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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第12話 誰が日常を守るのか
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第12話 その4

『ぼくね、きょうかけっこのれんしゅうで2いだったんだ!』


『あら、すごいわねぇ〜でも、母さんは今日部署対抗運動会て1番だったのよ』


『……母さん、5歳の息子にマウントなんで取らないの』


『いやねぇ、マウントじゃないわよ』

『私が早太を褒めるように』

『私も早太に褒められたかっただけよ』

『いつものことだよね、早太』


『うん!ははもすごい!』


覚えがあるかもわからない会話、

僕は食卓の外に立っている。

無理矢理記憶から作り出した映画(フィクション)であるかのように、僕は動かずそれを静かに眺めている。


おかしな視点だ、

ありえない視点だ。


僕は人生で1度も体験したことのない視点から、

誰のものでもない視点からその食卓を眺めている。


『ふふ〜ん、そうでしょ、そうでしょ』


きっとドヤ顔してるであろう母の顔はここからではまったく見えない、

呆れているであろう父の顔と

楽しそうなぼくの顔はよく見えるのに。


………たぶん母の写真が我が家に無いからだろう。

僕は本当は母の顔をまともに知らない。


『今を生きる私は思い出にはならないわ!留める暇があったら進みたいもの!』……が、母の口癖だったらしく本当に家族写真や記念写真というものが我が家にはいっさい無かった。


我が家のアルバムに入っているのは

父が取ってくれた僕の成長の写真たちと、

数枚の隠し撮られた母の後ろ姿だけ。


まったく、思い出せない僕の身にもなって欲しい。


唯一顔が写っているのは

僕が生まれたとき父の夢を叶えるために撮られた一枚のみ。

今でもその写真のみが仏壇に遺影として飾られている。


『ねぇ、お母さん』


そんなことを思い出し終えたとき再び映画が動き出す。


『なぁに?』


『おかぁさんはなんであしがそんなにはやいの?』


それは純粋な疑問

小さい頃抱いた僕の些細な問い。


『ふふっ、それはね?』

『見えるものぜ〜んぶを助けるためよ!』


バッと勢いよく腕を広げる、

まるで自分の届く場所全てを救うと示すかのように、

子供のように全力全開で。


『転んで泣いている人も』

『空へ果てなく飛んでいこうとする風船も』

『倒れて潰れそうな野原も』

『困っているなら全部、全部、ぜ〜んぶ助けるの』

『それが私の夢』


彼女は僕に良く語ってくれた、

自分が掲げる夢のあり方を。


楽しそうに、

嬉しそうに語ってくれた。


それだけはたぶん確かだったと思う。

ただ、この日は問題がちょっとあった。


原因はぼく


『おかぁさんはわるいひとでもたすけるの?』

『わるいひとはたおさなきゃいけないんだよ、ぼくしってるもん!』


それは子供によくある思い込み、

いかにシナリオが練り込まれ、

隠された意味や、

怪人達なりの正義があったとしても、

子供達(ぼくら)にはわからない。

ぼくらにとってすべての物語(フィクション)はかっこいい存在が()()()()()()()()()()()()怖そうなものを倒す物語。

なんか良くわからないけど怖そうなものを主人公が悪と呼び、敵と呼ぶからそれがぼくにとってのそいつらの総称になっていた。


正直あの頃の僕は世界征服の意味すら理解していなかった。


『………う〜ん、早太、ちょっと難しい話をするけど良いかな?』


開いていた腕を収めて母はゆっくりと語る。


『この世に正義とか悪とかわかりやすいものって実はそんなに無いの』


『………?』


まったくピンと来ないという顔でぼくは首を捻る。


『怖い人だからって悪じゃないし』

『悪い人だからって倒さなきゃいけないってわけじゃないの』

『たしかにこの世界には良い悪いがあるけどそれは善と悪じゃないと私は……私は勝手にそう思ってるんだ』

『すべての悪いは()()()()()()なものさしで測らないといけないの』


今思えば何を言っているのかわかるお言葉に、


『?』


このときのぼくはポカンとしていた。


『母さん、難しい言葉を使いすぎ』

『まだ早太にはわからないよ』


『え〜、大事なことなのに……』


『今度僕が文字に起こしてあげるよ』

『早太が大きくなったとき何度でも読み返せるように』


『えぇ……こういうのは直接言うからいいのよ?』


『じゃあ、大きくなった早太に君が直接伝えれば?』


『む、う〜ん……』

『じゃあ、それならっと、っと』



突如母の持っていたミニトマトが箸から滑って逃げ出した。

それを捕まえようとした母は置かれたケチャップを倒す。


開けたばかりのケチャップは蓋が外れ、

ドロドロと中身をこぼれていく。


赤く、

赤く、


不愉快な粘度で、

広く、

広く。


滴る






また、あの音がする。


コメディのような結末を犯し、

世界は狂気の赤(スプラッタ)へと変わる。


滴って生まれた水面が

椅子にたどり着けば

もう誰もいない世界がただ映り続ける。

逃げることも、

目をそらすこともできないまま。



赤く

紅く

朱く

赫く


誰かの笑い声がする。


カタカタとうるさい音がする。


人形の笑い声なのか何なのか、


耳を塞いだって聞こえてくる。


目をつぶっても見えている。


赤く

紅く

朱く

赫く

明るく


燃え上る。



もう誰もを座らない母の椅子が、

まるでそこに誰かが座っているかのように、


燃え上る


頭に穴のあいた道化師は笑う


カタカタと燃え上る



自分が平らだと思っていた床が歪む、

自分が確かだと思っていた壁が溶ける。




溶けた壁果は無い。

まだまだ世界は続いている。

スポットライトに照らされるは貼り付けられた道化師、

あいも変わらず間抜けに穴を開けて吊っている。



どろりと塗られていた赤い壁はサーカスのようなカーテンへと変わり、

観客席に座る

地に足の付かない人形共と。


カタカタと笑い、

石を投げ、

火矢を放つ。


さぁ、新しいスポットライトが照らす。


よく研がれ光る一本の刀を、


さぁ、新しくスポットライトが照らす、


観客(傍観者)の僕を。


さぁ、掴め


さぁ、殺せ


さぁ、

さぁ、

さぁ、


さぁ、ついあの日の

さぁ、あの瞬間のように

さぁ、できないわけがない


簡単だと僕の背に立つ棺が語りだす。


カタカタ、カタカタ

カタカタカタカタカタカタと、


瞬きすれば僕はステージに立っている。

主役のように、



いや、道化師のように


誰かの暇を潰すための人形として……


生きるわけにはいかない



自分に溜め込まれた何とも知らない嫌な感情に任せ、

棺桶を殴り飛ばす。


その感触は異様で

簡単に力が流れていく

それはまるで鏡のように。


『いいや、違うよ』

『これは正真正銘鏡さ』


眼の前に

棺の穴の向こうに

誰かいる。


『鏡よ鏡よ鏡君、君はいったい何者だい?』


空いた穴から口元が覗く。


歌うように紡がれるその言葉は狂っている。


『おいおい、気軽に狂ってるとか言うなよ』

『ぼくはお前なんだぜ?』


『何を言ってるんだって顔だなぁ』


『もし本当に狂った存在がここにいるってんなら』

『それはお前だぜ、本郷早太』


『お前は鏡だ、本郷早太』

『誰よりも澄んだ目で世界を写し』

『誰よりも影響の受けやすい脆い存在』

『それがお前だ』

『だが純粋などではない』

『お前は水晶のような透明さを持ち合わせない』

『先を見通すことすらできない』

『お前は自分の上に貼り付けた銀鍍金(メッキ)でなんとか成り立ってるだけの壊れもんだ』

『おいおい何て顔してんだよ、自覚はなかったのか?』

『まぁ、いい、どうせこれも夢だ』

『起きたら少し考えてみるといい』

『忘れちまうだろうがな!』

『そうやっていつも堂々巡りだ!』


愉快げな笑いが劇場全てから響き始める。

十数度と体験したのではと思える既視感が揺らめき出す


そして僕は逃げるように




「……………」


目を覚ます。


肌を汗が伝う、

嫌な感触が手に残っているような気がした。


何も覚えてはいないけれど

言いようのない何かを体感したという不快感だけがこびりつく。


「………何だ、この感覚」


脳が記憶を拒絶したような感覚、

喉がいやに乾く。

……いや、痛む。


「…………まだ、アルは帰っていないのか」


立ち上がろうとした瞬間視界が歪む


「………?」


というか、バランス感覚がおかしい。


(暑い……)


暖房も一切無いのに妙に暑苦しい。


これは


「風邪……きゃ……」



本郷早太17歳、本日人生十数度目の風邪により

夢を見る暇もなく再びベットに倒れるのだった。

自分でも途中から何書いてるかわかんなくなった。

風邪を引いたとき見るような夢を書こうとした

……けど、僕は馬鹿なんで風邪を引いたことも

インフルで寝込んだときの夢を覚えていたことも無かった。


ちょっと、反省してる。

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