌ててチェインは這って寄る
『何をしているんですか?』
2度目、同じ問をする。
「なにって……いや、勝算も無いのに来て」
「その上こんなざまなのは謝るけど……」
『何をしていると聞いてるんですよ!』
ようやっと彼の前にやって来れたチェインを
プロトが殴り飛ばす。
チェインは殴られた頬を撫で、
その手を見つめる。
「……………?」
チェインはゆっくりと彼を見る。
暗くて彼の姿が良く見えない、
けれど、もう鎧を纏ってはいなかったことはわかる。
無理矢理抜いたであろう槍を見つめ、
彼を見つめる。
「……貴様、よもやここに死にに来たのか?!」
「………そんなつもりはないけど」
ようやっと完全に意識が覚醒した早太は
ふわふわとしないはっきりとした口調で
言葉を返す。
「………ならば、覚悟を見せてください」
一歩も動かない影はゆっくりと、
その言葉を彼に放った。
シン・仮面ライダー見るためにアマプラ入ったんですけど、キングオージャー面白いですね。
やっぱ、剣でチェンジってロマンを感じます。
王鎧武装ってゴロもいいし、
あ、一番好きなのはキングオオクワガタオージャーです、あのゴツさがめちゃ好み。




